日本で家庭用お掃除ロボットの「ルンバ」が登場したのは2002年。その後、国内大手メーカーも参入し、これまで加速的に普及してきました。近い将来、1家に1台となるのはそう遠くはないかもしれません。お掃除ロボットが一時の流行りで終わらず、急激に受け入れられてきたその理由は、これからの働き方としても注目されている「RPA」と大きな共通点を持つことが考えられます。
日本人が1回の掃除にかける時間は10〜30分で、中でも掃除機は毎日かけている人も多いと思います。コードレスでおしゃれなデザイン、吸引力も強く、多機能。そういった進化が家庭の掃除をより便利にしてきました。
しかし、これまでの進化とは明らかに違うお掃除ロボットは、自動で部屋の中を動き回ってゴミを吸い取り、掃除が終われば自ら充電をする。掃除という作業そのものを人に代わって行い、「人間に新しい時間を生み出してくれる」革命的な存在になっています。掃除機ではキレイにできなかった汚れを水拭きしてくれるロボットまで登場しました。お掃除ロボットはこれからも、より賢くテキパキと働く、頼りになる家事のパートナーになっていきます。
1900年代後半には第3次産業革命の時代が到来しました。あらゆるシステムやソフトウェアが生み出され、人間がコンピュータを利用することで、早く正確に高度な仕事ができるようになりました。
そこから、近年のRPA(Robotic Process Automation)の登場により、パソコン操作という作業そのものを自動化してくれる時代へ突入しようとしています。RPAはデジタル社会の中で「人間に新しい時間を生み出してくれる」そんなビジネスツールなのです。
商品の受注・発注データを社内の業務システムへ入力する事務作業、お客様の問い合わせにメール送信するカスタマーサポート、インターネットによる競合製品の価格調査など、毎日決まったルールで業務を遂行する仕事は、どんな産業にも数多く存在します。RPAはそういった業務を人に代わり、人より早く正確に仕事をしてくれるような、一緒に働く仕事のパートナーとなってくれます。
ドイツが打ち出した「インダストリー4.0」や先進国を中心とした「第4次産業革命」といった流れの中で、「ロボット(AI)に人の仕事が奪われる」ということも言われるようにもなってきました。しかし、それはあまりにもネガティブな発想です。
お掃除ロボットが主婦の仕事を奪ったからといって、助かりこそすれ問題にはなりません。もし、RPAがこれまでやっていた仕事を奪ってくれるのであれば、少子高齢化の日本にとっては不足している労働力を補い、深刻な社会問題となっている長時間労働を軽減することができます。何より、「新しく生まれる時間」があれば、人はもっと別のことにチャレンジし、より有意義に時間を使うことができるようになります。
情報化社会となったこれからの産業は、IoTビッグデータ、人工知能といったキーワードからも想像されるように、社会全体が「自動化から自律化」へと向かっています。
今はまだ決まったルールの仕事を代行してくれるRPAであったとしても、お掃除ロボットと同じように、これからのRPAは「自律」へと進化していきます。RPA導入を支援するアビームコンサルティングでは「アビームが考える次世代デジタルレイバーへの進化」(出典:日経ビジネスオンライン)として、人間が判断するような例外対応・非定型業務も代行してくれるようになると考えています。
そんな時代になったときに、RPAが細かくて面倒な仕事をしてくれるその時間を、人がより付加価値の高い創造的な仕事に注力する。第4次産業革命という環境変化にどのように対応するかは、どの産業のどの企業にとっても重要なポイントとなります。
家庭でのお掃除ロボットのように、職場で「人間に新しい時間を生み出してくれる」RPAが最高のパートナーになる。そうなる未来に向けて、新しい働き方改革に取り組んでみませんか。