ペーパーレス化を推進! 2020年の電子帳簿保存法改正

ペーパーレス化を推進! 2020年の電子帳簿保存法改正

 2019年末に発表された2020年の税制改正大綱によって、さまざまな法律が改正されますが、2020年10月に「電子帳簿保存法」も改正されることをご存知でしょうか?
withコロナ時代を迎え、テレワークや在宅勤務といった多様な働き方が求められる中で、会社に出社しなければ業務が回らない、日本特有の紙文化・判子文化が弊害となっています。それらの弊害を解消するためには電子化(ペーパーレス化)が不可欠ですが、注文書や請求書といった税務申告に必要な伝票類の電子化には、電子帳簿保存法が大きく関係します。今回は2020年10月から施行される電子帳簿保存法改正の内容と、改正によってどのように電子化が推進されるかご紹介します。

 

保存要件の大幅な緩和

 電子帳簿保存法がどういった法律か、電子帳簿保存における電子取引の位置づけや保存要件については、以下のコラムをご覧ください。

電子帳簿保存法におけるEDI(電子商取引)の位置付け

 改正前の電子帳簿保存法で認められている保存処置は、次のいずれかと定められています。

①電子保存する企業(受取側)がタイムスタンプを付与する方法
②改ざん防止等のための事務処理規定を作成して運用する方法

 
 この保存処置が今回の改正によって緩和されることになります。
改正内容は以下の通りです。

国税関係帳簿書類の保存義務者が電子取引(取引情報の授受を電磁的方式により行う取引をいう。)を行った場合の電磁的記録の保存方法の範囲に、次の方法を加える。
(1)発行者のタイムスタンプが付された電磁的記録を受領した場合において、その電磁的記録を保存する方法
(2)電磁的記録について訂正又は削除を行った事実及び内容を確認することができるシステム(訂正又は削除を行うことができないシステムを含む。)において、その電磁的記録の授受及び保存を行う方法
引用:財務省HP 令和2年度税制改正の大綱(6/9)

 
 要約すると、従来の保存処置に加えて次の対応のいずれかも認められることになります。

①発行者側でタイムスタンプを付与していれば、受取側はタイムスタンプを付与せず
保存できる

②ユーザが自由にデータを改変できないシステム(クラウドサービス等)を利用して
いれば、他の処置を行わず保存できる

 受領者側で自由にデータを改編ができないことを担保できれば、国税関係書類が適切に保存されているものとして取り扱うことが可能になるということです。

タイムスタンプによる保存処置の場合、コスト面の負担が低減

 改正前の電子帳簿保存法では、保存処置としてタイムスタンプを付与する方法を採る場合、認定タイムスタンプ提供事業者が提供するタイムスタンプを付与する必要があります。したがって、受取側はベンダーが提供する認定タイムスタンプサービスを利用しなければなりませんでした。多くの場合、同サービスは有償となりますので、電子化を推進するハードルの一つとなっています。しかし、今回の改正によって発行者側がタイムスタンプを付与していれば、受領側は不要となり、コスト面において負担が軽減されます。

企業間取引の電子化にはクラウドサービスの利用が最適

 改正前の電子帳簿保存法では、データの保存場所にクラウドサービスを利用することはすでに認められていましたが、保存処置としては、タイムスタンプの付与又は改ざん防止等のための事務処理規定の運用が求められていました。
『電子帳簿保存法Q&A(電子計算機を使用して作成する帳簿書類及び電子取引関係)問19』

 今回の改正によって、利用者がデータの直接的な書き換えができないクラウドサービスを利用する場合も、新たな保存処置が認められることになります。

 つまり、クラウドサービスが要件を満たしていれば、タイムスタンプや事務処理規程の備え付けすら不要で電子帳簿保存法に対応できることになります。

 さらに、電子取引にあたる受発注・出荷、請求などの取引データを企業間でやり取りするEDI(電子データ交換)サービスは、税務署への申請・承認も不要なため、企業間取引に関わる伝票の電子化がますます加速するものと考えられます。
また、在宅勤務やテレワークを阻む要因のひとつとして、取引伝票の捺印、郵送作業、FAXといった紙文化・判子文化が問題視されていますが、クラウドサービスによる電子化が進めば、働き方改革推進にもつながります。

紙を無くそう!コロナでの在宅勤務・テレワークはEDIで!


 

来るインボイス制度の対策にも電子化は重要

 2023年10月からインボイス制度が施行されると、請求書や納品書等の受領者だけでなく、発行者側も控えの保存が義務付けられます。また、適格請求書発行事業者登録制度にしたがって、課税事業者と免税事業者を仕分けして消費税処理を行うことになるため、企業の帳簿管理は複雑化し、負担が大きくなると予想されます。
インボイス制度の影響について、詳しくはこちらのコラムをご覧ください。

インボイス制度導入による影響

 そういった負担を軽減するためにも電子化が必要なのは間違いありません。インボイス制度の発表を契機に、電子化に取り組む企業は増えてきましたが、電子帳簿保存法に基づく保存をどのように行うかで壁にぶつかった企業が多くあるのではないでしょうか。
今回の改正によって電子保存のハードルが下がりますので、インボイス制度に向けた準備も進めやすくなったといえます。

 電子帳簿保存法は、2018年にはスマートフォンによる撮影データでの保存も認められるなど、IT技術の発展と共に時代に適した改正が実施されてきました。
今回の改正についても、国としては働き方が多様化する中で、ペーパーレス化の推進を図り、企業の納税手続きをさらに簡略化したい背景があります。
データドリブン社会を目指して国の法整備が進んでいますので、今回の改正を機にペーパーレス化に取り組んでみてはいかがでしょうか。

※本コラムは、2020年6月26日執筆時点の情報をもとにしております。
※本コラムはあくまで弊社の見解を示したものであり、実際の判断は税理士や所轄税務署へご確認ください。

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