MM総研が2018年6月に実施した調査によると、年商50億円以上の企業でのRPA導入割合は20%程度ですが、2020年には70%の企業がRPAを導入するという調査についての記述(田中淳一「AIにより進化する次世代RPA/デジタルレイバー」、『まるわかり!RPA』 2017年12月30日、P.70、日経BP社)があるように、ここ数年でのさらなる普及が期待されています。
2017年11月23日に発売された日経コンピュータでも特集記事が組まれるなど、「RPA」という言葉が注目を集めています。RPAとはどのような概念なのか、そして、なぜ今話題になっているのでしょうか。
RPAとは「Robotic Process Automation」の略語であり、RPAシステムのリーディングカンパニーであるRPA テクノロジーズのホームページでは下記のように説明されています。
「RPA」とは、ロボットによる業務自動化の取り組みを表す言葉です。「デジタルレイバー(Digital Labor)」や「仮想知的労働者」とも言い換えられ、人間の知能をコンピューター上で再現しようとするAIや、AIが反復によって学ぶ「機械学習」といった技術を用いて、主にバックオフィスにおけるホワイトカラー業務の代行を担います。
引用:RPA テクノロジーズ株式会社 ホームページ『RPA(ロボットによる業務自動化)とは』(2017年12月15日閲覧)
つまり、人間が行っていた業務をロボットで置き換えるということです。ここでいうロボットとは、いわゆるハードのロボット(ドラえもんやターミネーターのようなもの)ではなく、ソフトウェアとしてのロボットを指します。
このような点でみると、既存のソフトウェアと何が違うのか、という点が疑問になると思います。明確な相違点は「ロボットの作り方」にあります。
以前、ノンプログラミングについてコラム「ノンプログラミング が熱い!7つの背景」で取り上げましたが、RPAに関しても、開発のためのコーディングが不要という点が既存のソフトウェアと異なります。さらに、「社内のデータが”つながる”EAIツールとは」にて取り上げたEAIやkintoneなどのノンプログラミングツールとも異なる点は、RPAではパラメーターの設定を行う必要すらないということです。
RPAツールは人間がPCを使って行う業務を記録することで、ロボットを作成することができます。Excelでマクロを作成するような感覚です。具体的な自動化の仕組みについては、下記の記事をご覧ください。
RPAは昨年や今年になって突然出てきた概念のように思われますが、実はそうではありません。Google トレンドで過去5年間の日本とアメリカでの検索数の推移をみていきましょう。
(2017年12月4日閲覧)
日本では、2016年ごろから特に2017年にかけて話題になっていることがわかります。アメリカの場合がこちらです。
(2017年12月4日閲覧)
ご覧いただくとわかるように、数年前から一定の話題を保ち続けています。では、なぜ日本ではここ数年でこのように話題になっているのでしょうか?
本記事の前半で引用したRPA テクノロジーズのRPAに関する定義にもあったように、RPAはデジタルな労働者としてホワイトカラーの業務を代替する技術です。日本ではこの先、人口が減少していくことがほぼ確実であり、生産年齢人口も減少していきます。一方、世界での競争は激化しているので、業務量を減らすことは現実には難しい状況です。
しかしながら、個々の人間の仕事量には限界があります。実際、日本では働き方改革の流れが加速していますが、業務量は減らせないが労働時間は減らす必要がある、そんな相反する問題に直面しています。
このような問題に対応できる技術としてRPAが注目されています。RPAを採用し、ロボットができることはロボットに任せ、その空いた時間で人間にしかできない業務に専念する。RPAをうまく活用すれば、そのようなことが可能です。RPAは日本の救世主たるコンセプトだということが言えるでしょう。
特に人手不足が深刻な中小企業においてはその効果は計り知れません。中小企業での対応RPA活用については、下記記事をご覧ください。
しかし、あらゆるシステム開発、導入にいえることですが、RPAシステムを使えば何でもできるわけではありません。何を目的にし、何をRPAで置き換えるのか、明確にする必要があります。実際に、むやみにRPAを導入したことによる失敗事例も多数存在します。下記の記事で製造業様の業務別事例の紹介を行っております。こちらも併せてご確認ください。
また、デスクトップ上の作業を自動化することを対象としたRDA(ロボティック・デスクトップ・オートメーション)についても下記の記事にて紹介しています。
さらに、チャットでロボットを操作するRPAチャットボットという仕組みも出てきており、より実用化へのハードルが下がりそうです。