平成30年2月28日にものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金)の公募が始まりましたが、今回のような補助金の交付を受けることで、さまざまな優遇処置の特例を受けられる「SBIR制度(中小企業技術革新制度)」をご存知でしょうか?多くの方は聞いたことがないと思いますが、 SBIR制度では研究開発した技術の事業化や新たなビジネスモデルを確立する際にさまざまな支援を行っています。
SBIR制度は、中小企業や個人の研究開発と、そこで完成した技術などの成果の事業化を支援することを目的にした制度です。中小企業庁が所管していますが、現在7省(総務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省)が参加する省庁横断的な制度です。SBIR制度では、SBIRが指定した国の研究開発のための補助金(SBIR特定補助金)を利用した企業に対し、資金調達や信用保険の保証枠拡大などのさまざまな支援策が設けられています。SBIR制度は元々アメリカで施行されている制度で、1998年に日本版にアレンジして創設されました。アメリカのSBIR制度は、イノベーションを起こすアイデアを持ったベンチャー企業や民間の発明者に対する資金援助・育成が主眼に置かれていますが、日本のSBIR制度は中小企業の補助金政策強化の毛色が強い内容となっているようです。
具体的には次のような支援策が設けられています。
(1)日本政策金融公庫の低利融資を受けられる
(2)公共調達における入札参加機会が拡大
(3)SBIR特設サイト(J-Net21)で事業PRが可能
(4)研究開発事業の成果における特許料等が減免
(5)新事業開拓保険制度において信用保証協会の債務保証枠が拡大
(6)中小企業投資育成株式会社からの投資枠が拡大
(7)小規模企業設備資金制度の貸付割合が拡充
いずれも有効活用できる支援策ばかりですが、特に資金調達の優遇は新商品開発や新技術による革新を目指す中小企業にとって魅力ある支援策となっています。
各支援策の詳細は中小企業庁ホームページやSBIR特設サイトに掲載されています。
※中小企業庁HP FAQ「SBIR(中小企業技術革新制度)について」
先述のようにSBIR制度を活用するためには、まずSBIRが指定する補助金の交付を受けなければなりません。SBIR制度は研究開発の分野に限定されるように思われますが、対象となる補助金は多岐に渡ります。平成28年度補正予算の特定補助事業ではものづくり補助金も指定され、今年度のものづくり補助金も特定補助事業に指定される予定のようです。
また、J-net21の特定補助金活用事例にあるとおり、ITを活用した生産性向上の取り組みでものづくり補助金を利用した場合においても、SBIR制度を活用できます。なお、ものづくり補助金のほか、平成29年度予算の事業でSBIR特定補助金の対象として指定された事業は下記に公開されていますので、過去に補助金の交付を受けた企業やこれから補助金の申請をお考えの企業はご参考にしてください。
※中小企業庁HP 平成29年度予算における特定補助金等の事業一覧
SBIR制度は、補助金を利用する企業にとっては一石二鳥の制度なので、利用しない手はありません。まずはSBIR制度にも活用できるものづくり補助金にチャレンジしてみませんか?もちろん、単にお金をもらう目的で補助金を利用しては意味がありませんので、コラム「日本版インダストリー4.0『コネクテッドインダストリーズ』は中小企業が主役?」でご紹介したような今後の潮流を見据えた経営計画を立て、ビジネスモデルの変革にトライすることが重要です。
弊社でもご相談を受付けていますので、お気軽にお問い合わせください。