業界ごとに標準化が進むEDIとその課題

業界ごとに標準化が進むEDIとその課題

 以前のコラム「EDI基礎の基礎!取引レベルを知ろう」で、企業間取引はその手段の効率性によって、いくつかのレベルがあることをご紹介しました。その中でも、効率性の高い企業間取引手段であるEDIは、さまざまな業界で標準化が進められています。今回は、「標準EDI」に注目して業界ごとの標準EDIをご紹介するとともに、標準EDIの課題について考えます。

標準EDIとは?

 以前のコラム「今さら聞けない!EDIとは」でご紹介した通り、EDIとは、各種取引情報を標準化した規約に基づいて企業双方向で通信する仕組みのことで、通信、書式、運用、契約の4つの要素で構成されています。また、それぞれに規格が存在し、取引をする双方が同じ規格に準じていなければなりません。現在、日本では業界ごとに規格の標準化が進んでいます。それが今回ご紹介する「標準EDI」です。
 標準EDIを利用すれば、発注側は同一の規格で複数の企業と取引が可能となります。また、受注側も取引先ごとに書式を変換するシステムを準備する必要がなくなります。つまり、発注企業と受注企業双方にとって効率的な仕組みといえます。では、標準EDIにはどのようなものがあるのでしょうか?

業界別の標準EDI

 各業界の主な標準EDIは下図の通りです。今回は、流通BMSとCI-NET、ZEDIについて簡単にご紹介します。

 流通BMS:消費財流通業界

 流通BMSとは、「流通ビジネスメッセージ標準(Business Message Standards)」の略で、流通事業者(メーカー、卸、小売)が統一的に利用できる標準EDIです。スーパー業界で2005年に検討が始まり、経済産業省の「流通システム標準化事業」により、2007年4月に制定されました。それまで流通業界では、1980年に制定されたJCA(日本チェーンストア協会)手順というプロトコルを使って受発注データをやり取りしていました。しかし、JCA手順は通信速度が遅い、電話回線でネットワークにつなぐための通信機器(モデム)が入手しにくい、漢字や画像が送れないといった欠点がありました。流通BMSは、JCA手順に代わる手段としてインターネットを採用することで、通信時間の短縮や通信コストの削減を実現しました。モデムは不要となり、漢字や画像も送信可能となりました。2021年6月現在、小売業界、卸、メーカー業界で15500社以上に導入済です。

 CI-NET:建設業界

 CI-NET(Construction Industry NETwork)とは、建設生産に関わる様々な企業間の取引情報を電子交換するための仕組みです。建設業界では、建築や設備の見積依頼など商談の段階から、注文、出来高報告、請求、決済までいくつもの段階があります。従来帳票でのやり取りが行われていましたが、CI-NETはこれらを電子的に交換するための標準として作られました。なお、建設業界では、EDIと関連が深い電子帳簿保存法だけではなく、建設業法への対応も求められます。CI-NETは、国土交通省が推進している官民一体の標準規格であり、建設業法に遵守した規格として標準化されています。現在、建設業振興基金が主導となりCI-NETの普及に取り組んでおり、大手ゼネコンを中心に多数の企業が利用しています。

 ZEDI(全銀EDIシステム):銀行業界

 全銀EDIとは、支払企業が振込時に支払通知番号・請求書番号などのさまざまな情報を受取企業に送信できるシステムです。2018年12月25日に稼働を開始しました。全銀EDIが登場する前から、企業がファームバンキング(FB)やインターネットバンキング(IB)を通じて銀行へ送信する振込データの規格は、「全銀フォーマット(全銀協規定フォーマット)」として広く浸透しています。しかし、従来の仕組みでは固定長の形式のため、振込に付随する取引情報(請求書番号など)が充分に付加できず、振込された側は売掛金との照合に手間が掛かるなど、企業間取引には非効率でした。これらの課題を解決するため、全銀EDIは国際標準であるXML電文を採用しています。XML電文では英語や日本語でも対応可能であり、データの追加や削除も簡単に行えます。また、異なる製品間で相互的に運用できるため、柔軟性のある電文形式です。 XML電文を利用することで、多くのEDI情報を振込時に送信できるようになりました。現在、主要な銀行や信用金庫がZEDIに対応しており、利用可能な金融機関は増加の一途を辿っています。

標準EDIの課題

 前述の通り、標準EDIには発注側のみならず、受注側にもメリットがあり、業界ごとに普及が進められています。
 しかし、中小企業の視点からみると大きな問題があります。一つ目として、標準EDIは業界ごとに定められているので、業界横断的な取引が多い中小企業にとっては、取引先にあわせて複数の規格のEDIを使用しなくてはならないという問題です。いわゆる「多画面問題」が発生します。結局、EDIを導入したにもかかわらず、操作の手間が増えるだけで業務の非効率化に繋がることもあります。

 二つ目としては、コストが挙げられます。業界標準のEDIを利用するには、標準EDIに対応したEDIソフトウェアの購入や、大手企業が主導するVANサービス(Value Added Network:付加価値通信網)の利用を求められることが多く、導入コストは高額になりがちです。つまり、中小企業が導入するにはハードルが高いEDIといえます。
 以上のことから中小企業では、標準EDIは普及しているとはいえない状況です。仮に利用していたとしても、得意先から指定されて受注にEDIを利用しているにとどまり、自社からの発注に関してはあまり利用されていないのが実態です。
 そのほか、標準EDI自体がレガシー化するという問題も発生しています。一部の標準EDIでは通信インフラにISDN回線が使われており、そのISDN回線がNTT東西の発表で2024年に終了することが決定しています。そのため、ISDN回線を利用した標準EDIで企業間取引をしている企業は、2024年までにインターネット回線に対応した規格に乗り換えを迫られています。詳しくは以下のコラムをご覧ください。

発注が止まる?EDIの 2024年問題 とは?

中小企業共通EDIがおすすめ

 そこで、中小企業にも導入しやすいEDIとして「中小企業共通EDI」という新たな標準EDI規格が策定されています。中小企業共通EDIについては、以前のコラム「中小製造業の生産性向上!「中小企業共通EDI」とは」をご参照下さい。
 中小企業共通EDIは、その特長としてプロバイダ間での連携があります。共通EDIプロバイダとして認証されているサービス同士ならば、まるでメールのように異なるプロバイダ間でも相互にEDIデータの送受信を行うことができます。これは多画面問題の解決に一石を投じることになるでしょう。また、共通EDIプロバイダはクラウドで提供されるため、インターネット回線を利用して、安価で利用できるのも中小企業向けといわれる所以です。このように、従来の標準EDIではメリットを享受できない中小企業も、中小企業共通EDIを導入することで、ペーパーレス化や生産性向上を実現することができます。
 また、以前のコラム「下請中小企業振興法の振興基準が改正!中小企業共通EDIが明記」でもご紹介した通り、下請中小企業振興法の改正によって、中小企業共通EDIは国推奨のEDIであると太鼓判が押されました。今後、日本の中小企業にますます普及していくことでしょう。
今回は標準EDIとその課題についてご紹介しました。まずは中小企業共通EDIで、企業間取引の効率化に取り組んでみませんか?

  

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