2022年8月31日に各省庁の令和5年度分 概算要求 が公表されました。概算要求は、来年度分の予算を各省から財務省に要求するもので、各省庁がどのような事業にどれぐらいの費用を使いたいのかが分かる資料となっています。経済産業省の概算要求からは、中小企業がIT導入に活用できる補助金の動向が読み取れます。経済産業省が提出した令和5年度分概算要求の総額は1兆3914億円で、そのうち中小企業対策費が1,343億円(前年比22.6%up)となっており、中小企業関連の予算要求額はかなり増加されたといえます。実際に予算が閣議決定されるのは12月頃となりますが、今回は公表された概算要求から中小企業がIT導入に活用できる令和5年度補助金を予想し、早期の補助金準備の手助けとなる情報を提供します。
経済産業省が出した令和5年度 中小企業・小規模事業者関係の概算要求等のポイントをみると、ポイントの1つとして「成長分野等への挑戦に向けた投資の促進」が掲げられています。内外の環境激変によって既存のサプライチェーンが流動化する中で、生産性向上や再構築に向けた設備投資を積極的に行う中小企業や小規模事業者を支援するという趣旨です。
この趣旨のもと、いくつかの補助事業に取り組むことが明記されています。その一つが、『中小企業生産性革命推進事業』です。本事業は「ものづくり補助金」「IT導入補助金」「持続化補助金」「事業承継・引継ぎ補助金」を包括する補助事業で、人材不足や賃上げ、インボイス導入など、相次ぐ制度変更に対応する必要がある中小企業を支援するのが目的です。令和5年度分概算要求によると、本事業に対しては令和3年度補正予算として既に組まれている2,000.6億円が割り当てられるようです。
したがって、「ものづくり補助金」「IT導入補助金」「持続化補助金」「事業承継・引継ぎ補助金」は継続して令和5年度も実施されることが予想されます。
出典:中小企業庁『中小企業生産性革命推進事業について』
続いて注目すべき2つ目の補助事業として、『ものづくり等高度連携・事業再構築促進事業』があります。本事業のもとで実施される補助金は「ものづくり等高度連携補助金」と呼ばれるものです。ものづくり等高度連携補助金の目的は、複数の事業者が連携し、革新的な製品・サービス開発、生産プロセス等の改善の取り組みを行い、生産性を高めるプロジェクトを支援することです。例えば、地域の同業同士で顧客情報や在庫情報等を共有するシステムを構築し、経営資源をシェアするようなプロジェクトや、サプライチェーンを構成する事業者間で受発注情報や在庫情報を共有するネットワークシステムを構築し、業務効率化と新製品・サービスの提供を行うようなプロジェクトが対象として考えられます。令和5年度概算要求額は10.6億円となっており、来年度の実施が予想される補助金です。連携体の構築や、事業再構築指針を満たせるか等、要件が多い補助金ですが、使い勝手向上のため、連携体内の各事業者の補助金額は柔軟に設定可能になる見込みで、活用の促進が予想されます。
出典:中小企業庁『ものづくり等高度連携・事業再構築促進事業』
上記補助事業に加えて、来年度も実施の可能性があるのが『中小企業等事業再構築促進事業』です。いわゆる「事業再構築補助金」と呼ばれる補助金事業で、コロナ禍で多くの企業が苦境に立たされるなか、2021年度の経済政策の目玉として開始されました。中小企業でも最大6,000万円もの補助金を受け取れるという、過去に類を見ない規模の補助金事業として注目を集めました。
令和5年度分概算要求をみると、令和3年度補正予算6,123億円と令和4年度予算予備費1,000億円の計7,123億円が本事業の予算として見込まれており、生産性革命推進事業と同様、前年度以前に既に組まれている予算を使いまわすことが予想されます。本事業は新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、又は事業再編という思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援することが目的となります。補助対象の具体例として、航空機部品メーカーがその技術を活かし医療機器部品製造事業を新規で立ち上げるケースや、伝統工芸品メーカーがECサイトで販売を開始するケースなどが考えられます。
ただ申請要件をみると、「売上が減少している」、「事業再構築に取り組む」、かつ「金融機関等と連携して事業計画を策定する」必要があり、本補助金の申請にはかなり準備期間を要することが予想されるため、検討する企業は早期の準備が推奨されます。元々コロナ対策として始まった補助金なので、世界的にアフターコロナの動きが進む中で、いつまでこのようなコロナ対策の大型補助金を実施するのかは不透明です。ただ、令和5年度概算要求をみると来年度も実施される可能性は十分にあるでしょう。補助額や補助率を考えると応募する価値は十分にあり、この補助金を機に自社の強みを見直し、コロナ禍に対応できる企業風土への変革に挑戦してみてはいかがでしょうか。
出典:中小企業庁『中小企業等事業再構築促進事業』
このほか、ITソフトウェアの購入を含む、企業の設備投資等を促進する税制優遇措置についても、見直し及び延長要望が出されています。
具体的には次の税制優遇措置について2年間(令和6年度末迄)の延長措置を挙げています。
「中小企業経営強化税制」
中小企業の生産性向上やDXに資する設備投資について、即時償却及び
税額控除(10% ※)のいずれかの適用を認める措置
※資本金3000万円超の場合は7%
「中小企業投資促進税制」
中小企業の生産性向上等を図るため一定の設備投資を行った場合に、
税額控除(7% ※)又は特別償却(30%)の適用を認める措置
※税額控除は資本金3000万円以下の中小企業者等に限る
中小企業を取り巻く厳しい環境や経営状況等を踏まえ、中小企業が前向きな投資に取り組むよう後押ししたい思惑が見て取れます。
今回は令和5年度分概算要求から中小企業がIT導入に活用できる補助金を予想しました。概算要求の中小企業対策費が前年から大幅に増えていることもあり、政府としても中小企業のIT導入による生産性向上を支援して、ウィズコロナ/アフターコロナ時代で低迷している日本経済の底上げを図る意図が垣間見えます。中小企業としては、この補助事業を他人事と考えず、今一度、自社の生産性を見直し、IT導入が必要であれば存分に補助金を活用することをお勧めします。
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