コネクテッドインダストリーズ推進の柱となる「産業データ活用促進事業」とは?

コネクテッドインダストリーズ推進の柱となる「産業データ活用促進事業」とは?

以前のコラム「コネクテッドインダストリーズが加速する!『Connected Industries 経済対策について』」で、コネクテッドインダストリーズを実現するための具体的な施策について紹介しました。今回は、その中でもデータのさらなる活用に向けた、基盤を構築するための取り組みを支援する「産業データ活用促進事業」について紹介します。

 

産業データ活用促進事業の概要

 産業データ活用促進事業に関する情報は、経済産業省商務情報政策局・製造産業局が公表している資料「Connected Industries 経済対策について」(経済産業省ウェブサイト)に掲載されています。
 同事業は、コネクテッドインダストリーズの重点5分野を中心とした事業領域において、データを共有・共用し、さらなる活用をするための仕組み作りに対して補助金を支給することで後押しする事業です。要するに、みんなにとって価値がある情報を共有して、さらなる価値を生み出すことができるような仕組みを作ってくれるならサポートしますよ、という事業になります。具体的には、データ活用のための基盤となるシステムの構築や実証運用、システム構築に向けたデータ標準・互換性、API連携等の検証調査まで、幅広い活動が補助対象となるようです。
 実際に稼働する仕組みとしては、コマツ、NTTドコモ、SAPジャパン、オプティムで提供される建設分野でのIoT活用を目指したシステム構築基盤「LANDLOG(ランドログ)」をイメージすると分かりやすいでしょう。コマツは建設現場の見える化を実現するクラウドプラットフォーム「KomConnect」を2015年から提供しています。ランドログではコムコネクトの機能を一部委譲し、より広範なデータの利活用を目指しています。先日公表されたプレスリリース(「IoTプラットフォーム「LANDLOG」アプリケーション開発プロバイダ向けに公開 」)によると、ランドログを使えば、これまで複数の専門業者の間でバラバラに管理されていた情報をつなぎ、建設現場の全体最適が実現できるようです。アプリケーション開発プロバイダは、ランドログ上に蓄積された建設機械や地形などのデータを*APIを通じて参照・利用することで、建設現場のユーザー向けのアプリケーションを開発することが可能です。
*APIについては以前のコラム「APIで実現する”ちょうどいい”業務システム導入の実現!」をご覧ください。

 このように、一社だけで情報を囲い込むのではなく、公開すべき情報を公開し、関係事業者間で利活用できるような仕組みが求められています。

 

産業データ活用促進事業の詳細

 産業データ活用促進事業の具体的な内容は下記の通りです。

 予算

 同事業には全体で18億円の予算が計上されています。約20件の事業が対象となり、1事業あたり、数千万円~最大3億円まで補助されるようです。

 事業スケジュール

 2018年2月に同事業の執行団体についての公募が行われました。現在執行事業者の選定中で、4月には事業者の公募が始まるようです。

 加点項目

 また、申請にあたっての加点項目として、下記の点が検討されているようですので、申請を検討されている事業者の方々は参考にされてはいかがでしょうか。

  1. 国内の他の共有基盤や諸外国の共有基盤との連携等、今後の拡張性が高い取組。
  2. データ解析等における最先端のAI技術の利活用等、先進的な取組。
  3. データ共有認定制度(生産性革命新法)における認定を目指した取組。

 補助対象事業

 具体的には下記のようなパターンの事業が補助対象となるようです。

「Connected Industries 経済対策について」から抜粋(クリックすると拡大します)

 抽象度の高さは否めませんが、事業全体の目的に照らして、上記のパターンを具体化することが求められるでしょう。製造業という文脈では、原料調達から、加工、製造、販売までのサプライチェーンをどのような方法で管理・見える化・活用できるのか、という調査事業が補助対象になるようです。以前のコラム「ブロックチェーン×製造業 サプライチェーン改革!」で取り上げたように、ブロックチェーンを活用したSCMの実現可能性の調査等が想定されているでしょう。また、IoT情報を集約・共有・活用するようなシステム基盤の構築も対象となりそうです。

 

 産業データ活用促進事業の事業者の募集は、4月中には始まる予定です。興味のある方は募集要項に目を通してみるとよいでしょう。また、自社が「産業データ活用事業者」にならなくとも、事業者が構築したプラットフォームは自社にとって有益なものになるかもしれません。どういった事業者が申請し、どういった取り組みが行われるのか、注視していきましょう。

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