あけましておめでとうございます。今年も、皆様のお役に立つような「IT」をキーワードとしたコラムをお届けしていきたいと思います。
昨年末から、さまざまなオンラインメディアが2018年のITトレンドを予測する記事を出しています。今年のコラム第1弾は、特に製造業に関係してくるであろうトレンドを予想したいと思います。
AIによる革新が2018年も続くと、さまざまな調査会社が予想しています。自動運転車、スマート家電をはじめ、より一層AIが身近なものになるのは間違いないでしょう。業務で利用するあらゆるアプリケーションソフトやITサービスにもAIが搭載され、例えばERPパッケージではAIによる分析機能の強化などが進むと考えられます。
特に製造業においては大手企業を中心に、AI・IoTの活用が顕著に現れています。主には予知保全による生産ラインの安定化、生産計画立案の自動化といった領域での活用が多いのですが、最近では材料開発にビッグデータ解析やAI技術を活用する「マテリアルズ・インフォマティクス(MI)」という取り組みも加速してきました。これまで新材料や代替材料は研究者といった専門家の経験や直感、多くの試行錯誤により探索されていましたが、材料特性のデータベースにAI技術を活用するMIによって、新材料や代替材料の発見に係る時間とコストを大幅に削減することが出来るのです。
最近では横浜ゴムがMIによるゴム材料の開発技術を確立したと発表しています。
出典:モーターファン(2018年1月9日閲覧)
AIはアイディア次第で革命的な変化を起こす可能性を秘めており、今後どのような領域で利用されるか目が離せません。
デジタルツインとは、工場や製造現場といった現実の出来事を、そのままデジタル上にリアルタイムに再現しようというものです。従来のシミュレーション技術と異なるのは、IoTなどによりリアルタイムにバーチャルな世界を再現することにあります。例えば、顧客に納入した製品の特性の変化をリアルタイムに収集し、デジタル上に反映していくことで、どの部品が摩耗しているかを把握し、保守・メンテナンスの効率化につなげ、より高精度な故障予知が可能となります。
このようにデジタルツインは、製品のアフターサービスに活用でき、製造業のサービス化というビジネスモデルの変革に大きな影響を与えることが期待されています。2015年頃から大手企業を中心に取り組まれていますが、IoTの普及に伴い、再度脚光を浴びそうです。
ドイツの大手シーメンスもデジタルツインに注力しており、同社のCEOのジョー・ケーザー氏が「18年の研究開発ではデジタルファクトリーが最大の投資先になる。」と発言しています。ドイツのデジタル化への取り組みはMETI Journalの「先駆者・ドイツはどこまで進んでいるのか」という記事で詳しく紹介されています。
デジタルツインの実現に欠かせないVR技術の製造業での活用については下記の記事でまとめています。
デジタルツインと関係の深い製造業のサービス化については、下記の記事で詳しく取り上げています。
APIエコノミーは、API(Application Programing Interface)を利用してシステム間を連携させることにより新たな価値を生み出す経済圏をいいます。エンドユーザーにとっては耳慣れない言葉かもしれませんが、APIエコノミーはここ数年さまざまな形で広がっています。よく紹介されているのはFinTechでしょうか。銀行がAPIを公開することにより、そのAPIを活用して口座情報から自動的に仕訳を行うクラウド自動会計ソフトなどが出現しました。
エンドユーザーにとっては、利用するあらゆるサービスやアプリケーション同士がつながることで、より一層便利な世の中になっていくものと考えられます。
製造業においても、IoT関連技術が今後さらに浸透すれば、収集したIoT情報をさまざまなプラットフォームで活用していくためにAPIが不可欠です。
APIエコノミーの市場規模は、米IBMの試算によると2018年には260兆円を超えるとの予測もあり、今後APIエコノミーが存在感を強めていくでしょう。
弊社が提供するクラウド型EDI「EXtelligence EDIFAS」もAPIを公開しております。EXtelligence APIを使えば基幹システムとEDIの連携を簡単に行うことができます。EAIツールなどを活用すれば開発工数をさらに削減することができます。EXtelligence APIの詳細や連携ソリューションはこちら「EXtelligence API ~EDI等のSaaS機能をシステムに組み込む~」をご覧ください。
また、APIを活かした基幹システムの構築についても下記で詳しく書いています。
AIやIoTといった最新キーワードにばかり目が行きがちですが、それらを効果的に活用するためには、既存システムとの連携が不可欠です。したがって、2018年は既存システムのモダナイゼーション(近代化)の動きが活発化してくるでしょう。既存業務システムのモダナイゼーションには、リプレイスやマイグレーション、バージョンアップといった手法がありますが、製造業が導入している業務システムは、企業ごとの独自運用に対応するため、カスタマイズされがちです。そのため、パッケージシステムやクラウドアプリケーションなど、汎用的に使えるシステムやサービスの活用がより一層増すと考えられます。また、上述のAPIエコノミーに追従して、「ポストモダンERP」に代表される、単一ベンダーがあらゆる機能を提供する形から基本機能以外のCRM、SCMなどは複数のクラウドサービスと緩くつながって連携するERP環境への根本的なシフトが加速するでしょう。
詳しくは、コラム「変革の時代、今こそ求められるITモダナイゼーション」をご参照ください。
話題のビットコインを支える技術である「ブロックチェーン」。昨年はまさに仮想通貨元年でした。金融業界では国内大手金融機関が仮想通貨への取り組みを進めていることから、身近なものになりつつあります。技術の詳細は割愛しますが、ブロックチェーンの本質は単なる仮想通貨という分野に限定されるものではなく、極めて堅牢性が高い分散型記録管理システムの実現にあります。ブロックチェーン技術は、誰が何をどのように登録・変更したか、誰でも簡単に分かり、かつ、情報登録の一部は人手を介さずに行われるため、情報の改ざんが不可能に近いという特性を持ちます。これらのことから、金融業界以外の産業でも活用が期待されています。例えば製造業の場合、部品の購入先や製造に使用した部品、製造プロセスを記録してサプライチェーンの透明性を保ち、顧客に安心感を与えることができます。また、何か欠陥が発生した場合、問題の原因を効率的に洗い出し、問題特定に係る人件費の削減を図ることができると考えられます。ブロックチェーンはサプライチェーンを変革し、既存の製品の製造、マーケティング、調達、消費のあり方に革命を起こす可能性を秘めています。
まだまだ黎明期の技術ではありますが、2018年はこの技術がどれだけ実際のサービスとして広がるか注目したいところです。
詳しくは、コラム「ブロックチェーン×製造業 サプライチェーン改革!」をご覧ください。
「シェリングエコノミー」と言えば、近年よく耳にするワードです。Uberによる車のシェアリングやAirbnbによる家のシェアリングが有名です。要するに、個々人が持っている資産の「空き」を他の人に利用してもらうことで、リソースの有効活用を図るビジネスです。そして、このシェアリングエコノミーが製造業にも展開されつつあります。製造業においても、動かしていない機械等の資産の有効活用は進めたいですし、人手不足や機材の不足で困っている企業もいます。そういった企業同士をマッチングすることで、うまく資源の有効活用を進めるサービスがリリースされています。しかし、B2Bにおいては情報を「隠す」ことも重要になります。そういった課題もある中で、どのような製造業向けのシェアリングビジネスが生まれるのか?そして、シェアリングエコノミーがどのように発展していくのか?動向が気になります。
詳しくは、コラム「製造業にも押し寄せるシェアリングエコノミーの波」をご覧ください。
いかがでしたでしょうか。製造業のIT投資は増加基調にあり、コラム「平成29年度補正予算「ものづくり補助金」の注目ポイント!」にある通り、政府も後押ししています。
弊社としても、ITの側面から製造業の発展を支援すべく尽力して参りますので、本年もどうぞよろしくお願いします。