製造業が注目すべき2023年ITトレンド 5選!

製造業が注目すべき2023年ITトレンド 5選!

 2023年も早1カ月が過ぎようとしています。昨年は、インボイス制度や電子帳簿保存法への対応、ウクライナ侵攻によるサプライチェーン危機もあり、DXやITの重要性が再確認された年でした。果たして2023年はどのような年になるのでしょうか。製造業においては、継続してDXやIT活用が拡大していくことは間違いないでしょう。今回は、勢いを増すIT潮流を生き抜くために、今年注目すべき ITトレンド を先取りして予想していきたいと思います。

 

セキュリティサービスの導入促進

 直近の法対応やテレワークの推進によって、社内業務や企業間取引のデジタル化が進められています。そのため、様々な情報が電子的に授受され、保存されるようになりましたが、同時に脅威やリスクにさらされる機会も増えました。ハッキングやウイルスによる情報の盗難や改ざんといった被害が数多く発生しており、セキュリティの重要性が社会全体で認知されるようになっています。最近でも、メールで機密情報をやり取りする際のPPAP問題と呼ばれるようなリスクが指摘されており、企業における情報の取り扱いやセキュリティへの配慮が一層求められる時代となりました。企業としては、脅威やリスクによる被害を防ぐために、社内のITツールやネットワークのセキュリティを向上していかなければなりません。

PPAP問題が電帳法改正で悪化!?解決策はEDIにあり


 こういった状況を受けて、情報資産を守るためにセキュリティサービスを導入する企業が急速に増加しています。情報セキュリティにおいて重要となるのは、情報の3要素「機密性」「完全性」「可用性」を維持することで、これらを維持するためのサービスが数々生まれています。安全に機密情報を共有できるファイル共有サービスや、パスワードを安全に保管するパスワード管理ツールなどがその例です。
 また、特に脅威から情報資産を守る対策として、サイバーセキュリティサービスの導入も進んでいます。サイバーセキュリティ対策と一口にいってもその方法は様々です。対策箇所としては、入口・エンドポイント・内部・出口の4種類に分けられます。入口対策とは、攻撃の初期段階で内部への侵入を防ぐ対策で、従来のファイアウォールがその代表例です。今までのサイバー攻撃対策は、ほとんどが入口対策でしたが、近年の脅威の多様化によって他の対策も必要になっています。サーバーやパソコンなどの機器に対して行うエンドポイント対策や、入口対策をすり抜けた攻撃に侵入の拡大防止や監視強化などを行う内部対策、攻撃の外部への通信を遮断し監視を強化する出口対策が必要であり、各範囲によって様々な対策ツールやサービスが提供されています。
 
 サイバーセキュリティ対策は、脅威による被害の最小化や取引先からの信頼性担保に繋がるため、大手企業と取引する中小企業も無関係でいられません。今年は今一度、自社のセキュリティを見直し、適切なセキュリティツールを導入していくことが求められます。

 

HRTech

 これまで、企業間取引や社内の基幹業務はシステム化や電子化が着々と進められてきましたが、人事業務においてはアナログな方法が主流でした。社員情報が一人ひとり紙でファイリング管理されて、採用において紙の履歴書等を担当者が目で確認するのが普通で、面接も対面が基本でした。その他、求人や勤怠管理、人事評価など、幅が広い業務にも関わらず、アナログ中心で取り扱う情報量も多いため、業務効率の観点から課題を抱えていました。
 
 このような人事領域の電子化・効率化を実現するため、最近ではHRTechを導入する企業が増えています。HRTechとは、人事・人材(Human Resources)とテクノロジー(Technology)を合わせた造語で、人材採用や人材育成などの人事業務をデジタル化するツールです。採用時の情報を一元管理する採用管理システムや、社内の人材を一元管理する人材管理システム、社員の労働状況を管理する労務管理システムなど、広範囲でシステム化が進んでいます。これらのHRtechを導入することで、適正な人事評価が可能になったり、自社に足りない人材が明確にできたり、あるいはプロジェクトを進めていく中で自社内の適格な人材は誰かがすぐ分かるようになるなど、人事・人材管理の大きな効率化が見込めるでしょう。
 人材は、人”財”として企業が抱える立派な財産です。人材を効率的かつ適正に管理していくことも企業競争を生き抜くには必要な要素になるので、HRTechの導入を検討してみてはいかがでしょうか?

 

凄まじい勢いで発展するAI技術

 自然言語の自動翻訳や、自動車の自動運転、スマートフォンに搭載されているバーチャルアシスタントなど、AIも今や当たり前の技術として我々の生活を支えています。現在もAI技術は急速に進歩を続けており、近い将来AIが人間を超える、いわゆるシンギュラリティ(技術的特異点)も現実味を帯び、AIが人の仕事を奪うというようなこともよく言われています。最近では、文章で指示した通りの画像を生成できる画像生成AIを使って制作した絵画が、コンテストで優勝作品に選ばれたことが話題となりました。また、2022年11月にOpenAIが公開したChatGPTは、従来の対話型AIをさらに発展させ、人間を相手にやりとりしているような自然な会話が可能な自然言語処理モデルとして大いに注目を集めています。
 
 このようなAI技術の浸透は、すでにBtoBの世界でもマーケティングや製品の品質検査、製造過程の異常検知、予知保全など、一部の分野で進んでいますが、2023年はAI技術の発展により企業の利用に耐えうるAIサービスがさらに多く登場してくるでしょう。例えば、AIが人材採用を行ったり、契約書内容を確認して契約締結まで進めたり、自社にとって最適な取引先をマッチングしたりと、AI活用の可能性は無限大といえます。
 AIの発展に伴って、人が担うべき仕事はなにか、人にしかできないことはなにかということも今一度考え直すべきタイミングなのかもしれません。しかし、AI技術の発展で業務効率化がなされていくことは間違いないので、AI技術には常にアンテナを張って情報収集すべきです。

 

いよいよ始まるインボイス制度

 インボイス制度の施行がいよいよ今年10月に迫っています。インボイス制度対応に向けて、昨年から社内システムの見直しや、電子契約、電子取引の導入を進めている企業は多いと思いますが、今年に入ってもまだ未対応の企業も少なくないようです。最近の動向をみると、昨年11月に小規模事業者向けの大幅な緩和処置を設ける方針が固められるなど、企業の対応状況によっては、施行までに何らかの制度見直しが行われる可能性がありますが、インボイス制度自体は今のところ予定通り施行されるようなので、未対応の企業はそろそろ動き出すべきでしょう。

すぐにわかる!インボイス制度の最新動向!


 企業での具体的な対応としては、事業者登録番号の記載や税率ごとの税計算に対応するために、社内の販売管理・会計管理システムの見直し・改修が進められています。また、紙のインボイス管理で発生する手間を削減するために、クラウド請求などの電子契約サービスを活用した「電子インボイス」の導入が促進されており、これを機に紙での請求業務から卒業する企業も増えることでしょう。
 そして2023年以降は、この請求の電子化を種火として、企業間取引全体の電子化が進むと思われます。インボイスは、その上流の取引で発生する受発注や出荷、検収の情報にも密接に関連していることから、「電子取引」サービスによって一連の取引を電子化し、請求業務に限らず取引業務全体の効率化を目指す企業が増えると予想されます。取引の電子化は、現状の運用を大幅に見直す必要があるため短期間でできるものではありません。早めの検討、動き出しをオススメします。

 

電帳法の宥恕措置も今年まで!

 電子帳簿保存法も、電子取引の普及を加速させた要因といえます。電子帳簿保存法とは、国税関係帳簿書類や証憑書類を電子データで保存することを認めた法律のことです。また、電子取引(EDIやEC、メールを利用した取引など)については、取引データの保存義務が定められています。昨年1月1日に施行された改正電子帳簿保存法では、電子取引で発生した取引データの紙保存を認める代替措置が撤廃され、データでの保存が完全義務化されました。特にメール添付で注文書や請求書をやり取りしている企業は、メールサービスだけでは保存要件を満たせないため、取引業務の大幅な見直しが必要となります。詳しくは過去のコラムをご覧ください。

メールで受け取った注文書の紙出力保存がNGに!2022年1月の電子帳簿保存法改正


 企業の対応状況が芳しくなかったため、対応までの宥恕期間が設けられましたが、それも今年一杯が期限ですので、早めの対応が必要です。電子帳簿保存法に対応して取引データを保存できる「電子取引」サービスの利用が今年も加速していくことでしょう。

 

まとめ

 今回は、2023年の注目すべきITトレンドを先取り予想しました。企業が抱える課題を解決する鍵はやはりITやDXであることは、皆様もひしひしと実感しているのではないでしょうか。2023年以降、IT技術が益々進歩して企業でのIT活用やDXも促進されていくことでしょう。このような潮流に無頓着では競争力を高めていくことはできません。今年も常にIT潮流にアンテナを張り、DXを推進して、競争社会の中で他社との差別化を図っていきましょう。

 弊社では、2300社を超える企業が利用し、受発注や見積、検収、支払通知など一連の取引を電子化できるクラウド型EDIサービス「EXtelligence EDIFAS」や、1,700本を超える導入実績がある中堅・中小製造業向けの生産管理システム「Factory-ONE 電脳工場MF」を提供し、企業のDX推進をご支援しています。

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