2021年も残すところあと半月となりました。皆様にとって2021年はどのような年でしたでしょうか?今年は、昨年以上に新型コロナウイルスが猛威を振るい、8月には21都道府県で緊急事態宣言が発令されました。一方で、ワクチン接種も着々と進められ、12月現在では感染収束の希望が見えてきました。しかし、大きく変貌した私たちのライフスタイルは”ニューノーマル”として定着し、新型コロナウイルスが収まろうとも、パンデミック前の状況に戻ることは決してないでしょう。
パラダイムシフトとも呼べるこの変動の中で、IT業界においても様々な変化やトレンドが生まれました。ウィズコロナ・アフターコロナと呼ばれる時代を生き抜くために、2021年のITトレンドを振り返り、これからのIT潮流を把握しましょう。
2023年10月から始まるインボイス制度に対して不安を抱えている企業も多いのではないでしょうか。インボイス制度が始まれば、インボイスの保存が発行者、受領者双方に義務付けられ、免税事業者と課税事業者の仕分け作業も発生し、手間が増えることが懸念されています。これを受けて、インボイスを電子データでやり取りする電子インボイスが注目を集めていますが、今年はこれに関連して「Peppol(ペポル)」が大きな話題となりました。
Peppolとは、電子インボイスなどの電子文書をネットワーク上で授受するための国際的な標準規格です。欧州各国をはじめ、シンガポール、オーストラリアなどで採用されており、Peppolに基づく電子インボイスの国際的な利用が推進されています。日本では、EIPA(電子インボイス推進協議会)が、日本国内の事業者が幅広く共通的に使える電子インボイスシステムの構築を目指し、Peppolに日本の法令や商慣習などで必要な追加要件を加えた国内標準仕様を策定すべく取り組んでいます。また今年9月には、デジタル庁がPeppolの国際的な運営団体である「OPEN Peppol」のメンバーとなるなど、官民一体となってPeppolの国内適用と電子インボイスシステムの実現を目指していることがうかがえます。
今後は、電子インボイスの普及によって請求業務が電子化され、それに伴い、前工程である見積や受発注といった業務も電子化の必要性が高まっていくと考えられます。
レガシーシステムの問題やIT人材不足の問題などによって企業のDX推進が阻まれ、このままだと2025年以降、大きな経済損失が生じる可能性があると懸念されています。いわゆる”2025年の崖”です。これを阻止すべく、DXの強力な推進力になると期待されているのが、「ノーコード・ローコード」です。
ノーコード・ローコードとは、アプリケーションやシステムの開発を行う際に、コードを書かない、もしくは少ないコードで開発ができるというものです。ノーコードは、基本的に用意されている機能を使って開発を行うので、一からのプログラミングに比べると柔軟性は劣ります。しかし、一般的なシステム開発で必要なコードの記述が全く必要ないので、プログラミング言語などの専門スキルがない人でも開発が可能です。ローコードは、ノーコードのようにコードの記述が全く不要というわけではありませんが、少ないコードでの開発が可能で、自らコードを記述できるので、高い汎用性や拡張性があります。
ノーコード・ローコードの技術を用いることで誰もが開発者となり得るので、IT人材不足の時代でも限られたエンジニアだけに依存することなく、様々なシステム・アプリケーションを開発することが可能です。また、ノーコード・ローコード開発では、直感的な画面操作や、あらかじめ用意された機能を組み合わせるだけでプログラミングができるので、よりスピーディーな開発が可能となります。企業間の競争が激化している現代において、企業の競争力向上にも役立つでしょう。ノーコード・ローコードの最たるものとして、「RPA(Robotic Process Automation)」があります。RPAについて詳しくは以下のコラムもご覧ください。
DXの潮流は、民間企業にとどまらず行政へも変革をもたらしています。政府は行政手続きにおけるデジタル化の遅れを懸念し、デジタル庁を中心に「デジタルガバメント」の実現を目指しています。
政府によると、デジタルガバメントとは「デジタル技術の徹底活用と、官民協働を軸として、全体最適を妨げる行政機関の縦割りや、国と地方、官と民という枠を超えて行政サービスを見直すことにより、行政の在り方そのものを変革していくこと」と述べられています(政府CIOポータル参照)。端的に表現すれば、行政のDXです。政府が提唱するSociety5.0時代にふさわしい行政サービスを国民一人一人に提供することが目的です。
デジタルガバメントが実現すれば、すべての行政手続きがインターネットを経由して24時間いつでもどこでも申請できるようになり、国民や企業の利便性が飛躍的に向上するでしょう。利益を追求する民間企業だけではなく、公益を目的とする政府までもがデジタル化に力を注いでいることを考えると、我々のライフスタイルや企業活動が大きく変化して、国全体でDX化を加速せざるを得ない時代になったということがうかがい知れます。
近年、情報システムを構築する際に、そのインフラとしてクラウドの採用を第一に考える「クラウドファースト」という考え方が一般的になりました。クラウド利用はイニシャル費用が抑えられるほか、BCP対策も可能なため、中小企業から大企業に至るまで広く普及しています。
しかし昨今、すべてクラウドだけでシステム構築することが最善なのか、という問題提起がなされるようになりました。コストの観点では、クラウドサービスは従量課金制が多く、イニシャル費用は抑えられるものの、長期使用となると物理サーバーよりもコストがかかるという指摘があります。また、自社に合ったシステムを構築するという観点では、エンジニアが自由にカスタマイズできる物理サーバーの方が柔軟性が高いという指摘もあります。
そこで、クラウドファーストから「クラウドセントリック」という考え方にシフトする流れが生まれています。クラウドセントリックとは、システム開発のインフラ選定において、「クラウド」だけではなく「クラウドを中心に、周囲にクラウド以外の必要なソリューションを配置する」という考え方です。来年以降は、クラウドとノンクラウドを組み合わせる流れが主流となり、クラウドサービスと連携できるソリューションの需要がますます増えると考えられます。
昨今、良いモノでニーズがあっても売れるとは限らない時代になりました。テクノロジーが発展して、様々な情報が簡単に手に入るため、モノの差別化が難しくなったからです。そのため、モノ自体ではなくモノを通して得られる「体験」が重視されるようになり、企業はUX(ユーザーエクスペリエンス)やCX(カスタマーエクスペリエンス)の向上に注力するようになりました。また、UXやCXを向上させるためには、自社の従業員に対するケアも必要であるとして、EX(エンプロイーエクスペリエンス)を重視する流れも生まれました。さらには、現実では経験できないような体験を指すMX(マルチ・エクスペリエンス)も登場しました。デジタルやモバイル、VR(仮想現実)などのIT技術を使って、より快適な生活体験を得るという考えです。
そして、今年注目を集めたのが「TX(トータル・エクスペリエンス)」という概念です。TXとは、前述のUX、CX、EXをMXとリンクさせ、関わる人にとって総合的により良い体験を創出しようとする戦略のことです。今や新型コロナウイルスの影響で、人と人の接触が避けられようになり、実際のモノを通した体験を得にくくなっています。したがって、IT技術を用いるMXを通して新たに価値のある体験を提供し、CXやUXを向上させていくことが重要となるのです。「製造業のサービス化」に代表されるように、今後このTXをいかに提供できるかが、企業競争を勝ち残る鍵になりそうです。
2021年は、コロナ禍によって定着したニューノーマルへの対応に試行錯誤した一年となりました。コロナ不況により経営の舵取りが難しくなった企業や、コロナ禍だからこそビジネスチャンスを掴んだ企業など、企業価値が大きく変化した一年といえます。
2022年からはニューノーマルに対応することが大前提となり、その上で自社しか提供できない価値を創出していかなければなりません。そんな時代だからこそ、ITを利活用し、自社の企業価値を高めることが重要になります。常にITトレンドにアンテナを張り、一歩先に進む経営を実現しましょう。
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