RPAの大問題を解決する BRMS とは?

RPAの大問題を解決する BRMS とは?

RPAが加速度的に普及している中、同時にRPA活用における数々の課題も浮き彫りになっています。その中の大きな問題のひとつが、ロボットを動かすためのルール定義とその維持管理です。その問題解決に役立つものとして、一昔前にIT業界で話題になったBRMSが再度認知されはじめています。本コラムではBRMSの概要と、BRMSを利用することでRPA課題をどのように解決できるかをご紹介します。
 RPAそのものについては、下記の記事をご覧ください。

最近話題のRPAとは何か?何ができるのか?

 

RPAの野良ロボット、ロボネグレクト問題

 RPAは単純作業に適用することで最も効果を発揮しますが、思った程効果が上がらなかったという声をよく聞きます。これは、RPAを適用する単純作業が人の判断を伴わない定型業務であり、そういった作業は業務プロセス全体からみると割合が少ないためと考えられます。そのため、中には条件判断も含めた作業の自動化をRPAで実現しようとする企業もありますが、日々の業務では様々な場面・ケースの判断が発生します。
 主要なRPAソフトでも条件分岐して処理する機能が備わっていますが、分岐する条件が増えれば増えるほど複雑なシナリオ(ロボット)を作る必要があります。そうなると、今度はそのシナリオを変更できる人が限られてきて属人化したり、変更が追いつかずRPAロボットが利用されなくなったります。その結果、誰が管理しているか分からず放置される「野良ロボット」「ロボネグレクト」なる言葉が生まれるに至りました。
 このような問題はRPAを利用する側が、RPAの限界を知った上で、運用ルールの整備、定期的なシナリオのメンテナンスを行うことで解決できますが、そういったことを徹底できない企業が多くあるのが実状のようです。ですので、RPAで作成したロボットを正しく運用するためのルール定義、維持管理が極めて大きな問題といえるでしょう。

 

期待が高まるBRMSとは?

 そこで期待が高まっているのがBRMSです。まず一般的なBRMSの概要をご紹介します。
BRMSとは、Business Rules Management Systemの略で、さまざまなビジネスルール(業務ルール)をアプリケーションから切り離して管理・実行する仕組みです。

 この仕組みを活用することで、従来のシステム開発と比較して主に次のような効果が得られます。

  1. ビジネスルールを見える化できる
  2. 従来の手法では、業務ルール(~の場合~など)をエンドユーザと打ち合わせして仕様書に落し込み、技術者が各プログラムの開発をしていました。そういった従来のやり方では、技術寄りの仕様書でエンドユーザがよく理解せずにGOを出してしまい、伝えた仕様と実際に出来上がったプログラムにギャップが発生し、問題となることが多くあります。BRMSでは、エンドユーザが見て分かる形式で定義された業務ルール表等に基づき実行されるので、利用者と開発者のギャップが軽減されます。

  3. 変更に対して柔軟・迅速に対応できる
  4. 従来の手法では、業務ルールが追加・変更されるたびに仕様を詳細に打ち合わせた上で、プログラムを都度変更してテストする必要がありました。BRMSを利用すれば、何かルールが変更された場合、そのルールを無効or変更するだけで、プログラム全体への影響を抑えることができます。

 

RPAとBRMSの組み合わせで業務自動化範囲を拡大

 上述のように元々BRMSは、仕様変更に柔軟に対応し、システム開発を効率化することを目的に提供されてきました。それが昨今、ビジネスルールを管理するBRMSと、単純作業を実行するRPAを組み合わせることで、それぞれの役割が明確となり、先述の野良ロボットやロボットネグレクト問題の解決にもつながると考えられています。

 言うなれば、BRMSが意思決定を行う脳を司り、RPAが作業を行う手足となるわけです。

 たとえば、採用アウトソーシングサービスを提供しているレジェンダ・コーポ―レーション社では、RPA、BRMS、そしてデータ連携ツールであるEAIを組み合わせて、RPA単独ではできなかった、顧客企業ごとの求人応募者データが同一人物かどうかのチェック(判定)業務の自動化を実現し、採用業務の効率化に成功しました。
(2018年9月14日閲覧 IT Leaders「人事アウトソースのレジェンダがRPAで採用業務を自動化、アシストがソフトを提供」

 このほか、BRMS製品を提供しているイノルールズ社がBRMSとRPAを組み合わせた検証を行い、業務プロセス全体の効率化を確認しています。

 
 いかがでしたか。RPAは使い方によって大きな効果をもたらしますが、ツールの特性を理解して、業務ルールの定義・維持管理をしっかり行わなければ、宝の持ち腐れになります。今回はRPAとBRMSの組み合わせにスポットを当てましたが、上述の例のEAI(データ連携ツール)や、BRMSの上位にあるBPM(Business Process Management)ツール、さらにはAIが加わることで、RPAだけでは実現できなかった業務自動化範囲が拡大していくでしょう。また、先日のコラムで紹介したようにソフトウェアロボットのインターフェース部分をチャットボットなどの他の仕組みと組み合わせることで利用のハードルを下げることも可能です。

RPA最前線!対話でロボットを操作する「RPAチャットボットとは?」

RPAと他の仕組みの組み合わせには今後も注目です!

Share this...
Share on FacebookShare on Google+Tweet about this on TwitterShare on LinkedIn