スクラッチシステムは高い。パッケージシステムは使いにくい。APIを活用すれば”ちょうどいい”システム導入が実現できるかもしれません。
APIとは「Application Programming Interface」の略で、アプリケーション同士をつなぐための規約や仕組みを指します。APIを使えば、自分達のアプリケーションに他のアプリケーションの機能を盛り込むことが可能です。例えば、Googleが提供するGoogle Maps APIを使えば、自社のアプリケーションに地図を組み込むことが可能です。
このように、APIはシステム同士を”つなげる”ための仕組みだとお考えください。
APIを活用すれば、パッケージソフトでは満たしきれなかった業務ニーズを満たすことができます。例えば、生産管理はA社の機能が良い、営業支援(SFA)はB社の機能、会計機能はC社の機能がよいといった際に、全てのメリットを吸収するシステムをスクラッチ開発したり、少し自社の業務に合わない部分も我慢して、すべての機能範囲をカバーできるERPを導入したりする必要はありません。APIを駆使し、それぞれの強みを活かしながら一つのシステムを構築することが可能です。
中小企業向けの会計システムを提供するピー・シー・エーも、2016年にAPIを公開しています。『PCAクラウド Web-API』を活用すれば、基幹システムで管理しているデータを簡単に会計システムに連携することが可能です。また、サイボウズが提供する『kintone』もAPIを備えています。kintoneのAPIを活用すれば、基幹システムのデータをモバイルで参照したり、kintoneに登録されたデータを基幹システムに反映させたりすることが可能です。
コラム「製造業が注目すべき2018年ITトレンド6選!」でも取り上げたようにAPIエコノミーの市場規模は、2018年には260兆円超えるという試算もあり、今後ますます多くのAPIが公開され、より選択肢が豊富になることが予想されます。
APIを活用すれば、システムの変更にも柔軟に対応できます。ERPで全ての機能を導入してしまうと、1つの機能を変更するのに膨大な改修費用が発生したり、最悪の場合はシステムごと入れ替える必要があります。しかし、APIで各機能を組み合わせてシステムを構築していれば、そんな心配はありません。システム全体への影響を考慮する必要性は低くなりますし、何より、該当機能のソフトウェアだけを変更することが可能です。
また、APIによるシステム連携をより簡単にするためのツールも多数存在します。アステリアが提供する『ASTERIA WARP』やセゾン情報システムズが提供する『DataSpider』では、様々なシステムと連携するアダプタや、より汎用的なAPIの活用を可能にするRESTアダプタも搭載しています。
昨今の製造業を取り巻く環境は大きく変わってきています。IoTにより、今まで取れなかったデータを取得できたり、AIの発展によって、今まで得られなかった知見を得られるようになってきています。今後さらに変化は加速し、今までなかったような技術・仕組みが出てくることが予想されます。そうしたときに、個別の技術に一つ一つ対応するのは、改修コストもかさみますし、妥当ではありません。しかも、新しい技術・概念だと、本当に活用できるかどうかの検証も行いたいところです。APIを活用すれば、さまざまな最新技術を簡単に活用でき、自社への適用可能性を探ることが可能です。
例えば、さくらインターネットが提供するIoTプラットフォーム『sakura.io』を使えば、データの収集・活用が簡単に行えます。sakura.ioは同社が提供する通信モジュールを使ってクラウドにデータを収集するサービスで、クラウドに収集したデータはAPIを使って参照・活用することができます。
また、最近はAIを簡単に扱うことができるAPIも豊富にあります。AIというと、IBMが提供する『Watson』が有名かと思いますが、Watsonが持っている自然言語処理や画像認識の機能もAPIで利用することが可能です。また、IT企業の大手各社がこぞってAIを活用できるAPIを公開しています。
『Amazon、Google、IBM、Microsoftが公開する、AIを使うための「API」「ライブラリ」「実行環境」一覧(ITmedia)』
このように、APIを活用すれば最新技術を利用するハードルを下げることができ、自社の業務やビジネスへの適用可能性を簡単に検証することが可能です。
変化の激しい時代において、コストを抑え、かつ、競争に打ち勝つシステム導入を進めるためにはAPIの活用は欠かせないでしょう。弊社が提供する『EXtelligence EDIFAS』も基幹システムとEDIを連携するAPIを提供しています。