迫るインボイス制度!今こそペーパーレス取引(EDI)にチャレンジ

迫るインボイス制度!今こそペーパーレス取引(EDI)にチャレンジ

2018年10月15日の臨時閣議で、安倍首相が改めて2019年10月の消費税増税を予定通り実施することを表明しました。それに伴い、いよいよ来年度から軽減税率制度、そして、インボイス方式の経過措置である区分記載請求書等保存方式がスタートすることになります。
コラム『インボイス方式導入による影響』でも紹介したとおり、インボイス方式、および区分記載請求書等保存方式が施行されることで、さまざまな事務作業負担が増えることが予想されます。今回は、迫るインボイス方式による事務作業負担の軽減に有効な、電子帳簿保存法にも対応するEDI(電子商取引)の有効性について紹介したいと思います。
※本解説は主にB2B取引をされている法人企業(課税事業者)を対象としています。

 

インボイス方式ではどんな手間が増える?

 改めてインボイス方式ではどのような事務作業が増えるでしょうか?
インボイス方式の概要については下記コラムをご覧ください。

インボイス制度導入による影響

 インボイス方式に対応したシステム改修もさることながら、実務作業としては主に次の3点が現行制度より増えることになります。

①インボイスの保存は、発行者、受領者双方に義務付けられるため、管理の手間が増える
②免税事業と課税事業者の仕分作業が発生する
③入金消込、会計仕訳のために、インボイスに記載される税率ごとの本体金額と税額の仕分作業が発生する

 これらの増大する実務作業の多くは、インボイス(納品書や請求書等)をでやり取りすることが要因のひとつといえます。紙でやり取りするため、保管場所や仕分作業の手間が増えるわけですね。

 

インボイスをEDIで提供して仕分作業を軽減

 しかし、現行制度同様、インボイス方式ではインボイスに必要な記載事項を満たせば電磁的記録(電子データ)で提供することが認められています。

『消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A(適格請求書に係る電磁的記録による提供)』
問20
当社は、請求書を取引先にインターネットを通じて電子データにより提供していますが、この請求書データを適格請求書とすることができますか。
【答】
適格請求書発行事業者は、国内において課税資産の譲渡等を行った場合に、相手方(課税事業者に限ります。)から求められたときは、適格請求書の交付に代えて、適格請求書に係る電磁的記録を提供することができます(新消法57の4①⑤)。したがって、貴社は、請求書データに適格請求書の記載事項を記録して提供することにより、適格請求書の交付に代えることができます。

 適格請求書に必要な記載事項は次の通りです。

 ①適格請求書発行事業者の氏名又は名称
 ②取引年月日
 ③取引の内容
 ④受領者の氏名又は名称
 ⑤適格請求書発行事業者の登録番号
 ⑥軽減税率の対象品目である旨(「※」印等をつけることにより明記)
 ⑦税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜又は税込)及び適用税率
 ⑧税率ごとに区分して合計した消費税額等(消費税額及び地方消費税額の合計額)
 ※⑤~⑧がインボイス方式で新たに追加される記載事項

 電磁的記録による提供方法としては、インボイス通達3-2で例示されています。

インボイス通達3-2
(適格請求書の記載事項に係る電磁的記録の提供)
3-2 適格請求書発行事業者が、法第 57 条の4第5項の規定により、適格請求書、適格簡易請求書又は適格返還請求書の交付に代えて行う、これらの書類に記載すべき事項に係る電磁的記録(電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律第2条第3号《定義》に規定する「電磁的記録」をいう。以下同じ。)の提供には、光ディスク、磁気テープ等の記録用の媒体による提供のほか、例えば、次に掲げるようなものが該当する。
(1)いわゆるEDI取引を通じた提供
(2)電子メールによる提供
(3)インターネット上のサイトを通じた提供

 このあたりは、電子帳簿保存法の取扱通達2-3にある「電子取引の範囲」とほぼ同じ内容となります。要はPDF化したインボイス(納品書や請求書)をメールで添付して送ったり、WEBサイトからダウンロードしてもらうといった運用もOKということです。
しかし、先述の免税事業者と課税事業者の仕分作業や、入金消込のために税率ごとの本体金額・税額の仕分作業を考えると単に紙そのものを電子化(PDF化等)して提供するより、EDI(請求書データ、納品データ等)で提供することで、相手方もデータ活用が可能となり、仕分や入金消込などの事務作業の効率化につながります。

 

EDIはインボイスを電磁的に保存できるので売り手・買い手双方にメリット

 現行制度では売り手側は請求書等の交付義務・保存義務はありませんでしたが、インボイス方式ではインボイスの保存が義務付けられることになります。従来のように紙で保存するとなると、仕分作業やファイリングなどの管理作業が増加しますが、保存方法についても、現行制度と同じく、紙での保存、もしくは、電磁的な保存が認められています。

『消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A(適格請求書の写しの電磁的記録による保存)』
問 46
当社は、自己の業務システムで作成した適格請求書を出力し、書面で交付しています。
適格請求書発行事業者は、交付した適格請求書の写しを保存しなければなりませんが、書面で交付した適格請求書の写しとして、当該システムで作成したデータを保存することも認められますか。
【答】
適格請求書発行事業者には、交付した適格請求書の写しの保存義務があります(新消法57の4⑥)。
こうした国税に関する法律の規定により保存が義務付けられている書類で、自己が一貫して電子計算機を使用して作成したものについては、電帳法に基づき、一定の要件を充たすことについて所轄税務署長の承認を受けたとき、電磁的記録による保存をもって書類の保存に代えることができるとされています(電帳法4②)。

 ですので、先述のように、インボイスを事務作業の効率化につながるEDIで提供し、且つ、そのデータを電磁的に保存(ペーパーレス化)することも可能ということになり、管理の手間を軽減できるのです。
なお、電磁的な保存については、電子帳簿保存法における保存要件に準ずることになります。EDIにおける電子帳簿保存法の保存要件については下記コラムをご参照ください。

電子帳簿保存法におけるEDIの保存要件

 EDIは買い手側のメリットばかり着目されがちでしたが、売り手側のインボイス保存が義務付けられるインボイス方式では、EDIを利用することで双方の事務作業効率化につながるものと考えられます。
 

 いかがでしたでしょうか。経過措置である区分記載請求書等保存方式は2019年10月から開始されますので、順次対応を進めている企業は多いと思いますが、IT人材不足が叫ばれている昨今、自社システムを担当するベンダーの技術者を確保することが今後困難になると予想されます。事務作業が増大する4年後のインボイス方式を見据えて、今のうちにEDIへの取り組みを進められてはいかがでしょうか。

 本コラムでご紹介した内容のほか、EDIを導入するメリットについては下記コラムもご覧ください。

製造業が発注業務にEDIを導入する6つのメリットとは?

※本コラムは、2018年10月25日執筆時点の情報をもとにしております。
※本コラムはあくまで弊社の見解を示したものであり、実際の判断は税理士や所轄税務署へご確認ください。

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