RPA は昔からあった?昨今のIT バズワード の変遷

RPA は昔からあった?昨今のIT バズワード の変遷

 昨今、RPAをはじめとする、IoTや、ブロックチェーン、AIなど、さまざまなITワード(いわゆる バズワード )が世の中を賑わしています。そういったIT技術やコンセプトは突然出てきたわけではなく、昔から言葉やカタチを変えて存在しているということを知っているでしょうか。今回は、最近話題になっているITワードの歴史や変遷をご紹介したいと思います。

 

古い技術をあらたなコンセプトで刷新した「RPA」

 バックオフィス業務の自動化を実現する概念として注目が集まるRPA。RPAという言葉自体は2013年頃から徐々に登場しはじめましたので比較的最近ですが、その技術や考え方は昔からあります。たとえば、Excel操作を自動化する「マクロ」は最たるものですね。また、Windowsのタスクスケジューラー機能も自動化という観点で多くの人に利用されています。このほか、ブラウザ操作自動化のWebスクレイピング技術は1993年頃からあり、Windows操作の自動化ソフトでは、古くは1999年にリリースされた「UWSC」というフリーソフトがあります。しかし、それらの多くはコーディングなどが必要で技術者しか充分に扱えず、それぞれのソフトウェアや技術では自動化できる業務が限定的でした。そこで、RPAがそれらの技術をすべてノンプログラミングで使えるようにパッケージングし、デジタルレイバー(仮想労働者)など、あらたなコンセプトを生み出したことで、いま現在の爆発的なブームにつながっているといえるでしょう。

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IoTの原点 ユビキタスコンピューティング

 1991年にマーク・ワイザー博士が提唱したユビキタスコンピューティングという概念をご存知ですか?ユビキタスとは「あらゆるところにある」を意味します。当時とても高額だったコンピュータがこれからより小さく、安くなっていき、いずれは世界中の隅々まで無数のコンピュータが行き渡って、高度な通信技術により、人々はいつでもどこでも世界中の情報にアクセスできるという考えです。
 このユビキタスコンピューティングは、2000年頃に日本でもブームとなり、ユビキタス社会の実現を目指してさまざまなITソリューションが提供されました。当時はコンピュータの小型化や通信速度などの技術が追いつかず、浸透には至りませんでしたが、この考え方はいま流行りの「IoT」ととてもよく似ています。
 IoTは「様々な物がインターネットにつながること」。「インターネットにつながる様々な物」を指しています。ユビキタスコンピューティングと比較して、「モノ」を起点とした考え方ですが、広義の意味では、あらゆるモノがインターネットにつながることで、人々の生活や産業を発展させる概念と考えられますので、ユビキタスコンピューティングとほぼ同じといえますね。

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ブロックチェーンの根幹技術で開発された「Winny」

 様々な用途に役立てられる新技術として注目が集まっているブロックチェーン。このブロックチェーンを支える技術は、実は以前から存在しています。ブロックチェーンでは、P2P(Peer to Peer)と呼ばれるサーバ(管理者)を介さずにコンピュータ同士が直接繋がる仕組みを利用しています。このP2Pで有名なのは、開発者が逮捕され廃れていったファイル共有ソフトの「Winny」でしょうか。利便性や匿名性の高さから瞬く間に広がりましたが、違法なファイルやウィルスの流通などで犯罪の温床になってしまい、その技術に注目されることはありませんでした。その後、世界的にはP2P技術を応用した様々なソフトウェアが提供されています。たとえば、多くの人が利用している「スカイプ」や「LINE」もP2Pネットワークにより実現しています。このP2Pネットワークと既知の暗号化技術などを組み合わせて発展させたのがブロックチェーンです。悪い印象しかないWinnyですが、その技術は現在のブロックチェーンに脈々と受け継がれているのです。

ブロックチェーンの利用事例についてはこちらの記事をご覧ください。

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死語となった「ファジー」もAI

 今ではどこもかしこも「AI(人工知能)」という言葉が独り歩きしています。AIという言葉は1956年のダートマス会議で初めて登場しましたが、その頃からAIの定義は明確になっていません。要はコンピュータに人間と同じような知的行動や判断をしてもらうためのシステムですが、登場以降、言葉を変えて世の中にブームを起こしてきました。1980年代では、国家プロジェクトである「第5世代コンピュータ」や、「エキスパートシステム」が有名です。1990年代では「ファジー」という言葉でAIに注目が集まります。いわゆるお任せ機能を搭載したファジー洗濯機やファジー掃除機などが登場し、「ファジー」が流行語大賞を取るまでの盛り上がりをみせました。同時期に「ニューロ」という言葉もあります。いま話題の機械学習や深層学習(ディープラーニング)の基本的な仕組みは、ニューラルネットワークと呼ばれる人間の脳の仕組みを模倣したネットワーク構造を用いていますが、そのニューラルネットワークの別名が「ニューロ」です。ニューロ炊飯器、あるいはファジーと組み合わせて、ニューロ・ファジー機能搭載といった商品が売れ、AIブームの立役者となりました。いまやAIお洗濯といった言い方がスタンダードとなり、ファジーやニューロは死語となりましたが、上述のようにAIは昔から存在していたのです。

 
 言葉が変わっただけで、技術や本質的に提供しようとする価値・考え方は昔からあるということがお分かりいただけたでしょうか。情報が溢れる現代、バズワードに踊らされることなく、何を解決・実現するものなのかをしっかり理解することが重要です。

 
 弊社では中小企業の生産性向上に寄与するITツールを多数取り揃えていますので、お気軽にご相談ください。

 

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