中小企業の新たな経営戦略「オープンイノベーション」とは?

中小企業の新たな経営戦略「オープンイノベーション」とは?

 「オープンイノベーション」という用語を聞いたことがあるでしょうか?オープンイノベーションとは、「組織内部のイノベーションを促進するために、意図的かつ積極的に内部と外部の技術やアイデアなどの資源の流出入を活用し、その結果、組織内で創出したイノベーションを組織外に展開する市場機会を増やすこと」という、近年話題となっている概念です(Henry W. Chesbrough, 著書『Open Innovation』<2003年>)。具体的な動きとしては、オープンイノベーション・ベンチャー創造協議会(以下、JOIC)が、オープンイノベーションを抜本的に強化するプラットフォームが設立させ、官民一体となってオープンイノベーションを推進しています。

 中小企業においても、オープンイノベーションは他人事ではありません。その証拠として、「2019年版中小企業白書」(以下、中小企業白書)でも、中小企業におけるオープンイノベーションが取り上げられており、その必要性が述べられています。また、経済産業省・関東経済産業局では、中小企業や連携を支援する支援機関が活用できる「オープンイノベーション・プロセスモデル」を作成しています。このように、近年では大企業のみならず、中小企業においてもオープンイノベーションの必要性が高まっているといえるでしょう。今回のコラムでは、今、話題となりつつある中小企業におけるオープンイノベーションを取り上げ、現状と課題、そして中小企業が今後意識すべきことについて考えていきたいと思います。

 

オープンイノベーションの今

 まず、日本におけるオープンイノベーションの実施状況を見ていきましょう。経済産業省によると、オープンイノベーションに取り組む日本企業は増えているものの、世界に比べると未だ発展途上段階であるといいます。「10年前と比べたオープンイノベーションの取組」に関しても、「ほとんど変わらない」という回答が約52%を占めるなど、厳しい現状があります。特に製造業においては、外部リソース活用の機会が増加している企業が3割強に留まっている状況です。

経済産業省「企業におけるオープンイノベーションの現状と課題、方策について」<2019年4月5日>を参考に株式会社エクスが作成)

 このようにオープンイノベーションの実施と実現には課題が多いことを伺い知ることができます。JOICが発行している「オープンイノベーション白書第二版」<2018年6月>では、課題・阻害要因として組織戦略、組織のオペレーション、ソフト面の要素が挙げられており、「オープンイノベーションを実施しない、または中止した理由」として、実施するための経営能力や人材が不足しているという回答が日本企業に多いことを明らかにしています。

JOIC「オープンイノベーション白書第二版」<2018年6月>を参考に株式会社エクスが作成)

 とりわけ中小企業において、人材不足の問題は深刻でしょう。大企業でさえオープンイノベーション実現のための人材を準備できない状況であれば、中小企業ではよりハードルは高いものになると考えられます。

 

中小企業とオープンイノベーション

 しかしながら、上記のような現状においてもオープンイノベーションに取り組んでいる中小企業は存在します。中小企業白書には、実際にオープンイノベーションを行う企業として、大阪府にあるケーブル・ワイヤー製造の企業である株式会社HCIが紹介されています。株式会社HCIは三菱電機株式会社と協同し、ワイヤーハーネスを自動で作るロボットシステムを開発しているという記載があります。

 また、中小企業白書では、大企業が期待する研究開発の連携相手について「中小企業」という回答が56.7%占めるなど、期待の高さが明らかにされています。
中小企業庁「2019年版中小企業白書」<2019年4月>を参考に株式会社エクスが作成)

 このような状況を考慮すると、厳しい現状がありながらも中小企業にチャンスがないとは言い切れません。大企業の連携相手として名を上げることができれば、中小企業においてもオープンイノベーションを実現する機会が十分にあるでしょう。オープンイノベーション白書第二版には、大企業におけるオープンイノベーションの例が多数記載されており、厳しい現状にありながらも、オープンイノベーションが大企業で徐々に広まりつつあることがわかります。大企業で拡大すれば、中小企業における可能性も加速度的に高まるはずです。

 

中小企業がオープンイノベーションに取り組む必要性

 中小企業にとってオープンイノベーションに取り組むことは、今後の経営に非常に重要な意味を持つと考えられます。実際に中小企業白書でも、企業の更なる成長にとってオープンイノベーションが重要であると述べられています。オープンイノベーションによって、他社や大学、研究機関と協力することで、優れたアイデアを素早く入手でき、自社のみでは実現できなかった商品・サービス化を行うことがなり得ます。また、経営資源の限界を突破する手段としてオープンイノベーションを活用することも可能であり、中小企業にこそオープンイノベーションが重要であると述べられています。

 人材不足が叫ばれ、グローバル化が加速度的に進行している令和の時代。これらの構造変化の中で安定的に経営を続けていくことは、大企業でさえ困難な時代になっています。中小企業の場合はなおさら大変なことでしょう。それらの困難な事象への対応手段のひとつとして、オープンイノベーションはかなり有効的です。大企業とオープンイノベーションで連携することで、自社のアイデアを世に出し、売上と知名度を拡大することで、安定的な経営地盤を築き上げましょう。内向きの視野になるのではなく、視野を大きく外に向け、他社と協同していく意識こそが、今後の経営には不可欠になるといえるのはないでしょうか。

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