「令和2年度ものづくり基盤技術の振興施策」が公開されました。今年度のテーマは、「製造業のニューノーマル」です。新型コロナウイルスの感染拡大により、日本の製造業を取り巻く環境は大きく変化しました。そういった中、今回のものづくり白書では「レジリエンス」「グリーン」「デジタル」という、製造業のニューノーマルにおいて取り組むべき3本の軸が掲げられています。今回のコラムでは、それら3本の軸について解説し、製造業はどのように対応していくべきかを考えていきます。
1本目の軸は「レジリエンス」です。東日本大震災や熊本地震といった災害経験から、昨今は企業の危機意識が向上し、BCP(事業継続計画)を策定する企業は着実に増えていました。しかし、今回の新型コロナウイルス感染症の拡大は、自然災害のように局地的なものではなく世界全体で同時多発的に発生し得るものであり、従来のBCPでは到底対応できない状況に陥ってしまいました。
BCPを策定・運用してきたとはいえ、取引先全体を把握、管理するといったことはまだまだ未熟な状態です。そこで今回のものづくり白書では、今後の製造業はもっと強靭なサプライチェーンを構築することが必要と示しています。具体的には、サプライチェーン全体を可視化した上で、調達先の分散など危機に備えるといった方策を挙げています。
また、危機の内容にとらわれることなく、いかなる時でも事業を継続できるような「オールハザード型」のBCP策定も注目されています。仮に、人員や設備の一部が機能不全になったとしても、残りのリソースで事業を継続できるように準備する体制が必要となるのです。
2本目の軸は「グリーン」です。昨今、各国政府がカーボンニュートラルへの意識を高めています。カーボンニュートラルとは、二酸化炭素の排出量と吸収量を実質プラスマイナスゼロにするという意味です。企業活動や日常生活において二酸化炭素の排出量をゼロにすることは不可能なため、森林等が吸収する二酸化炭素量で埋め合わせて二酸化炭素の排出総量を変えないようにしようという考え方です。日本も2050年までのカーボンニュートラルを目標にしています。
このような政府の動きは、産業界にも影響を与えています。実際に、製造業でもサプライチェーン全体でのカーボンニュートラルを目指して取り組む企業が現れています。今回のものづくり白書では、Apple社が2030年までにサプライチェーン及び製品ライフサイクル全体で、カーボンニュートラルの達成を目指す発表が掲載されています。
日本のサプライチェーンにおいても例外ではありません。ある日、得意先からカーボンニュートラルへの取り組みを求められるかもしれません。
同時に、グリーンファイナンスの手法が普及していることも注目されています。グリーンファイナンスとは、国内外での投資家や金融機関において、企業の環境問題への取り組みを投資の判断材料にするという手法のことです。今後は、環境問題への意識を高めずには資金調達が難しい時代になるかもしれません。企業が一丸となって環境問題への意識を高めていく必要があります。グリーンファイナンスと関連するESG投資については、下記のコラムもご覧ください。
3本目の軸は「デジタル」です。新型コロナウイルスの感染拡大で、改めて先の読めない時代であることが分かりました。そのような先の読めない時代だからこそ、急激な環境変化に臨機応変に対応する能力「ダイナミック・ケイパビリティ」が必要になります。2020年版「ものづくり白書」によると、ダイナミック・ケイパビリティの獲得にはデジタル化が有効だといえます。詳細は、以前のコラム「コロナ禍で注目!ダイナミック・ケイパビリティとは?」をご覧ください。
デジタル化といえば、最近ではDX(デジタルトランスフォーメーション)を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか?経済産業省は2018年にDXレポートを作成して以降、DXの必要性と2025年の崖への危機意識を企業に訴えてきました。しかしながら、多くの企業ではなかなかDXは思うように進んでいないという現状があります。
そのような暗中模索する状況ですが、ニューノーマル時代では、よりDXへの取り組みを強化する必要があります。今回のものづくり白書では、人材の育成、リモート化への取り組み、バリューチェーンを意識したデータ連携、5Gの活用、サイバーセキュリティ対策などが提唱されています。
以上のように、これからの製造業には「レジリエンス」「グリーン」「デジタル」の3ワードが鍵となります。これらの重要性は理解できるものの、実際の行動レベルに落とし込む際に悩んでしまう企業も多いと思います。
このような場合、一気に変革するのではなく、少しずつ取り組みながらPDCAを回していくという姿勢が重要です。
例えば一歩目として、電子取引(EDI)の導入をするのはいかがでしょうか。サプライチェーン全体の可視化と管理、そしてデジタル化にはEDIが最適です。昨今は、在宅勤務の拡大で取引業務の電子化が喫緊の課題といえるでしょう。また、基幹システムの刷新等と比べると安価に導入ができるということも、一歩目にはもってこいです。
そしてEDIの導入が成功した後は、RPAの導入を検討するのが良いと考えます。RPAを導入すれば、システム間の連携を容易に実現できます。社内のあらゆるシステムが連携し、かつ、人手が介入せずに業務が進行する。まさにものづくり白書で提唱されているデジタルの要件を満たすことができます。
千里の道も一歩から。ニューノーマル時代での生き残りをかけた戦いは既にスタートしていますが、焦らずに着実に対応していきましょう。
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