サプライチェーンのDX を考える。BtoCの世界をBtoBへ。

サプライチェーンのDX を考える。BtoCの世界をBtoBへ。

 幾度となく刷新を迫られてきた企業におけるサプライチェーン(調達、製造、販売、消費までの一連の流れ)のあり方が、さまざまな外的要因により大きく変わろうとしています。
 特にDX(デジタルトランスフォーメーション)というキーワードは、あらゆる企業に波及しています。今回は、 サプライチェーンのDX とはどういうことかBtoB(Business to Business)、BtoC(Business to Consumer)の切り口で考えたいと思います。

 

BtoCの世界をBtoBで実現する

 まず、DXとはどのような状態を指すのでしょうか。DXの詳細は割愛しますが、端的にいうと”デジタル技術による業務やビジネスの変革”を表す概念です。
DXについて詳しくはこちらのコラムをご覧ください。

DX(デジタルトランスフォーメーション)の第一歩

 もっとも分かりやすい成功例は「Amazon」です。現物をみて買い物をするというアナログな顧客の行動を、インターネットで買い物をするというデジタルな行動の変換に成功しました。まさにデジタルを基点に既存の概念が様変わりした例といえます。このほか、メジャーな事例では「Uber」でしょうか。「Uber Taxi」や「Uber Eats」では、従来各企業が提供していた配車や配達といったサービスを、Uberが提供するデジタルの仕組みによって、企業の従業員ではない人も利用できる場を提供することが可能となりました。
 ただ、メディアで取り上げられるDXの事例は、企業が提供するサービスによって個人が変革を体験する、BtoBからBtoCへの転換に成功した例が多く、BtoCのモデルをBtoBに転用した事例は少ないのが実状です。企業におけるサプライチェーンのDXとは、まさにこのBtoBのビジネスにおいて、どのようなDXの実現をするかということになります。そこで、いくつかBtoBの業務例から考えてみましょう。
 

納品即支払?企業間取引業務のDX

 たとえば受発注、納品、請求、支払いといった企業間の取引業務。中小企業の多くは電話、FAX、郵送等といったアナログ業務がいまだ残っており、在宅勤務などのテレワークの弊害になっています。このほか、現在日本で当たり前に行われている「月末締め・翌月払い等の経理処理」。信頼関係を土台にした商慣習として浸透していますが、発注側が強いという文化が色濃く残り、現金化されるまでの支払いサイクルが長く、受注側の資金繰りを悪化させる要因の一つといわれています。
 一方、BtoCの世界では、先述のAmazonや楽天などの個人向け通販サイトの台頭により、家にいながら購入ボタンを押すだけであらゆるものが手に入ります。また、フィンテックの発展により、ビットコイン等の仮想通貨、PayPay等のQR決済、おサイフケータイといった、様々な決済手段を用いて購入即決済が当たり前となっています。ミスミVONAやモノタロウといったBtoB向けの通販業界の拡大は見られますが、まだまだ多くの企業間取引で従来のやり方が残っているのが実状でしょう。

 BtoBの世界でも、BtoCのように納品、即検収、即決済となれば、サプライチェーンにおける受発注、金銭の流れがスピードアップし、間接業務の大幅な効率化、キャッシュフローの改善と企業競争力の強化につながります。
 そのためには、土台となる受発注・納品、請求、支払に関する取引のデジタル化(デジタイゼーション)、そして金融機関との連動が不可欠です。そこで昨今、業界横断的に商取引のデジタル化を図る標準規格としての「中小企業共通EDI」と、金融機関の振込情報に商流情報(請求番号や商品番号などの商取引情報)を紐付けられる「ZEDI」を連携させる実証検証などが進められています。
参考:中小企業庁 平成29年度中小企業・小規模事業者決済情報管理支援事業調査報告書

 もちろん、企業特有の決済に掛かる社内のワークフロー、手形取引などの決済方法をどうするかといった問題はあります。しかし、従来の商慣習を乗り越えられれば、テレワークはもちろんのこと、納品、検収時点で月末締めを待たず支払が行われる、まさにデジタルを基点とした企業間取引の変革を実現できる可能性を秘めています。
 

新たな取引先開拓のDX

 BtoBの世界では新たな取引先を開拓するのは大変です。顧客である販売先はもちろんのこと、「モノづくり白書2020」でも触れられていたサプライチェーン毀損に対応しようにも、仕入先や外注先といった協力企業を開拓するには、期待するQCDのレベルを満たしているか、企業としての内部統制が行われているかといった調査、そして対面のコミュニケーションによる信頼感などがなければ取り引きにつながりません。
 一方、BtoC、CtoCの世界ではGAFAに代表される巨大IT企業によって個人が世界中のあらゆる人とつながれるようになりました。そして、いまやCtoC(Consumer to Consumer)サービスで代表的なメルカリのように、個人間での売買も当たり前に行われています。なぜ、見ず知らずの人との売買も自然に行われているのでしょうか?その理由の一つとして、その個人が発する情報と、他者からの評価(いいね!や、☆の5段階評価など)が、それなりに信頼に値するデータとして流通しているためと考えられます。

 BtoBの世界に置き換えてみましょう。一定のリスクを許容できる個人とは異なり、BtoBにおいては企業をよりシビアに評価します。そこで、オープンな過去の取引実績からQCDが評価され、公的機関や銀行による企業の信頼調査、法的に担保された契約の締結がオンラインで実現できればどうでしょうか。大きな取り引きは難しくても、遊休設備の売却や少額の取り引き等はBtoBの世界でもすぐにでも実現できそうです。企業の信頼度を図る上でも、取り引きに関るデータがどれだけ市場に流通できるか、企業自身がどれだけ情報を開示、発信できるかに掛かっているといえるでしょう。もちろん、企業の競争力である技術情報が競合に流出しない仕組みや、データ連携・流通を促進するためのインセンティブ設計は大きな課題です。それらの課題を超えられれば、デジタルを基点として取引先の探し方が変わる、これもサプライチェーンの変革になり得るのではないでしょうか。
 
 サプライチェーンのDXを実現するためにはデータの流通が重要であることは間違いありません。また、サプライチェーンのDXは企業単体では実現できず、市場全体で新たなプラットフォームを形成していかなければならないのです。今まではそういったデジタル化を進めるにも法整備や業界自体の枠組みが整備されておらず、共通のプラットフォームがない点が大きな問題点でした。しかし、我が国においても、デジタル庁の設立に向けた動きをはじめ、Society5.0の実現に向けたデータ流通基盤の整備が進められています。大きな変革に進む現在、その先にある未来として、BtoCやCtoCの世界で実現されてきたDXのモデルは大きなヒントになるのではないでしょうか。
 

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