日本版インダストリー4.0『コネクテッドインダストリーズ』は中小企業が主役?

日本版インダストリー4.0『コネクテッドインダストリーズ』は中小企業が主役?

『コネクテッドインダストリーズ』とは?

第4次産業革命
-ドイツが打ち出したインダストリー4.0に始まる一連の変革を指す言葉として、ここ数年、巷を騒がせています。そして、2017年に入り、いわば日本版インダストリー4.0ともいえるような概念が打ち出されました。それが『コネクテッドインダストリーズ(Connected Industries)』です。

“つながる”をキーワードに、日本の現場力やリアルなデータを活用していこうというコンセプトで、弊社代表の抱もコラム「『コネクテッドインダストリーズ』を知って欲しい。」で触れているように、日本の製造業にとって大きなチャンスとなりえます。

経済産業省も、ドイツ連邦共和国(ハノーバー)で開催されたCeBIT2017などの各種イベントでコネクテッドインダストリーズの講演を行ったり、コンセプト動画を作成するなどして、コンセプトの周知に努めています。

出典:経済産業省『「Connected Industries」コンセプトムービー』(平成29年10月2日)

また、より大きな視点でみると、コネクテッドインダストリーズが内閣府の提唱する我が国が目指すべき姿である『Society5.0(内閣府ホームページへのリンク)』につながっていくと位置づけられています。

Society5.0

出典:経済産業省 『「Connected Industries」東京イニシアティブ2017』(平成29年10月2日)

 

中小企業が主役?

こういった国全体の動きは、どうしても中小企業にとってはどこ吹く風となってしまいがちです。しかし、国内企業の99%以上を占める中小企業を巻き込まずに、国を動かすことができないのは言うまでもありません。コネクテッドインダストリーズは中小企業が主役となるようなコンセプトだと考えられます。

経済産業省のMETI Journalの政策特集でも、

人手不足が深刻化している。しかし自動化と人や機械が繰り返しつながる「コネクテッドインダストリーズ」は、その解決策になる。その果実を受け取るのは大企業ばかりではなく、むしろ中堅・中小企業だ。

引用:METI Journal 「中小企業が主役だ!人手不足がチャンスに変わる時」2017年11月29日閲覧

と明言しています。

また、コネクテッドインダストリーズの具体的な方向性や政策でみても、中小企業に力を入れていることがわかります。

 

 コネクテッドインダストリーズの中小企業へのメリット

特に中小企業へのメリットとして、下記の事項が挙げられています。

コネクテッドインダストリーズの中小企業へのメリット

出典:経済産業省 『「Connected Industries」東京イニシアティブ2017』(平成29年10月2日)

現状の課題の解決や利益の向上が主なメリットとしてピックアップされています。実現方法としては、中小企業でも安価に使えるような基盤の整備や、別のコラム「商流EDIと決済情報がつながる新しい金融EDIとは」で紹介した金融EDIと商流EDIの連携などの規格の統一、導入への支援などを行う方針のようです。

 

 スマートものづくり応援隊

また経済産業省が主導する事業で、「製造現場の経験が豊富な人材や、IoTやロボットに知見を有する人材等が指導者としての汎用的なスキルを身につけるための研修を実施し、育成した指導者を製造業等の中堅中小企業・小規模事業者の現場に派遣することで、生産性向上や新規事業開拓を促進することを目的」(経済産業省 平成29年度「スマートものづくり応援隊」の補助事業者の公募について)とした、スマートものづくり応援事業があります。この事業を今後2年間で40か所に拡大することを目指しているそうです。

スマートものづくり応援隊

出典:経済産業省 『「Connected Industries」東京イニシアティブ2017』(平成29年10月2日)

スマートものづくり応援隊が増えれば、中小企業への支援が充実することになります。

 

まず何から始めるべきか

このようにコネクテッドインダストリーズというコンセプトは中小企業にも大きく影響があるものです。しかし、まだまだ動き始めたばかりではあります。まずは、情報収集を行い、自分達のビジネスに関係のある部分を見極めていくことが重要ではないでしょうか。そして、標準の策定や実証検証など、関われることがあれば積極的に関わることをお勧めします。大きな流れに流されるのではなく、うまく乗っていくことが重要でしょう。既にIoTや、インダストリー4.0の影響は表れつつあります。こちらの記事「電子部品の調達競争を「EDI」で勝ち抜く!」で紹介しているように、製品を取り巻く業界構造が大きく変わることも想定されます。

他国の取り組みにも注目し、どのような点で協業でき、どのような点が競争になるのか検討することも重要でしょう。

中国版Industry4.0!「中国製造2025」の現状

今から始められることとして、来るべき”つながる”時代に備えて、社内情報のデータ化、そして、取引先との関係性を深めていくことも重要です。コラム「中小製造業はEDIを利用しているか?」でも取り上げた通り、中小製造業にはまだまだEDIは利用されていません。しかし、それだけ改善・改革の余地があるということです。できることから一つずつ始めて、大きな流れに置いていかれないようにしましょう。弊社としても全力でみなさまをサポートしていきます。


コネクテッド・インダストリーズ税制

 コネクテッドインダストリーズをより普及させていくために、政府も本腰を入れているようです。平成30年度の税制改正として、「コネクテッド・インダストリーズ税制」と呼ばれる制度が追加されました(経済産業省資料「経済産業関係 平成30年度税制改正のポイント」)。同制度の優遇内容や要件等は下記のコラムで紹介しています。

CI実現の強い味方!コネクテッド・インダストリーズ税制とは?


コネクテッドインダストリーズ関連コラム!

コネクテッドインダストリーズが加速する!「Connected Industries 経済対策について」

コネクテッドインダストリーズ推進の柱となる「産業データ活用促進事業」とは?

Share this...
Share on FacebookShare on Google+Tweet about this on TwitterShare on LinkedIn