昨今のペーパーレス化の風潮に伴って、EDIなど 電子取引 サービスを導入して企業間取引の電子化を目指す企業が増えています。ただ、企業間取引の電子化は社内業務の電子化とは違い、取引先の協力があって初めて成立するものです。そのため、電子取引を始めようとしても取引先の協力がなかなか得られず断念するケースも少なくありません。そこで今回は、電子取引の導入を進める際、取引先の協力を得るためには、どのように進めれば良いか、どのようなことに留意すべきか、順を追って整理していきたいと思います。電子取引の導入を検討しているお客様は是非ご一読ください。
電子取引サービスの選定が固まれば、実際にどの取引先と導入を進めるかを選定するステップになります。もちろん、全取引先を電子取引に移行して取引方法を統一することが理想でしょう。しかし、全取引先の一斉移行が難しい場合がほとんどではないでしょうか?日々の取引量が多いような上位取引先であれば取引先側でも効率化などのメリットが見込めますが、年に数回など、取引頻度が少ない取引先の場合は紙やFAXなどの従来の方法と比べてあまり効率化が見込めず、慣れ親しんだ従来の方法のまま変えたくないということになり、協力を得るのが難しくなりがちです。
以上を考慮すると、まずは取引量が多い上位取引先など優先的に協力を得たい取引先を選定して、スモールスタートすることがオススメです。そして、ある程度安定稼働したタイミングで、取引先を拡大するというような段階的な展開が比較的進めやすい流れとなります。
場合によっては従来の方法で取引する取引先を残すということも必要です。取引先によっては、社内のルールや方針によって、電子化に対応できない企業もあります。そういった企業に無理強いはできないので、従来の紙やFAXの手段で取引を継続していく必要があります。また、一度取引先の反応を伺ってから、取引先の選定を進めるというのもありです。意識調査アンケートなどで電子取引の導入を検討してくれるかどうかを確認して、検討すると回答した取引先を中心に選定を進めるということも1つの手です。
取引先が選定できれば、その取引先に対して実際に協力打診を進めていきます。協力打診では、協力依頼書や上記のような協力依頼アンケートで、協力依頼と協力意思の確認を行う必要があります。また、必要であれば集合説明会を開き、対面での説明・協力依頼をするケースも考えられます。適切な打診方法は、導入企業や取引先の状況によって変わってきますので、打診の方法に迷った場合は、電子取引サービスベンダーに相談することもオススメします。これまでの導入実績で蓄積されたノウハウがあるので、適切な打診方法を提案してくれます。
そして、打診方法がどんな形であれ、協力依頼をかける上で取引先に示さなければならないことは、取引先側のメリットです。この説明があるかないかで、取引先の納得感、協力意欲、社内での承認可否が左右されます。導入を検討している理由と併せて取引先にもメリットがあることを協力打診で明確に説明することが大事です。
メリットとしてはまず、ペーパーレス化による紙の管理工数の大幅削減や業務効率化が挙げられます。加えて、データの利活用というメリットも考えられます。例えば、受注企業の請求業務を考えた場合、従来であれば紙の検収書を受領して、自社の売掛と照合して違算チェックをして、請求書を発行・郵送します。一方、電子取引の場合、受領した検収データを業務システムに取り込む事で照合の手間も省くことができ、それを基に請求データを作成・送信することができます。また、取引データが日々蓄積されていくので、未来の受注予測などの取引分析にも役立ちます。
電子帳簿保存法やインボイス制度では、電子取引でやり取りされるデータは、発注企業・受注企業に関わらず、要件を満たして長期保存することが義務付けられています。導入企業だけではなく、取引先も電子取引での送信データ・受信データは要件を満たして保存しておくことが必要となります。したがって、取引先でどのような方法でデータを保存して電子帳簿保存法やインボイス制度に対応するかを検討しておく必要があります。最近の電子取引サービスでは、ユーザが特に意識せずともサービス上に要件を満たしたデータを長期保存できるものも増えているので、法対応の観点も考慮してサービスを選定しましょう。
なお、協力依頼をかける取引先が下請企業に該当する場合、下請法についても考慮が必要です。詳しくは過去のコラムもご参考ください。
また、取引先の費用負担についても検討が必要です。電子取引サービスには、取引先に利用料が発生するものが多くあります。したがって、取引先にかかる費用を誰が負担するかということも検討して打診しなければなりません。効率化が大きく見込める上位取引先はメリットを享受するわけなので、費用負担を依頼できる可能性もありますが、あまりメリットがない取引先については、当然ながら費用負担させられません。取引先に費用がかからないサービスや、取引先の費用を自社で負担できるような料金プランがあるサービスを検討することも重要です。
取引先への打診が完了し、無事協力の了承が得られれば、続いて電子取引で取引する上での取り決めを交わしておくことが重要です。こういったルールは、売買取引基本契約の覚書や基本条項へ組み入れるケースが一般的です。売買取引基本契約とは、企業間の継続的取引において、反復して継続される個々の取引に対して、共通で適用される基本的な契約条件をあらかじめ企業間で合意しておくものです。電子取引の導入においては、どのタイミングで売買が成立するのかをはじめ、電子取引で売買する上での共通ルールを取引基本契約に組み込みます。そのほか、電子取引利用の申込書や同意書といった様式で、電子取引によってデータを授受することを承諾したエビデンスを残すというような方法もあります。このように、あらかじめ電子取引でのルールを定めて、後々のトラブルや紛争に備えましょう。
そして、実際に取引先と導入を進めていく際、取引先へのサポートを用意しておくことも重要です。電子取引サービスを新しく導入して利用するということは、一から操作方法や運用方法を理解してもらい、慣れてもらう必要があります。特に実際の操作イメージについては、書面やマニュアルだけでは理解しづらく、誤解が生じて後々のトラブルに繋がる可能性もあります。取引先が少なければ取引先ごとに訪問して回って説明することも可能ですが、取引先が数十社、百社単位になるとそうもいきません。そのような場合は取引先向けの集合説明会を開くことも考えられます。実務担当者に集まってもらい、システムやサービスを実際に触ってもらいながら操作方法や運用を説明します。なお、取引先向けの集合説明会をサポートメニューとして用意しているサービスベンダーもあるので、それを活用することも選択肢の1つです。
また、導入時や稼働初期はやはり不慣れなせいもあって、取引先からの問い合わせが多くなる傾向にあります。その時に備え、あらかじめ問い合わせ先を統一しておくような準備も必要でしょう。自社に問い合わせ窓口を用意するなどすれば、取引先も問い合わせしやすく、迅速に対応できます。また、サービスによってはサービス上に問い合わせフォームを設け、サービスベンダーのサポート部隊に直接問い合わせできるものもあるので、基本的な機能についての質問などは、直接ベンダーに問い合わせしてもらうように統一することも可能でしょう。いずれにせよ、問い合わせ先の取り決めを事前にしておくことがオススメです。
今回は、電子取引の導入において、取引先の協力を得て導入を進めるにはどうすれば良いかを整理しました。電子取引の導入によっていくら自社の効率化が見込めたとしても、取引先の協力が得られなければ導入実現は厳しいものとなります。取引先との力関係に起因して協力が得やすいケースもあるかも知れませんが、もちろん取引先への無理強いはできません。取引先の選定や打診方法、契約の締結や取引先へのサポートなど、複数の観点を考慮して、取引先との導入を円滑に進めていきましょう。
電子取引サービスをご検討なら、弊社のクラウドEDIサービス『EXtelligence EDIFAS』がおすすめです。製造業を中心に国内外2700社の企業が利用しており、月額3,000円(税別)からの圧倒的な低価格、使いやすいインターフェースと豊富な設定機能で、誰でも簡単に操作することができます。電子帳簿保存法にも対応し、経済産業省、中小企業庁が推進するEDI規格「中小企業共通EDI」に準拠したサービスなので、安心感と将来性を兼ね備えています。最大2カ月の無料トライアル期間もございますので、ぜひこの機会にお試しください!
EDIFASの詳細はこちらお問い合わせこちら