まもなく始まる2019年の IT導入補助金 。各地でIT導入支援事業者向けの説明会が実施されています。今回は、過去のコラムでご紹介した『2019年IT導入補助金の最新情報!過去のIT導入補助金と比較』に加え、IT導入支援事業者向け説明会で明らかになった、対象となるITツールや、新たに導入される仕組み、加点要素についてご紹介します。
2019年7月17日より二次公募が始まりました。二次公募の詳細は『2019年 IT導入補助金の最新情報第3弾!二次公募の最新動向!』をご覧ください。
今回は次のような種類のITツールが対象となります。
①業務パッケージ
対象となる「業種」「業務範囲」「業務機能」が明確に定義され、特定の業務をシステム化するソフトウェア。
例えば・・・販売管理ソフト、会計ソフト、EDIシステム等
②効率化パッケージ
特定の業種や業務に使用が限定されず、複数システムの高度な連携・自動化を制御する製品や高度な解析・分析の機能を持つ独立した専用ソフトウェア。
例えば・・・RPAやBIツールなど
③汎用パッケージ
特定の業種や業務に使用が限定されず、広い業務に適用できる独立した専用ソフトウェア。
例えば・・・グループウェア、文書管理ソフト等
分類の呼称は変わっていますが、昨年以前と大きくは変わりません。
なお、以下は補助金の対象外となります。
・ ハードウェア
・ 組み込み系ソフト
・ スクラッチ開発
・ 料金体系が従量課金方式のソフトやサービス
・ 広告宣伝費を含むもの
・ 会員登録した利用者に対する情報提供サービス
・ 恒常的に利用されないシステム(緊急時連絡システム等)
・ VR・AR用コンテンツ制作、デジタルサイネージ用コンテンツ制作、コンテンツ配信管理システム
・ 利用者が所有する資産やブランドの価値を高める目的のシステム
当たり前ですが、「労働生産性向上」に資するITツールの導入であることが大前提です。
ですので、単に一方通行の情報発信をするホームページ(コーポレートサイト等)の制作は今回ITツールの対象外となっています。
ただし、「顧客とのインタラクティブ(双方向)なやり取りが可能であり、『インターフェイスの役割』を持つ、『業務プロセス』を補うためのホームページの制作費はオプションとして補助対象』になるようです。非常に分かりにくいのですが、たとえば、顧客の問い合わせサポートのためにチャットツール(ITツール)を導入し、そのチャットツールを動作させるためのサイト(ホームページ)を作成するのは、オプションとして認められるということになります。
なお、販路開拓・新規顧客の獲得のためのホームページ制作は、政府としては「小規模事業者持続化補助金」の利用を推奨しています。
当初は補助上限額450万円、補助下限額150万円という情報だけが出ていましたが、今回のIT導入補助金から「A類型」と「B類型」という2種類に区分され、いずれかを選択して申請することになります。
それぞれの違いは下表の通りです。
A類型 | B類型 | |
---|---|---|
補助上限額 | 150万円未満 | 450万円 |
補助下限額 | 40万円 | 150万円以上 |
補助率 | 1/2以内 | |
補助対象経費 | ソフトウェア費、クラウド利用費、導入関連費 | |
[一次公募] 期間 |
||
[一次公募] 採択予定日 |
||
[一次公募] 事業実施期間 |
5ヶ月 | |
[一次公募] 効果報告 |
3回(2020年4月~2022年4月) | 5回(2020年4月~2024年4月) |
[二次公募] 期間 |
2019年7月17日(水)~2019年8月23日(金)<予定> | |
[二次公募] 採択予定日 |
2019年9月6日(金)<予定> | |
[二次公募] 事業実施期間 |
交付決定日以降~2020年1月31日(金)<予定> | |
[二次公募] 効果報告 |
3回(2020年4月~2022年4月) | 5回(2020年4月~2024年4月) |
特に補助金額に大きな違いがあり、金額の大小に伴い、公募期間や採択予定日、効果報告の回数が変わります。
どちらの類型を申請できるかは、単にITツールの購入金額だけではなく、そのITツールがどれだけの業務改善に使えるかによって判断されます。
ITツールがカバーする業務について、昨年のIT導入補助金では、「機能」という表現をしていましたが、今回は「プロセス」という表現で、次のように区分されます。
種別 | Pコード | プロセス名 |
業務プロセス | P-01 | 顧客対応・販売支援 |
P-02 | 決済・債務債権・資金回収管理 | |
P-03 | 調達・供給・在庫・物流 | |
P-04 | 人材配置 | |
P-05 | 業種固有プロセス(実行系) | |
P-06 | 業種固有プロセス(支援系) | |
P-07 | 会計・財務・資産・経営 | |
P-08 | 総務・人事・給与・労務 | |
効率化プロセス | P-09 | 自動化・分析 |
汎用プロセス | P-10 | 汎用 |
上述のプロセスを踏まえ、A類型、B類型はそれぞれ次のような申請要件となります。
A類型 | B類型 | |
---|---|---|
必要な プロセス数 |
業務プロセスの中から1つ以上 且つ 種別関係なく全体で2つ以上 |
業務プロセスの中から3つ以上 且つ 種別関係なく全体で5つ以上 |
政府方針としては、生産性の向上を図るためには、複数の業務機能を組み合わせる(業務をまたぐ)ことが望ましいとしているので、複数の業務をカバーするITツールを導入することが要件となります。しかし、このあたりは、補助金を利用しようとしている補助事業者(エンドユーザ)では、導入するITツールがどこまでカバーしているか分かりにくい為、申請に協力してもらうIT導入支援事業者(ITベンダー)によく相談しましょう。
なお、B類型で申請し、交付決定した場合、実績報告時の補助金額が150万円を下回っても、A類型に変更はできない点にも注意が必要です。
過去IT導入補助金に採択された企業でも、今回のIT導入補助金への申請は可能です。
ただし、導入するITツールには留意が必要で、過去IT導入補助金を利用して導入したITツールと異なる新しいITツールの導入か、もしくは、同じITツールの導入であっても次の点をクリアしている必要があります。
◆同じITツールを導入する場合の条件
1.申請時点で昨年度までに導入したITツールが納品から1年以上経過していること
2.継続利用のための利用料としてではなく、今年度の交付決定以降に新規で結ばれる契約に基づく導入であること
例えば、別拠点や違う部署で”新規導入”するケース等が挙げられます。
導入済のITツールを利用する人が増えたため、ライセンス数を追加するといったケースは対象にならないので注意しましょう。
今回のIT導入補助金では、過去の加点要素に加えて「クラウド製品・サービスの導入」が挙げられました。
過去のIT導入補助金からの加点要素は次のとおりです
・ 固定資産税の特例率をゼロの処置を講じた自治体に所属していること
※先端設備等導入計画の認定は不要です
・ 地域経済牽引事業計画の承認を得ていること
・ 地域未来牽引企業であること
・ おもてなし規格認証2019を取得していること
・ 「クラウド製品」として登録されたITツールを導入 ←今回追加
国全体でクラウドの利用を推進していることもあり、今回加点要素に追加されたと思われます。
なお、申請要件として「SECURITY ACTIONの自己宣言」は昨年度と同様です。
前回のコラムでご紹介した通り、2019年度のIT導入補助金は過去と比較して予算や補助予定件数が削減されているので、厳しい採択率が予想されます。
お付き合いのあるITベンダーに相談して、ぜひ1次公募から申請しましょう。
※本コラムは2019年4月12日時点の情報を元にしています。
補助事業者向けの公募要領は、今回ご紹介した内容と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
弊社も昨年度は「IT導入支援事業者」に認定されており(今年度、現在申請中)、2018年の申請実績は100パーセントの交付決定率でした。2019年も中小製造業向けにさまざまなITツールを登録する予定ですので、お気軽にご相談ください。
弊社が取り扱っているITツールはこちらをご覧ください。