新型コロナウイルスが引き続き猛威を奮っています。冬に向けて寒くなるにつれ、感染者数が増加し、第3波に入ったとも言われています。そのようなコロナ禍において、従来の「サプライチェーン」に取って代わる新しい概念として、「サプライネット」という言葉が徐々に注目を集めています。今回のコラムでは、 サプライネット に焦点を当て、ニューノーマル時代の企業間取引について考えていきたいと思います。
新型コロナウイルスの感染拡大は、私たちの生活に大きな影響を及ぼしています。その中のひとつに、サプライチェーンの毀損という問題があります。実際に、中国から部品が輸入されず生産に支障をきたしたり、渡航制限によって海外拠点の運営が困難になったりするといったことが起こりました。生産活動に支障があったかどうかを尋ねるアンケート調査では、8割を超える企業が「あった」と回答しており(2020年8月4日 日経ビジネス「緊急企業アンケート 新型コロナ受け『サプライチェーン見直す』8割」より)、経済産業省「2020年版 ものづくり白書(以下、ものづくり白書)」においても、サプライチェーンの寸断リスクが大きく取り上げられています。
このような状況下で自社と取引先の安定を図るために、BCP(事業継続計画)に取り組む企業が増えています。これについては以前のコラム「新型コロナウイルスとBCP」において取り上げておりますので、ご覧ください。
そして、企業のBCPへの意識が高まる中で、注目されている言葉があります。それが今回ご紹介する「サプライネット」という概念です。ここからはサプライネットに関して、概要をご紹介していきます。
サプライネットとは、生産拠点や調達先を分散させるという考え方を指す言葉です。特定の国や地域に偏って構築されるサプライチェーンとは対照的な用語です。コストを可能な限り抑えるという観点では、サプライチェーンという考え方は効果的であると言われていましたが、今回の新型コロナウイルスのように、感染症が爆発的に拡大するといった不確実性に対しては脆弱であるということが明らかになりました。前述のように、中国からの部品が調達できず支障をきたした例は、サプライチェーンの弊害といえます。その点、サプライネットという考え方ならば、仮に中国の取引先から部品が調達出来ない場合でも、他国の取引先から調達できれば問題ないので、有事の際にも臨機応変に対応できます。
この一種の危機管理体制強化ともいえる「サプライネット」という考え方に、日本政府も前向きな姿勢を示しています。日本経済新聞によると、日本政府は東アジアに生産拠点を分散させる企業に対して、補助金を出す姿勢を打ち出している模様です(2020年10月15日 日本経済新聞「供給網分散、政府が補助金 東南アジア拠点設置の企業に」より)。サプライネットは供給網を幅広くしなくてはいけない点で、コスト面が課題となっていましたが、今回の政府からの補助金によって幾分かその課題は解消される見通しです。
実際に、「コロナによる生産活動への影響に対してどのような対策をとりますか?」というアンケート調査では、調達先の分散や生産拠点の増加など、仕入れや生産の複線化と回答する企業が多いという結果が出ており(2020年8月4日 日経ビジネス「緊急企業アンケート 新型コロナ受け『サプライチェーン見直す』8割」より)、「サプライネット」という考え方を受け入れようとしていると伺えるでしょう。
ほんの1年前までは、新型コロナウイルスによって私たちの生活がこれほどまで変化するとは誰も予想していなかったでしょう。このように、現代は一瞬にして状況が変わってしまうほど不安定な時代です。常に有事に備える姿勢は、安定的な企業活動において不可欠なものになりました。BCPに取り組む中で、サプライネットを構築することで、今後のニューノーマル時代において価値を出し続けられる企業になるでしょう。
政府の補助金など追い風が吹いている今のタイミングで、一度サプライチェーンの見直しを検討されてみてはいかがでしょうか。
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