中人数向け

公開日:2021年11月25日

30~40人程度のフロアを作ろう、と考えて思うことは、それが学校における1クラスの人数だということだ。それをLoooMs上でそれらしく再現したらこの図のようになるのだが、私でない人が同様にLoooMsで小学校のクラスを再現しなさい、と言われてもおおよそこのような配置のフロアが出来上がるだろう。きれいに整列された席には生徒が座り、それを見渡すことのできる位置には教師がいる。生徒の誰がいて誰がいないのかを視野に収め、生徒が遊んだり居眠りしたりしていないかを教師が監視するわけである。

直前の二文における「生徒」を「囚人」に、「教師」を「看守」に変えれば、これは監獄の説明となる。もしくは「患者」と「医師」に、「部下」と「上司」に……となぞらえるのはこのくらいにしておこう(「並列と円環」の章を参照のこと)。

私たちはこのような座席や、そのバリエーションで多くの時間を過ごしつつ育ってきた。だから、このような席に座るということがどのような意味を持つのかについて意識を折り返すことは稀であるし、困難である。が、このような座席に座らせながら「独創的」であれ、というのが矛盾している言明だということは覚えておきたい。それは人の内面(精神)と、どのような環境に包まれているか(身体)を分割できることを前提としていればこその発想である。だからこそ、監獄の中で酷い目に遭いながらも己の希望を捨てずに持ち続けた人の物語が感動的にも思えるのだ(フランク・ダラボン監督『ショーシャンクの空に』(1994))。画一的で従順な戦士を育てるにはこの座席はよいだろうが、「独創性」や「個性」を欲するのであれば、どのような環境に包まれるかという視点で座席や装飾品、家具を選び、配置すべきである。

あなたの身体は、どこに座ることを欲するだろうか。