①指標の切り替え
在庫評価額推移チャートでは、月別の棚卸資産回転率と月別の棚卸資産回転期間を切り替えることができます。
最初にダッシュボード画面を開くと、月別の棚卸資産回転率のチャートが表示されますが、月別の棚卸資産回転期間のチャートに切り替えたい場合は、在庫評価額推移チャートの左上の「月別の棚卸資産回転率」(下図で赤枠で囲まれている部分)をマウスホバーして、ツールチップで「月別の棚卸資産回転期間(月)」を選択してください。
黄色のラインは自社の月別の棚卸資産回転率(回転期間)を表します。
青色のラインは統計の月別の棚卸資産回転率(回転期間)を表します。
ラインをマウスホバーすると、ツールチップで「対象月」「自社の月別の棚卸資産回転率(または自社の月別の棚卸資産回転期間)」「統計の月別の棚卸資産回転率(または統計の月別の棚卸資産回転期間)」「業種/売上規模」が確認できます。
②指標の説明
2.1.指標の意味
• 棚卸資産とは、販売や使用されずに社内に留まっている物品のことです。
会計上、仕入れた商品は費用として処理し、販売すれば収益として計上します。しかし、決算時には販売されず残っている商品は資産として処理し、貸借対照表の「資産の部」に計上する必要があります。なお、「資産の部」は以下の2つに分類されます。
固定資産:長期使用が見込まれる財産(土地、車両運搬具など)
流動資産:短期間で現金化が可能な財産(預金、売掛金など)
棚卸資産は販売すればすぐに現金化できるもののため、流動資産に分類されます。
EX在庫診断では、全品目の月別の在庫評価額を棚卸資産金額として算出しています。
• 棚卸資産回転率は在庫回転率とも呼ばれ、在庫がどれだけ効率的に販売されているかを表す指標です。
棚卸資産回転率は高いほど棚卸資産を効率的に販売していることを意味し、低ければ販売が滞っている可能性があります。
EX在庫診断では、1年間の回転率を表示しています。
• 棚卸資産回転期間は在庫がどれくらいの期間で販売されたかを知るための指標です。
一般的に、棚卸資産回転期間は短いほど棚卸資産が滞留せず、早期に収益化できていると考えます。回転期間が長ければ、過剰在庫や販売期間の長期化などが懸念され、棚卸資産を有効活用できていないと考えられます。とはいえ、回転期間が短すぎれば、適正在庫が保たれていない可能性もあるため、業界平均を確認し同程度に留めるのが理想的です。
棚卸資産回転期間の単位は(ヵ月)となっています。
例)1.8の場合は1.8ヵ月で棚卸資産が入れ替わっているということを表します。
棚卸資産回転率と棚卸資産回転期間の推移チャートで実績値と統計値を比較することによって、これまでの棚卸資産について評価したり、在庫最適化の目標を検討することができます。
2.2.指標の計算式
❶自社の月別の棚卸資産回転率の計算式は以下の通りです。
棚卸資産回転率 = 月別の売上高 × 12 ÷ 全品目の月別の在庫評価額 ※月別の売上高=(当月売上_合計)+(当月売上税_合計) ※「当月売上_合計」は電脳工場の売掛累積テーブルDWF_U060Fの「CURMTH_SA_AMT_TOTAL」から取得します。 ※「当月売上税_合計」は電脳工場の売掛累積テーブルDWF_U060Fの「CURMTH_SA_TAX_TOTAL」から取得します。 ※全品目の月別の在庫評価額の計算式はこちらでご参照ください。 ※「月別の売上高=0」または「全品目の月別の在庫評価額=0」の場合、「自社の棚卸資産回転率=0」とします。
❷統計の月別の棚卸資産回転率は「e-Stat」サイトでの「棚卸資産回転率(当期末)」列のデータから参照します。
棚卸資産回転率 = 四半期の売上高 × 4 ÷(前期末の棚卸資産額 + 当期末の棚卸資産額) ÷ 2
データは四半期ごとに集計されて、業種と売上規模により異なります。
共通設定画面で、業種と売上規模を選択することができます。選択した業種と売上規模の統計データが棚卸資産回転率の推移チャートに反映されます。
❸自社の月別の棚卸資産回転期間の計算式は以下の通りです
棚卸資産回転期間 = 全品目の月別の在庫評価額 ÷ 月別の売上高 ※月別の売上高=(当月売上_合計)+(当月売上税_合計) ※「当月売上_合計」は電脳工場の売掛累積テーブルDWF_U060Fの「CURMTH_SA_AMT_TOTAL」から取得します。 ※「当月売上税_合計」は電脳工場の売掛累積テーブルDWF_U060Fの「CURMTH_SA_TAX_TOTAL」から取得します。 ※全品目の月別の在庫評価額の計算式はこちらでご参照ください。 ※「月別の売上高=0」または「全品目の月別の在庫評価額=0」の場合、「自社の棚卸資産回転期間=0」とします。
❹統計の月別の棚卸資産回転期間は「e-Stat」サイトでの「棚卸資産回転期間(当期末)」列のデータから参照します。
棚卸資産回転期間 = (前期末の棚卸資産額 + 当期末の棚卸資産額) ÷ 2 ÷ 四半期の売上高 × 3
データは四半期ごとに集計されて、業類と売上規模により異なります。
共通設定画面で、業種と売上規模を選択することができます。選択した業種と売上規模の統計データが棚卸資産回転期間の推移チャートに反映されます。
2.3.計算例
以下の計算例をご参照ください。
売上高=(当月売上_合計)+(当月売上税_合計)
請求先C | 当月売掛締日 | 当月売上_合計 | 当月売上税_合計 | 売上高 |
---|---|---|---|---|
A000111 | 2020/01/15 | 51300 | 5130 | 56430 |
A000112 | 2020/01/31 | 41010 | 4101 | 45111 |
A000113 | 2020/02/01 | 4400 | 440 | 4840 |
A000114 | 2020/02/15 | 720980 | 72098 | 793078 |
A000115 | 2020/02/29 | 40810 | 4081 | 44891 |
… | … | … | … | … |
A000112 | 2021/01/01 | 1877390 | 187739 | 2065129 |
A000113 | 2021/01/15 | 2260 | 226 | 2486 |
A000116 | 2021/01/31 | 316400 | 31640 | 348040 |
… | … | … | … | … |
A000115 | 2022/11/01 | 176820 | 17682 | 194502 |
A000111 | 2022/11/15 | 31980 | 3198 | 35178 |
A000112 | 2022/12/01 | 340500 | 34050 | 374550 |
A000113 | 2022/12/15 | 214400 | 21440 | 235840 |
A000116 | 2022/12/31 | 316400 | 31640 | 348040 |
A000114 | 2023/01/01 | 848080 | 84808 | 932888 |
A000115 | 2023/01/15 | 116970 | 11697 | 128667 |
2020/01の売上高
=2020/01/15の売上高 + 2020/01/31の売上高
=56430+45111
=101541
2020/01の在庫評価額=11000000
2020/01の棚卸資産回転率
=月別の売上高 × 12 ÷ 全品目の月別の在庫評価額
=101541 × 12 ÷ 11000000
=0.11(小数点第2位に四捨五入しました)
2020/01の棚卸資産回転期間
=全品目の月別在庫評価額 ÷ 月別の売上高
=11000000 ÷ 101541
=108.33(小数点第2位に四捨五入しました)
月別の棚卸資産回転率と月別の棚卸資産回転期間の計算式を適用すると、以下の計算結果が出ます。
月 | 在庫評価額 | 売上高 | 棚卸資産回転率 | 棚卸資産回転期間 |
---|---|---|---|---|
2020/01 | 11000000 | 101541 | 0.11 | 108.33 |
2020/02 | 3000000 | 842809 | 3.37 | 3.56 |
… | … | … | … | … |
2021/01 | 2250000 | 2415655 | 12.88 | 0.93 |
… | … | … | … | … |
2022/11 | 1850000 | 229680 | 1.49 | 8.05 |
2022/12 | 1850000 | 958430 | 6.22 | 1.93 |
2023/01 | 780000 | 1061555 | 16.33 | 0.73 |