製造業が注目すべき2021年 ITトレンド 5選!

製造業が注目すべき2021年 ITトレンド 5選!

 2021年も早いもので既に半月が経過しました。昨年以上に新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化しており、昨年5月以来の緊急事態宣言が11都府県を対象に発令されました。昨年に引き続き、まだまだ先行き不透明な状況ではありますが、一刻も早く世界が新型コロナウイルスの猛威から脱却し、幸せな未来が来ることを願うばかりです。
 さて、世の中は暗いニュースで溢れかえっている昨今ではありますが、今回のコラムではそうした時代を生き抜くためにITトレンドの先取り予想をしていきたいと思います。激動の時代だからこそ、ITの力は発揮されます。今こそ流行の先取りで、一歩前に進んだ経営をしていきましょう。

 

コロナ対策には必須!Anywhere Operations

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、在宅勤務などテレワークを導入した企業も多いのではないでしょうか。一方で、在宅勤務ではなかなか生産性を向上できず、悩んでいる経営者の方々も多いのではないかと思います。コロナによって半強制的に在宅勤務の導入という働き方改革が推し進められているわけですが、そのような中で注目されている概念が「Anywhere Operations」です。
 Anywhere Operationsとは、日本語で「場所を問わないオペレーション」と訳され、従業員がどこにいようとも、あらゆる場所の顧客に対して付加価値の高い体験を提供できるようにビジネスの管理をするIT運用モデルのことを意味します。すなわち、コロナ禍で出社しない従業員が増えたとしても、今までと変わらない、又はそれ以上の価値を顧客に提供できる体制のことです。例えワクチンが普及したとしても、ビフォーコロナには戻らない現在の状況を考えると、Anywhere Operationsを意識することは肝要といえます。
 では、どのようにAnywhere Operationsを実現すれば良いのでしょうか?一つのヒントとして、ハイパーオートメーション(全自動化)という概念があります。ハイパーオートメーションとは、複数の先端技術を組み合わせ、事業横断的に企業内の業務を自動化するという意味です。本コラムにおいて、自動化を実現するRPA活用についてたびたび取り上げてきましたが、RPAだけではなく、AIやIoTなど様々な先端技術を駆使して、社内のDX(デジタルトランスフォーメーション)化を推進するのがハイパーオートメーションです。ハイパーオートメーションを実現すれば、社内でしかできない仕事は全自動化され、人がすべき仕事をテレワークでするという運用が可能です。製造業においては、工場で働く人がなかなかリモートワークできないと言われていますが、人が直接モノを取り扱わないといけない業務以外では、そういった自動化に取り組む余地が十分にあるのではないかと思います。
 ニューノーマルという単語は聞き飽きるほど当たり前のものになりましたが、ニューノーマル時代はリモートと自動化の組み合わせが重要になるのは間違いありません。

 

ペーパーレス化の波で急増!EC、EDIサービス

 二つ目のトレンドは、EC、EDIといった「ペーパーレス関連のサービス増加」です。新型コロナウイルスの影響で、あらゆる企業においてテレワークが開始されました。そのような中で、紙業務が原因でテレワークができないという課題が浮き彫りになりました。結果、テレワークの環境を整備するために電子化、ペーパーレス化への意識が一気に高まりました。特に受発注といった企業間取引は紙が根強く残る業務の一つであり、企業間取引の電子化ツールであるEC、EDIサービスが注目されていると考えられます。新型コロナウイルスの影響は未だなお続いています。今年も企業の紙業務を排除する動きは続いていくことでしょう。
 また、EDIに関しては2024年問題という大きな波を忘れてはいけません。2024年問題に関しては、以前のコラム「発注が止まる?EDIの 2024年問題 とは?」でご紹介していますが、2024年問題によってISDN回線を利用した従来のEDI利用者は、インターネット回線を利用したEDIへの切り替えに迫られています。また、令和2年10月の電子帳簿保存法が改正され、クラウドサービスの利用が保存処置として新たに認められた背景から、2021年はクラウド型のEDIやECサービスが拡大していくと考えられます。

 

DX時代のセキュリティ!ゼロトラスト

 新型コロナウイルスの影響で、日本のIT化が進んでいないことが顕在化しました。その結果、デジタル庁の開設や紙業務の排除への取り組みなど、IT化、電子化を進める政府の動きが活発になっています。DX時代と呼ばれるように、どの企業にとってもIT化は必要不可欠になり、いかにITを駆使してビジネスモデルを再構築するかに企業の真価が問われる時代になっています。そのようなデジタルベースの社会において、セキュリティへの対策は切っても切れない存在です。そこで今、「ゼロトラスト」という概念が注目されています。
 昨年末のコラム「2020年のITトレンド振り返り5選」にて少しご紹介しましたが、ゼロトラストとは、「あらゆる通信を信頼しない」ことを前提としたうえで、監視、検査、ログ取得を行うというアプローチ方法です。コロナ禍でのテレワークの拡大で、様々な場所から社内ネットワークへのアクセスが増えることにより、外部からの不正アクセスといったセキュリティリスクも比例して増えています。また、製造業ではIoTシステムなどによる設備の可視化や自動化、協力会社とのデータ連携といった工場のスマート化が進む中、どこから悪意のあるソフトウェアが侵入してくるかの判別が難しくなってきています。
 今後、ワクチンが普及し、新型コロナウイルスの感染拡大が収まったとしても、テレワークといった働き方はなくなりません。そのため、よりセキュリティ対策の重要性を意識する一年になると考えられます。今から「ゼロトラスト」の考え方を意識することが今後の企業活動に必要なのではないでしょうか。

 

Society5.0に向けて急加速!デジタルツイン

 デジタル前提の社会構造になるにつれ、「デジタルツイン」という概念も近年急激に注目されてきました。そして、ニューノーマル時代の到来によって、今年は今まで以上に急速にデジタルツインの波が来ることでしょう。
 デジタルツインに関しては、以前のコラム「注目が集まるデジタルツイン!製造業の活用事例と今後の可能性」でご紹介しましたが、製品や製造環境など実在するモノと同じデータ(デジタル上の双子)をリアルタイムにコンピュータ上で忠実に再現する仕組みのことを指しています。
 デジタル庁の発足によって、今「Society5.0」が改めて注目を浴びています。「Society5.0」のビジョンとは、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会(Society)といわれています。その実現にデジタルツインの技術は欠かせません。
 実際に製造業において、既にデジタルツインを実用している例があります。よく知られる事例としては、民間におけるトヨタのMaaS戦略やテスラのモノづくりが挙げられます。デジタルツインによって、新たな顧客体験の創出や、現実空間では難しい作業をバーチャル空間で試行することにより、今まで以上に生産性向上が期待できます。
 コロナ禍でITを駆使したビジネスモデルの再構築が求められる中、今年はデジタルツインの実用化も期待される一年になるでしょう。

 

デジタル化に向けて解消が急務!
企業内のデジタルディバイド

 日本の少子高齢化は深刻な状況です。内閣府「令和2年版高齢社会白書」によると、2019年10月1日現在で、65歳以上の人口割合は28.4%になっており、社会全体が高齢化している現状です。また、デジタルに慣れた人(デジタルネイティブ)と不慣れな人との格差も広がっています。とりわけ、デジタル中心のニューノーマル時代になってからは、より一層この格差が顕在化しました。
 この格差は、「デジタルディバイド(情報格差)」と呼ばれています。「デジタルディバイド」が社会のみならず、企業内で拡大することは、企業にとって大きな不利益を生み出します。DXを目指す中、デジタルに不慣れでIT化を嫌う人が社内にいるのは大きな歯止めになるでしょう。
 では、どうすればよいでしょうか?一つ目は、ITツールの選定には、デジタル弱者でも容易に利用可能なシンプルなサービスを検討するのが良いでしょう。例えば、コロナ禍で話題を呼んだWeb会議システムの「Zoom」が挙げられます。Zoomは誰でも簡単に操作できるUIに加え、従来のWeb会議システムを凌駕する通信の安定性があります。
 二つ目は、デジタルサービスはあくまでツールなので、それを活用する人材や風土が重要です。若年層はデジタルに明るいかもしれませんが、高齢者には知恵や経験があります。お互いが歩み寄り、互いに足りないところを保管しあうことで、「デジタルディバイド」を埋めることができます。結果、ITサービスを上手く活用することが可能になり、企業のDX化が進んでいくのではないでしょうか。また、外部からDX人材を採用するという手段もあります。デジタル庁の開設に伴い、官公庁でデジタルに造詣の深い人材の採用が活発化しています。そのように外部から人材を雇うことで、いわば社内の宣教師としてITを広めていくという手段もあるのではないかと考えられます。

 2021年は新型コロナウイルスに対して人類のアクションが問われる一年になります。2020年は右往左往する政府の方針や、前代未聞の状況、そしてニューノーマルと呼ばれるパラダイムシフトによって翻弄された一年だったかもしれません。しかし、今年はその教訓を活かし、未来に向けて一歩踏み出さなければなりません。先行きは未だ不透明ですが、だからこそ読めない未来を予測し、ITの利活用により自社を変える大きなチャンスと捉えることが生き残りのヒントになるのではないでしょうか。

 弊社では、テレワークを実現するクラウドWeb会議システム『Zoom』や、クラウドEDIサービス『EXtelligence EDIFAS』など、様々なITサービスを取り揃えておりますので、お気軽にお問い合わせください。

Share this...
Share on FacebookShare on Google+Tweet about this on TwitterShare on LinkedIn