ついにWHOが新型コロナウイルスについてパンデミック(世界的大流行)を表明しました。昨年末時点の様々なアナリストによる景況予測でも、消費増税による消費低迷、貿易摩擦の激化等を背景とした世界経済の減速が進み、先行きが不透明という見立てが多くありましたが、今回のパンデミックでより拍車がかかることになります。そのため、これからの経営の舵取りは難しくなる一方といえるでしょう。
今回はそういった状況の中で、2020年度に製造業が注目すべきITトレンドをご紹介します。
昨年のITトレンドについては下記コラムをご覧ください。
厚労省の新型コロナウイルス対策の基本方針により、企業に対しては患者・感染者との接触機会を減らす観点からテレワークや時差出勤の推進が求められています。製造業においては、ものづくりの現場の人がテレワークをするわけにはいきませんが、バックオフィス業務に従事する方はその対象となってくるでしょう。また、企業の拠点間でのコミュニケーションや、遠方の取引先とのやり取りへの対応のため、それらを実現するWeb会議システム導入が必要に迫られるのは間違いありません。
テレワークについては、社内ネットワークなどのインフラ、社内規程の整備なども合わせて考える必要があります。しかし現状況では、良くも悪くもまずは始めてみる企業が多く出てくるでしょう。結果、2020年はWeb会議システムが爆発的に普及すると考えられます。
テレワークについてもっと詳しく知りたい場合は、こちらのコラムもご覧ください。
弊社が取り扱っているクラウド会議システム『Zoom』についてはこちら
外出の機会が減ったり、工場の稼動率が下がってしまう今こそ、社内に目を向け、業務改善による生産性向上への取り組みのチャンスと捉える企業が多く出てくるかもしれません。一方でIT予算が限られる中小の製造業では、生産性向上に計画外の大きなIT投資は困難でしょう。そのため、少ない投資で費用対効果の大きいRPAは引き続き注目が集まると考えられます。RPA市場は年平均50%を超える成長を続けており、2020年度も目が離せません。
2020年はいよいよ5Gの商用サービスが開始されます。
超高速、超低遅延、多数同時接続という特徴をもつ5Gは、モバイル端末の可能性を劇的に広げ、特に5Gの特徴を生かす「xR」での活用に注目が集まっています。
製造業における5G活用の可能性についてはこちらのコラムをご覧ください。
一方、5Gを主要キャリア以外のビジネスに活用するために、総務省が推進している「ローカル5G」にも関心が高まっています。ローカル5Gでは、企業が周波数の割り当てを受けて、自社の敷地内に自前で5G通信環境を構築することできるため、小規模なビジネスでの活用が可能です。製造業においては、5Gの特性からIoTによるデジタルツインやウェアラブルデバイスでの利用といった、スマートファクトリーの実現が期待されており、NECやパナソニック、東芝などは既に参入を表明しています。
5Gの商用利用開始とともに、2020年度はローカル5Gについて耳にする機会が増えるでしょう。ローカル5Gについてもっと詳しく知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。
もはや説明不要となりつつあるAIですが、2020年も引き続き注目が集まるでしょう。ただ、2019年はビジネス領域においてAIが爆発的に拡大利用されたとはいえませんでした。というのも、AIのブラックボックス問題等の解消に向けて、2019年3月に内閣府が「人間中心のAI社会原則」を制定、発表しましたが、法整備までには至らず、その原則に則ったサービスの提供も難しいというのが実状でしょう。
また、今回のパンデミックによる世界同時株安についても、HFT(High Frequency Trading:高頻度取引)、いわゆるAIトレードが原因のひとつという声もあるようです。
人間やAIに予測できない事態が発生した際のリスクについて、あらためて厳しい目が向けられそうです。
一方、技術進歩は目覚ましく、SONYの「Neural Network Console」をはじめとした、AI技術者に必要だったプログラムや数式に関する知識がなくとも利用できるノンプラグラミングツールが増加しています。
こういったツールの普及により、上述のリスクが少ない限定的なビジネス領域においてのAI活用が広がるものと考えられます。製造業においては、カイゼンやQC活動に役立つ品質データの分析等での活用が進んでいますが、需要予測や設備負荷分散など、より業務プロセス分野での活用が広がっていくでしょう。
今やあらゆる分野でクラウドの活用が進んでいます。イニシャル費用が抑えられるクラウドサービスをフル活用する小規模な企業はもちろんのこと、柔軟なIT環境の実現やBCPの観点から、セキュリティが厳しい大企業においても、クラウドサービスを使っていない企業はないといえるほどになりました。
ただ、企業内のセキュリティソフトや基幹系の業務分野などにおけるクラウドサービスの利用は、まだ普及が充分とは言えません。主たる理由は、基幹業務に関わる情報の外部流出のリスクや、部分的なクラウド利用による既存システムとの連携に難がある点が挙げられますが、2020年はそれらの課題に取り組む企業が更に増えるのは間違いありません。DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進においても、レガシーシステムからの脱却や、短期に柔軟なシステムの構築が求められる中、情報システムの設計や移行に際してクラウドサービスの採用を第一に検討する「クラウドファースト」は、もはや当然の選択になっていくでしょう。
新型コロナウイルスにより先行きが更に不透明となった2020年、不安要素を挙げればキリがありませんが、こういったピンチにこそ、ITの利活用により自社を変える大きなチャンスと捉えることが生き残りのヒントになるかもしれません。
弊社では、テレワークを実現するクラウドWeb会議システム『zoom』や、クラウドEDIサービス『EXtelligence EDIFAS』など、様々なITサービスを取り揃えておりますので、お気軽にお問い合わせください。