CI実現の強い味方!コネクテッド・インダストリーズ税制とは?

CI実現の強い味方!コネクテッド・インダストリーズ税制とは?

日本版インダストリー4.0を実現するため、ここ数年間は集中投資期間に位置付けられています。2018年度には「Connected Industries経済対策」として様々な施策が実施されていますが、今回は特定の条件を満たすことで、特別償却や税額控除を受けられる「コネクテッド・インダストリーズ税制」についてご紹介します。その他の施策については、下記の記事をご覧ください。

コネクテッドインダストリーズが加速する!「Connected Industries 経済対策について」

コネクテッド・インダストリーズ税制の概要

 コネクテッド・インダストリーズ税制は、一定のサイバーセキュリティ対策が講じられたデータ連携・利活用により、生産性を向上させる取り組みについて、それに必要となるシステムや、センサー・ロボット等の導入を支援する税制措置であると経済産業省のホームページで説明されており、IoT税制とも呼ばれています。
 対象事業者や支援内容は下記の通りです。

 対象事業者

 青色申告事業者(業種・資本規模による制限はなし)

 課税の特例の内容

 認定事業計画(認定革新的データ産業活用計画)に基づいて行う設備投資について、税額控除3%※1(賃上げを伴う場合は5%※2)または特別償却30%を措置
※1 法人税額の15%が控除額が5%の場合は法人税額の20%が限度額となります。
※2 継続雇用者給与等支給額が対前年度増加率3%以上を満たした場合に限ります。

 対象設備

 ソフトウェア、器具・備品※3、機械・装置※3
※3 器具・備品、機械・装置はソフトウェアとともに取得等をするものに限ります。また、クラウドサービスの利用料は対象となりません。

 税制適用期間

 平成30年6月6日から平成32年度末まで

 最低投資合計額

 5,000万円

 他の税制優遇制度と異なる点は、資本規模による制限がなく、大企業も対象となる点です。しかし、中小企業よりも厳しい条件が課されています。詳しくは「平成30年度 経済産業関係 税制改正について」のスライド3をご確認ください。


認定事業計画の認定要件

 コネクテッド・インダストリーズ税制の適用を受けるには、所定の要件を満たす事業計画を策定し、主務大臣の認定を受ける必要があります。計画の認定を受けるための要件は下記の3つです。

 ①データ連携・利活用

 企業やデータがつながっていくことを目指すコネクテッドインダストリーズの実現にとって不可欠の要件です。具体的には下記のいずれかを満たすことが求められており、下図のような例が想定されています。

  • 社外データやこれまで取得したことのないデータを社内データと連携
  • 企業の競争力上重要なデータをグループ企業間や事業所間で連携
  •  

    データ連携・利活用の想定例(経済産業省作成の資料より抜粋)

     ②セキュリティ

     昨今ではサイバーセキュリティが大きな社会課題となっており、IoTに関してはさらにその危険性が喧伝されています。セキュリティ対策も企業連携のためには欠かせません。要件としては、必要なセキュリティが講じられていることをセキュリティの専門家(登録セキスぺ等)が担保すること、とされています。
     登録セキスぺとは情報処理安全確保支援士という国家資格の通称で、情報セキュリティの専門人材を確保するために2016年から実際されている制度である「情報処理安全確保支援士制度」にて登録された情報セキュリティの専門家を指します。

     

     ③生産性向上目標

     生産性の向上も日本の喫緊の課題ですからこちらの要件も重要です。対象となる設備を取得等した年度の翌年度から3年間において、下記のいずれも達成する見込みがあることが求められています。

  • 労働生産性:年平均伸率2%以上
  • 投資利益率:年平均15%以上

  • 中小企業から見た、コネクテッド・インダストリーズ税制のポイント!

     ここまで、コネクテッド・インダストリーズ税制についてざっと紹介してきましたが、中小企業からみると大きく2つのポイントが存在します。

     最長5年間の事業の計画で、
     最低投資合計額の5,000万円を満たせばよい

     いくら税制優遇が受けられるといっても、単年度で5,000万円を使用することはハードルが高いでしょう。コネクテッド・インダストリーズ税制では、投資対象が設備単位ではなく、事業単位になっています。また、「革新的データ産業活用計画 認定申請書 記入方法」によると、実施期間を「5年以内」で記載することが求められています。つまり、事業の実施期間は最長5年ということになります。平均すると年間1,000万円の投資ということであれば、随分ハードルが下がりそうです。

     

     セキュリティ面の認定を
     ITコーディネーターに依頼できる

     登録セキスぺは新しい制度ではありますが、登録者数は約1万名おり、少なくはありません。しかし、中小企業にとってはITコーディネータの方が馴染みがあり、社内、あるいは付き合いのあるITベンダーにITコーディネータがいるというケースも多いでしょう。そのような中小企業にとって、3つの要件の1つであるセキュリティの担保(事業計画書への署名)をITコーディネータに行ってもらえるのは後押しとなります。実際の流れとしては、付き合いのあるITコーディネータとともに事業計画を策定し、もう一度ITコーディネータに確認してもらって、それを主務大臣に申請する、という形となるでしょう。


    コネクテッド・インダストリーズ税制をうまく活用するには?

     制度に合わせて自社の事業計画を変更するのではなく、自社の中長期的な計画にうまくマッチする制度を利用することが重要です。したがって、コネクテッド・インダストリーズ税制は、直近で基幹システムのリプレイスやバージョンアップを検討されている企業や、IoT化に向けてシステムを刷新しようと考えている企業にぴったりです。制度の詳細や求められている事業計画と、自社の事業計画を比較されてみてはいかがでしょうか。クラウドサービスの利用料が対象とならない点など、いまひとつな部分はありますが、これからコネクテッドインダストリーズの実現に向けてチャレンジする製造業にとって後押しとなることは間違いありません。

     

    本記事で参考にした資料はこちらです。
    コネクテッド・インダストリーズ税制

    また、コネクテッドイ・ンダストリーズ税制に関する経済産業省のページはこちらです。
    コネクテッド・インダストリーズ税制について

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