コラム「最近話題のRPAとは何か?何ができるのか?」でご紹介したRPA(Robotic Process Automation)は金融機関をはじめ、さまざまな業種業界で活用されています。ツールも高額なものから月額制で始められるもの、クラウド上で動作するものまで、選択肢が増えてきました。2016年頃から金融機関や大企業を中心に導入されてきたRPAですが、中小企業でも導入への動きが活発化しています。
基幹システムや会計システムなど、同じ内容を複数のシステムに入力するなど、転記作業が生じる業務が多数存在します。これらの転記作業やアップロードなど、人が行う作業をRPAが代わりに実行し、自動化を実現できます。そこで、製造業でRPAを活用している具体的な事例を業務ごとにまとめましたので、RPAの導入を検討中の方は是非参考にしてください。
<導入前>
・パスワード付きExcelファイルが添付されたメールで受注
・パスワードを入力してExcelファイルを開き、注文内容を基幹システムに転記
・納期を入力して受注回答をメールで送信
・メールの見落としや入力ミス等が発生することも
・在庫引き当てを手動で実施
<RPA導入効果>
・メール受信から基幹システムへの入力までの自動化を実現
・FAX受注をWebEDIやメールに移行し、自動化を実現
・出荷依頼を自動送信
・担当者不在の場合も受発注を実行
出典:アステリア株式会社「ASTERIA導入事例:マックス株式会社」
<導入前>
・得意先ごとに使用するWebEDIが異なり、それぞれの操作方法を覚えなければいけない
・ダウンロードしたファイルを基幹システムに連携させるためのフォーマットの変換が必要
<RPA導入効果>
・受注データのダウンロード、データ変換を自動化
・稼働状況の確認だけで、受注にかかる工数を大幅に削減
出典:株式会社内田洋行ITソリューションズ「今、働き方改革で注目されているRPAとは」事例2
<導入前>
・得意先から出荷状況の確認が多い
・問合わせごとに物流部門に確認し、得意先に電話で連絡
<RPA導入効果>
・送り状の発行時に問合わせ番号を自動で得意先のメールアドレスに送付
・自社の工数削減だけでなく、得意先の利便性も向上
出典:株式会社内田洋行ITソリューションズ「今、働き方改革で注目されているRPAとは」事例6
<導入前>
・在庫管理が煩雑
・在庫の責任者は外出が多い営業担当者にあり、生産指示ができず欠品することも
<RPA導入効果>
・設定時刻に抽出した安全在庫数、出荷予定、製造依頼情報を営業担当にメールで配信
・製造依頼などのアクションが非常に速くなり、適正在庫を保つことが可能に
出典:株式会社内田洋行ITソリューションズ「今、働き方改革で注目されているRPAとは」事例5
<導入前>
・請求書の登録・転記作業を手入力
・膨大な工数、入力ミス等の課題が発生
<RPA導入効果>
・請求情報の読み込み以外の転記作業を自動化
・請求書情報を販売管理システム・会計システムに自動登録
・作業時間を70%削減
出典:アイコニックテクノロジーズ株式会社「導入事例」RPAの導入例1
以上のように、RPAはバックオフィスでの作業、特に転記作業の自動化に使われることが多く、今回は製造業の事例を集めましたが、バックオフィスでの事例であれば業種問わず参考にするのもいいでしょう。また、RPAはEAIツール「社内のデータが”つながる”EAIツールとは」やBRMS「RPAの大問題を解決する BRMS とは?」と合わせて利用されることも多いので、それぞれの強みと弱みをすみ分けた活用が望まれます。昨年のITトレンドをまとめた「2017年のITトレンド振り返り5選!」でも触れたように、RPAは働き方改革の切り札と成り得ます。また、RDAという機能を絞って安価で活用できるものも出てきています「RPAは高い?中小企業にもおすすめの自動化ツールRDAとは」。ぜひ製造業のみなさまでも導入を検討されてはいかがでしょうか。RPAの具体的な仕組みについてもこちらの記事「どうやって自動化するの?RPAの仕組みを解説」で解説しています。導入の検討の際は参考にされてください。