ブロックチェーンといえば、仮想通貨交換業者7社に対して金融庁から行政処分が行われたことが記憶に新しいですが、「製造業が注目すべき2018年ITトレンド5選!」でも取り上げたように、仮想通貨の根幹をなすブロックチェーン技術は様々な分野での応用が期待されています。製造業も例外ではなく、サプライチェーンマネジメント(SCM)や、IoT関連での活用が期待されています。
今回は、ブロックチェーン技術がSCMにおいてどのように活用できるのか、他分野での事例も参考にしながら検討していきたいと思います。
2017年10月に一般社団法人日本ジビエ振興協会は、ジビエ食肉のトレーサビリティシステムへ、テックビューロが提供するブロックチェーン構築ソフトウェア「mijin」を使ってブロックチェーン技術を活用することを発表しました(「日本初!ジビエ食肉流通トレーサビリティにmijinブロックチェーンを本採用」)。このシステムでは、ジビエの加工地で食肉データをブロックチェーン上に記録します。ブロックチェーンに記録されたジビエ食肉に関する情報は、流通業者や最終消費者であるレストランの料理人などから参照できるようになります。ブロックチェーンの特長の1つとして、データの改ざんが困難な点がありますので、ブロックチェーン上に記録されたジビエ食肉データは容易に改ざんすることができません。したがって、最終消費者は自分のもとに届いたジビエが規格に則った、安心、安全な食肉であることの確認が可能になります。
似たような事例ですと、ウォルマートがIBMと協力して、米国産のマンゴーや中国産の豚肉でブロックチェーン技術を試しており、正しい産地の情報を関係者がすばやく参照できる仕組みが作られています( AFPBB News 「仮想通貨のブロックチェーン技術 『食の安全』に活用」2018年3月16日閲覧 )。
また、貿易分野でもブロックチェーン技術を活用した大きな変化が起きそうです。デンマークに本社を置く海運会社大手マースクとIBMが国際貿易の課題解決に本腰を入れています。こちらの事例では、ブロックチェーン技術の改ざん困難性と可視性を活用し、様々な会社が関係する国際貿易の輸送に関するワークフローをデジタル化しています。ワークフローがデジタル化できたことによって、半世紀以上続いていた「紙ベース」の管理体制が刷新され、業務効率化とコスト削減が期待できるようです。詳しくはこちら『ブロックチェーンがもたらす、国際貿易の「デジタル版」文明開化』(IBMホームページ 2018年3月16日閲覧)をご覧ください。
前記の事例を参考に、サプライチェーンにどのようにブロックチェーン技術を活用することが可能か考えてみましょう。
まず、製品の偽装対策にブロックチェーン技術は活用できるでしょう。ジビエの事例にあったように、ブロックチェーンの改ざん困難性を利用して、その製品が誰によって作られたのか、明確にすることが可能です。また、運送業者や商社などの協力を得ることができれば、どこを経由して製品が自分の手元に届いたのか確認することも可能です。ブロックチェーンを活用して製品の偽装対策を行うことで、メーカーは自社の機会損失を低減することが可能ですし、製品を購入するエンドユーザーも確実に正規品を購入できるようになります。
特にヨーロッパを中心にESG投資という考え方が広まりつつあります。これは、環境破壊や人権問題に十分配慮している企業への投資を進める考えで、十分な配慮がなされていないと判断された場合には投資家からの投資が引き揚げられる恐れがあります。ブロックチェーン技術を活用すれば、ESG対策にもなるでしょう。自社が調達している原料や部品が、どのような状況で産出、生産されているかをブロックチェーン上に記録しておけば、自社が環境破壊や人権問題に配慮していることを明確に示すことが可能です。日本でもESG投資に関する関心は急速に高まってきています(「2500兆円超え!?世界で急拡大“ESG投資”とは」NHKクローズアップ現代+ )。
上記のジビエの実証実験では、テックビューロのmijinというソフトウェアが使われていますが、mijinを使えばクラウドや自社のデータセンターの中に、自分達だけのブロックチェーン環境を構築することが可能となります。また、必ずしも自社の基幹システムなどの全てをブロックチェーンに置き換える必要はなく、改ざん不可能な形で残したいデータや、逆にオープンにすることで活用可能なデータのみをブロックチェーン上に記録することもできます。
また、事例紹介でも何度か出てきたIBMはブロックチェーン技術の活用にかなり積極的です。同社の「IBM Blockchain Platform」を使えば簡単にブロックチェーン技術を活用することが可能です。IBMのブロックチェーンに関する取り組みや事例はホームページ( IBM ホームページ )で多数公開されていますので、是非ご覧になってください。
2018年の8月27日には、NTTデータとクニエがサプライチェーン領域におけるブロックチェーン技術の活用について、上流のコンサルティングから本番適用まで一気通貫で支援するサービスを展開することを発表しています(「サプライチェーン領域におけるブロックチェーン活用支援サービスを開始」)。
このようにブロックチェーン技術は製造業にも様々な影響を与える可能性が高いといえます。インダストリー4.0やコネクテッドインダストリーズ「日本版インダストリー4.0『コネクテッドインダストリーズ』は中小企業が主役?」のような製造業のあり方を大きく変え得る潮流との親和性も高いでしょう。また、ブロックチェーン技術を活用する環境も整いつつあります。自社に適用するとすればどのような適用が可能なのか、そして適用できそうであれば具体的なアクションを起こしてみることが重要ではないでしょうか。テックビューロホールディングスから、ブロックチェーンのPoC(概念実証)用の「mijin PoCパック」もリリースされました。こちらのパックを利用すればブロックチェーンに欠かせない機能を簡単に実装でき、ブロックチェーン技術の検証を簡単に行うことができます(「mijinブロックチェーン導入支援パッケージ「mijin PoCパック」を発表」)。
弊社にお声がけいただければ、テックビューロのmijinやIBM Blockchain Platformを活用してどのようなことが可能になるのかお話させていただきます。
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