VR(仮想現実)で変わる製造業の5つの業務!

VR(仮想現実)で変わる製造業の5つの業務!

以前のコラム「2017年のITトレンド振り返り5選!」で取り上げたように、VR元年と呼ばれた2016年から、2017年にはビジネスでVR技術を活用する事例が出てきました。今回は、VRを含むxR技術の活用で製造業の在り方がどのように変わるのか、様々な角度から検討したいと思います。

 

製造や保守・点検トレーニングをVRで実施!

 ものづくりの現場には実地で学ばなければ身につかないことがたくさんあります。例えば、ものを組み立てる手順や機械を点検する方法などがあるでしょう。このような「習うより慣れる」ことが求められる作業はVRにうってつけです。VR空間に実際の作業時と同じ空間を用意し、VR空間の中で組み立て作業や点検作業を行うことができます。また、熟練者の作業手順を記録しておいて、それを参考にすることでより効率的にトレーニングを行うことが可能です。
 下記の動画は塗装業の事例になりますが、同じようにVR空間に対象の機械や部品を再現し、製造や保守点検のトレーニングをほぼ現実に近い形で、かつ安全に実施することができます。

 「働き方改革」や人手不足が叫ばれる昨今、効率的で、しかも安全にトレーニングができるVR技術は製造業に必須となるでしょう。

 

設計・試作のシミュレーションの精度が向上!

 VR技術を活用すれば、設計段階においてより精度の高いシミュレーションが可能です。既存のシミュレーション技術であれば、モノを実物大で表現することは難しく、どうしても実際の感覚とズレが出てしまいます。しかし、VR空間なら実物大で表現することが可能なので、より現実に近い、精度の高いシミュレーションが可能です。

 

設計の打ち合わせもVR空間で実現可能!

 上記で紹介した精度の高いシミュレーションを活用し、VR空間で設計の打ち合わせを行うことも可能です。VR空間に3Dモデルを用意し、そのモデルを見ながらVR空間内で打ち合わせを行うことができます。3次元でモノを見つつ、指摘する箇所を明示しながら打ち合わせができるので、認識の齟齬を無くし、打ち合わせを効率化できます。つまり、VR技術を活用することで設計にかかるリードタイムを大幅に短縮することが可能です。
 下記の動画は、サイバネットシステムのVRソリューション「バーチャルデザインレビュー」の機能紹介の動画です。


VR空間内でモックアップの製作も可能!

 さらに、VR空間の中で実際にモノや工場の組み立てを行うことも可能です。VR空間内に配置した部品と工具などを活用して、組み立て、塗装、切断や研磨を行うことが可能です。VRで打ち合わせをしながら、モックアップの作成まで行えるということです。

 下記の動画では、VR空間で工場のラインを組み立てるデモが紹介されています。


製造工場の設計やラインレイアウトもVRで実現!

 上記にてモノや工場のラインを作ることが可能だと紹介しましたが、そのラインを使って、工場の設計やラインレイアウトの検討を行うことも可能です。効率的なものづくりを行うためには、効率的な工場の設計やラインレイアウトが不可欠ですが、ラインレイアウトは一度作ってしまうと変更することが容易ではありません。しかし、VR空間内であれば工場の設計やラインレイアウトを作っては試し、ダメならまた別のものを試すというPDCAを簡単に回すことが可能です。
 下記の動画では、VR空間内に作成したピッキングラインでピッキング作業を行っています。ピッキングの速さも計測しているので、このデータを使ってVR空間で別のレイアウトやピッキング方法も検証することが可能です。


 いかがでしょうか。もちろん、コードレス化や、充電、画質の向上、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)のコストなど、製造現場への普及にはまだまだハードルはありますが、製造業の仕事が大きく変わり得るVR技術の実現がそこまで来ているといえます。コードをなくすためには、HMDそのものにPCを載せるという方法がありますが、これだと処理能力が十分に発揮できないためモデリングの精度が下がり、スムーズな利用ができません。しかし、CPUの処理能力の問題はすぐに解決されるでしょう。また、VR技術とIoTが融合すると、「製造業が注目すべき2018年ITトレンド6選!」で紹介したデジタルツインの実現にもつながります。製造業に関わるVR技術の発展から目が離せません。是非みなさまもVR技術の活用で、新しいものづくりを実現してください!

 弊社でも3DCADのデータを活用した、VR空間でのミーティングなどの相談も承っておりますので、お気軽にご相談ください。

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