新型コロナウイルスの感染拡大が未だに続いています。日本のみならず全世界を巻き込んだパンデミックとなっており、未だ終息の気配が感じられません。2020年4月7日には、政府から東京、大阪等の7都府県を対象とする緊急事態宣言が発令されるなど前代未聞の状況となっています。厚生労働省によると、2020年4月7日12時時点において、国内での新型コロナウイルス感染者が3,906例、死亡者が80名となりました。小学校・中学校・高等学校・特別支援学校の休校や企業での時差出勤、テレワークの実施等の対策が引き続きとられると共に、イベントの中止や商業施設の営業時間短縮、航空便の欠航など様々な経済活動が制限されています。海外からの観光客も少なくなり、日本全体の活気が失われている印象があります。このように、新型コロナウイルスの感染拡大は人体への直接的な危険があるのみならず、経済活動の停滞や不景気にも繋がっています。
今回のコラムでは、新型コロナウイルスの経済面での影響を捉えながら、今回のようなパンデミックに備えるためのBCP活用について考えていきたいと思います。
新型コロナウイルスは日本に大きな経済的損失を与えています。毎日新聞によると、緊急事態宣言が日本全土で発令された場合、2年間で約63兆円の経済損失が発生すると試算されています(2020年4月3日毎日新聞「新型コロナ 経済損失試算63兆円 全国で緊急事態宣言なら」より)。また産経新聞によると、首都が封鎖された場合、実質国内総生産が1か月間で約5兆1千億円下押しされるとの試算が掲載されています(2020年3月30日 産経新聞「首都封鎖の経済損失 1カ月間で5・1兆円の実質GDP下押し 第一生命研試算」より)。このように、現状のまま新型コロナウイルスの感染拡大が継続するとなると、日本にとって大きな経済的損失に繋がることは必須でしょう。
このような厳しい状況の中、イベント中止や航空便の欠航、それに伴うホテルのキャンセル増加などから分かるように、一番顕著に打撃を受けているのはイベント業、ホテル業、飲食業などのサービス業です。しかしながらその他の産業も、もはや対岸の火事とはいえない時期に来ています。日本経済新聞によると、製造業においては中国製部品が輸入されず生産に影響が出ていることが述べられています。加えて、中国国内で新商品開発を行っている企業は、日本から中国に人員を送ることができず、プロジェクトが滞っていることも記載されています(2020年3月1日 日本経済新聞「地方景気悪化の恐れ 新型コロナで損失深刻」より)。このようにサービス業のみならず、製造業を含め他の業種にも新型コロナウイルスの影響が出ています。
下記の日経平均株価の2020年2月10日~2020年4月8日のグラフを見ても明らかなように、3月19日を底に徐々に回復の兆しは感じられるものの、20,000円台であった2月に比べると景気が低迷していることがわかります。新型コロナウイルスは徐々に日本経済を蝕んでいます。
新型コロナウイルスによって倒産する企業も出ています。東京商工リサーチによると、2020年2月に愛知県の旅館が新型コロナウイルスの影響で事業停止し、その後破産申請をしていたことが述べられています(2020年2月25日 東京商工リサーチ『(株)冨士見荘~「新型コロナウイルス」による初の経営破綻~』より)。その他にも北海道や四国など日本全国各地で倒産する企業が発生しており、新型コロナウイルスの影響の大きさがわかります。倒産している会社はいずれも中小、小規模企業が中心であり、手元資金が潤沢ではない企業にとっては新型コロナウイルスの影響は命取りであることが明らかになりました。
今回の一連の騒動を考えると、地震や異常気象による自然災害に加え、ウイルスに対しても企業はそのリスクを想定し、常日頃から万全の体制を整える必要があります。加えて、自社のみならず、取引先が倒産する可能性も考慮し、サプライチェーン全体を視野に入れた対策への取り組みが必須になるでしょう。災害に対して視野を広げた対応が企業の経営方針に不可欠になっています。
では、どのように自社と取引先の災害や感染症への対策をすれば良いのでしょうか?そこで最適なのが、BCPという概念です。BCPとは、「大地震などの自然災害、感染症のまん延、テロ等の事件、大事故、サプライチェーン(供給網)の途絶、突発的な経営環境の変化などの不測の事態が発生しても、重要な事業を中断させない、又は中断しても可能な限り短い期間で復旧させるための方針、体制。手順などを示した計画」(中小企業庁、「2019年中小企業白書」、p.447)のことです。つまり、災害や事故などの万が一の事態が発生した場合の備えをいいます。このように表現すると単に防災訓練の延長にあるように思われますが、BCPでは継続すべき重要業務を抽出し、事業をどう継続するか、事業をどのように早期復旧するかという視点から、事前対策、早期復旧の意思決定手続きまで計画することが含まれます。詳しい策定手順などは下記のコラムにてご確認ください。
BCPは地震や豪雨等の自然災害とイメージが結び付きやすいですが、今回のような新型コロナウイルスといった感染症対策にも重要です。地方公共団体においても、鳥取県や宮城県のように新型コロナウイルスへの備えとしてBCP策定を促しているところがあります。是非この機会に自社のみならず、サプライチェーン内の取引先に対してもBCP策定を依頼し、有事の際でも経営が傾くことなく、滞りなく業務ができる体制を事前に整えておきましょう。
BCPの策定には弊社の『EXtelligence SCB』というサービスが適しています。『EXtelligence SCB』は、弊社が提供する知的プラットフォーム『EXtelligence』のサービスのひとつで、クラウド型企業間グループウェアサービスです。アンケートや掲示板機能によって企業間の情報共有基盤を構築することができると同時に、取引先のBCP策定状況を確認しサプライチェーン・マネジメントを実現することが可能です。取引先とのコミュニケーションやサプライチェーン・マネジメントに関して少しでも不安や気になることがあれば、是非『EXtelligence SCB』をご検討ください。
大阪北部地震、西日本豪雨と立て続けに災害に見舞われ、企業経営に支障をきたす会社も多いのではないでしょうか。実際に、台風21号の影響で、近畿地方の中小企業500社近くが被害に合ったようです(「台風21号、近畿の中小企業500社近くが被害」産経デジタル)。こういった状況の中、東日本大震災後のときのように再びBCP(事業継続計画)の重要性が問われています。今回のコラムでは、日本の中核産業である製造業でのBCPの重要性、BCP対策へのIT活用についてご説明します。
BCP(事業継続計画)とは、災害や事故などの万が一の事態が発生した場合の備えをいいます。このように表現すると単に防災訓練の延長にあるように思われますが、BCPでは継続すべき重要業務を抽出し、事業をどう継続するか、事業をどのように早期復旧するかという視点から、事前対策、早期復旧の意思決定手続きまで計画することが含まれます。
出典:中小企業庁ホームページ
BCPは企業それぞれの事情に合わせて計画を練ることが重要です。例えば、在庫を多く持ち供給に備えるというのも立派なBCP対策ですが、経営的にはコスト削減する目的と相反します。したがって、どこまで在庫を持つべきかなど、経営的な判断でバランスを考えなければ実現性の低い計画になってしまいます。
中小企業ではBCP策定になかなか手が回らないかもしれませんが、次のような手順を踏むことで、早期に最低限必要とされる実現性の高い計画を策定できます。
①自社の事業を理解し影響度を評価する
②BCPの準備、事前対策を検討する
③BCPを策定する
④BCP文化を定着させる
⑤BCPを策定する
⑥BCPをチェックし更新する
製造業においては、自社のみならずサプライチェーンも含めた取り組みが重要であると考えられます。多くの製造業は全部品を自社で作っていることは少なく、外注先や仕入先といったサプライヤーに依存しています。したがって、部品・材料の調達から、中間品の外注、最終製品の納品などの日常業務において、企業間の緊密な連携が重要となるのです。東日本大震災の際には、市場シェアが高い自動車部品メーカーの1社が被災したことにより、自動車メーカーのほぼ全社が一時生産停止に至る事態になりました。こういった事態を避けるためには、製造業では代替取引先を準備しておく、サプライヤーのBCP取り組み状況を把握するなどの対策が有効でしょう。
弊社ではサプライヤーのBCP取り組み状況を把握するサービスも提供しております。
EXtelligence SCBサービス(BCPオプション)
BCP対策のひとつとして、ITをうまく活用するべきです。例えば次のような取り組みが挙げられます。
製造業の多くは販売・生産管理システムなどに基づき生産活動が行われています。その基幹システムが被災により使えなくなることで、どの注文が急ぎか、いまどこまで進んでいるかなど人手での確認が必要となり、生産が回らなく事態は想像に難くありません。こういった事態を避けるために、基幹システムで管理しているデータをクラウド上で保存する、システム自体をクラウド化するといった対策が有効です。
多くの企業が、社内資産である図面や設計書、受発注・請求に関わる取引書類(注文書、請求書など)を紙で保存していると思います。しかし、紙の文書の場合、災害によって丸ごと消失してしまうと復元することができず、その後の事業継続が困難になってしまうリスクがあります。その対策に、例えば取引先との受発注・請求業務は電子帳簿保存法にも適用できるEDIを利用し、取引情報をクラウド上に保存するといった対策が有効です。
電子帳簿保存法におけるEDIの位置づけについてはこちらのコラムをご覧ください。
ある論文では、東日本大震災において、BCPに積極的な企業の方が早期に復旧できたことが報告されています。復旧が遅れれば、それだけ機会損失や顧客の他社への流出などが起こり得るため、BCPの取り組みが企業の命運を左右するといっても過言ではありません。
BCP策定の具体的な手順についてはまた別の機会でご紹介したいと思いますが、まずは現状、自社や取引先がBCPにどのように取り組めているかチェックすることから始めてはいかがでしょうか。
企業間の取引業務を効率化するクラウドEDIサービスや、取引企業のBCPチェックサービスを提供していますので、お気軽にお問い合わせください。
2024年も早1ヶ月が過ぎようとしています。昨年は、インボイス制度への対応や戦禍による物価高騰、物流停滞の影響が製造業に重くのしかかった一年でした。
2024年は一体どのような年になるのでしょうか。
昨年より話題となっている「生成AI」の活用が今後も拡大していくことは間違いないでしょう。また「2024年問題」や、電子帳簿保存法への本格的な対応が課題となりそうです。
勢いを増すIT潮流を生き抜くために、 製造業が注目すべき2024年ITトレンド を先取りして予想していきたいと思います!
「2024年問題」と聞けば、真っ先に物流・運送業界の2024年問題を思い浮かべる方が多いかもしれません。
物流・運送業界における2024年問題とは、2024年4月から自動車運転業務の時間外労働時間を年960時間とする規制が設けられることによって生じる問題のことです。
上限規制が設けられることによって、ドライバーの収入減や業界自体の売り上げ減少、それに伴う人材不足や物流の停滞といった問題が危惧されています。
そのため、配送計画のデジタル化や勤怠管理システムによる労働時間の適切管理など、IT技術をうまく活用して余計な人件費を削減しつつ、業務効率を向上させる必要があります。
一方で、EDIの2024年問題も存在します。
EDIとは、紙やFAXでやり取りしていた見積書や注文書、検収書などを電子データでやり取りできる電子取引手段の一種のことで、昨今のペーパーレス化の潮流によって中小企業にも広がりつつある仕組みです。
しかし、2024年にNTT東西が予定している固定電話網のIP化に伴い、EDIデータのやり取りで多く使用されているISDN回線サービスが廃止されることで、ISDN回線を使用している従来型のEDIシステムが利用できなくなり、業務に支障をきたすという問題があります。
2024年問題について、詳しくはこちらのコラムをご覧ください。
これら2024年問題に対応するために、新しいIT技術を導入したり、既存のEDIの入れ替えを検討したりする企業が増えると予想されます。
ですが、システムの導入や移行にはかなりの時間がかかります。特に、EDIの入れ替えについては企業間取引に関わる部分のため、取引先との調整に時間がかかる場合もあり、早急に動き出すことが重要となります。
この機会に、まずは既存システムの見直しからスタートしてはいかがでしょうか。
電子帳簿保存法(以下、電帳法)とは、従来、紙で保存しておく義務がある各種決済書類や取引関係書類を、電子データで保存することを認める法律です。
電帳法の定める要件について、詳しくはこちらのコラムをご覧ください。
電帳法は2022年1月に大きな改正がありました。
改正前は、得意先からメールで送付されてきた注文書等の書類は、PDF等を印刷し、紙で保存することが認められていました。
しかし、改正後は紙で出力して保存することが認められず、電子データでの保存が義務化されることとなりました。加えてタイムスタンプの付与などの保存措置要件や検索機能確保などの保存要件も満たす必要があり、電帳法への対応準備が間に合わない事業者が多く見込まれました。
こういった事情を鑑み、2023年末までの2年間の宥恕(ゆうじょ)措置を設けることとなりました。
2022年1月の改正内容について、詳しくはこちらのコラムをご覧ください。
そして、ついに宥恕期間が終了しましたが、直前の令和5年度(2023年)の税制改正において、宥恕措置に代わり、新たに2024年から「猶予措置」が設けられました。
猶予措置の要件は以下の通りです。
出典:国税庁「電子帳簿保存法の内容が改正されました」
上記①②の要件を満たしていれば、改ざん防止や検索機能など、保存時に満たすべき要件に沿った対応は不要となります。
ただ、②の通り、電子取引データのダウンロードの求めには応じる必要があるため、必ず電子データとしての保存が必要となります。
また、「所轄税務署長が相当の理由があると認める場合」という規定があるため、電帳法が定める要件を満たした形で保存しておくのが望ましいでしょう。
電帳法の本格的な施行が近づくにつれ、電帳法が定める要件を満たした取引情報の保存をどのように行うかで、壁にぶつかった企業が多くあるのではないでしょうか。
アナログで取引情報を保存する場合、多くの手間とコストが掛かってしまいます。猶予措置が新たに設けられたものの、2024年はより一層電帳法に対応したITツールやサービスが脚光を浴びるものと考えられます。
昨年は、ChatGPTなどに代表される「生成AI」を活用したITソリューションが数多く誕生し、まさに「生成AI元年」ともいえる一年でした。ある団体の調査によると、今後活用を検討していると回答した企業が3割に上るなど、生成AIへの関心は企業の間でも高まっていると考えられます。今年も引き続き、様々な業界で生成AIを活用したソリューションが普及していくことでしょう。
一方で、生成AIの活用にあたっては注意すべきポイントがいくつか存在します。
生成AIは膨大なデータを学習してコンテンツを生成しますが、データの正確性や信頼性が保証されているわけではないため、最終的に人間の目で内容を精査・修正して活用する必要があります。
企業の機密情報や個人情報を生成AIに入力してしまうと、その情報がデータベース上に保存され、生成AIのサービスを提供している企業などの第三者に情報が漏洩してしまう可能性があります。そのため、機密性の高い情報の取り扱いには注意する必要があります。
生成AIを活用して出力された文章や画像が、既存の著作物との類似性や依拠性が認められる場合、著作権の侵害とされる可能性があります。そのため、社内においてチェック体制を構築する必要があります。
以上のように、生成AIは様々な業務の生産性を向上するために有効なIT技術である一方で、その活用には様々なリスクが伴います。実際、大手企業においても情報漏洩へと繋がった事例があり、活用には十分注意する必要があります。今後は生成AIを活用したITソリューションの中でも、セキュリティやリスク対策を重視した製品がより注目されることになるかもしれません。
情報のアンテナを張ることで、時代の流れに取り残されないようにしましょう。
総務省の情報通信白書 令和5年版によると、NICT(国立研究開発法人情報通信研究機構)が運用している大規模サイバー攻撃観測網において、2022年に観測したサイバー攻撃関連通信数は、2015年と比較して8.3倍となっています。
これは、各IPアドレスに対して17秒に1回サイバー攻撃関連通信が行われていることに相当し、中には業務継続に影響のある事案もあることから、近年において、サイバー攻撃の危険性は日増しに増大していることは明らかとなっています。
従来、サイバー攻撃や災害などのシステム障害が発生した際には、その被害を最小限に留めつつ、事業の継続や早期復旧を図ることを目的に、「事業継続計画(BCP)」が重要視されてきました。
しかし、年々高度化するサイバー攻撃に対応するためには、BCP対策だけでなく、セキュリティの侵害を前提とした対策が必要とされ、「サイバーレジリエンス」という概念が注目されています。
サイバーレジリエンスとは、仮にシステムがサイバー攻撃を受けたとしても、その被害を最小限に留め、早期に復旧するための能力のことを指します。「侵害される前提」で対策を講じることで、万が一の事態が発生しても事業の継続性を担保することができます。
サイバーレジリエンスに関連した用語として、「ゼロトラスト」という考え方も存在します。ゼロトラストとは、情報資産にアクセスする社内外全てのネットワークを一切信用しないという前提のもと、安全性を検証していく考え方のことですが、サイバーレジリエンスはこのゼロトラストの考え方をさらに一歩進めたものとして位置づけられています。
サイバーレジリエンスを高めるためには、まずは自社内の情報資産を把握することが大切です。
PCやサーバーなどに保存されている「人・モノ・カネ」に関する情報を全て洗い出し、情報資産に対してのリスク評価を行います。評価を行った後は、実際にサイバー攻撃を受けた際に被害を最小限に抑えるため、サイバー攻撃の検知機能や防御手段の構築を行う必要があります。緊急時の運用マニュアルの策定や、定期的なデータのバックアップなど、早期に復旧できるように備えておくことも大切です。
2024年は、サイバーレジリエンスを高めるためのセキュリティ対策を目的とした資産管理ツールやセキュリティサービスなどのITツールが注目を浴びる一年となりそうです。
気が早いかもしれませんが、実は2025年にも大きな問題が存在しています。
皆さんは「2025年の崖」というキーワードを耳にしたことはありませんか?
「2025年の崖」とは、経済産業省によるDXに関するレポートで提唱された言葉です。
昨今、新たなデジタル技術を活用したDXへの理解が進んでいる一方で、既存システムの複雑化やブラックボックス化、そして現場サイドの抵抗などから、DX化を実行に移すことが困難になっているという課題があります。この課題を克服できない場合、日本国内において2025年以降、最大年間12兆円の経済損失が生じる恐れがあると報告され、この数字は世の中に衝撃を与えました。
2025年の崖について、詳しくはこちらのコラムをご覧ください。
2025年の崖に対応するために、2024年から既存システムの見直しを考える企業が増えていくと予想されます。特に基幹システムの場合、選定から導入までは通常1年以上かかるため、早めの動き出しが必要です。
ただ、システムの導入は、あくまでDX化のための手段の一つでしかありません。しっかりと現状の分析を行い、社内の意識改革やDX人材の育成・確保といった段階的・継続的な取り組みが重要となります。
新たな一年が始まったこのタイミングで、社内のDX化について、改めて検討してみてはいかがでしょうか。
今回は、2024年の注目すべきITトレンドを先取り予想しました。2024年以降、生成AIをはじめとしたIT技術がますます進歩して、企業でのIT活用やDXも促進されていくことでしょう。このような潮流に無頓着では競争力を高めていくことはできません。今年も常にIT潮流にアンテナを張り、DXを推進して、競争社会の中で他社との差別化を図っていきましょう。
弊社では、3000社を超える企業が利用し、受発注や見積、検収、支払通知など、一連の取引を電子化できるクラウド型EDIサービス「EXtelligence EDIFAS」や、約2000本の導入実績がある中堅・中小製造業向けの生産管理システム「Factory-ONE 電脳工場」を提供し、企業のDX推進をご支援しています。
また、DXソリューションライブラリー「EXfeel(エクスフィール)」にて、業務効率化を実現する様々なDXソリューションも取り扱っております。合わせてご覧ください。
昨今、紙での取引をやめて、EDIやEC、電子契約などを利用した デジタル取引 に移行する企業が増えていますが、デジタル取引を実現するためには、単にペーパーレス化するだけではなく、業界ごとの商習慣に対応できるかという点も考慮しなくてはなりません。製造業においても、他の業界には無いような情報種やドキュメント、帳票のやり取りがあり、それらの商習慣を考慮してデジタル取引の導入を進めなければなりません。そこで今回は、製造業がデジタル取引を導入する上で考慮すべき商習慣について考えます。もちろん、一口に製造業といっても様々な業種業態があるので一概には述べられませんが、考慮すべきポイントの参考として役立てていただければ幸いです。
業界に関わらず、取引のデジタル化でよくフォーカスされるのは、受発注や請求ではないでしょうか。製造業においても、受発注や請求は取引の起点と終点になる重要なフローであり、注文書や請求書のデジタル化を進めている企業が多く見受けられます。しかし、製造業では受発注、請求以外にもやり取りされる情報種がいくつもあり、それらも包括的にデジタル化することができれば、より大きな業務効率化が見込めます。
まずは、発注の前段階を考えてみます。一定の製品を継続的に大量生産するようなリピート生産の製造業の場合、フォーキャスト(中長期的な需要見込み)や内示情報で発注量を前もって共有することで取引をスムーズにし、納期遅延などを防ぎます。また、都度受注して製造するような個別受注生産であれば、都度仕入先と見積依頼・見積回答のやり取りを行い、単価や納期の調整を図ります。
発注後においては、在庫管理や得意先への納期遵守のために納期管理が重要となるので、仕入先から納期回答を返してもらうなど、納期調整のやり取りが発生します。加えて、外注先に資材等を支給して加工を依頼するようなケースでは、支給品に関するやり取りも必要です。
納品のタイミングでは、発注元の荷受け準備や在庫管理のため、仕入先が予定通りモノを出荷したことを報告するケースもあります。その後、発注元にモノが納品されると、受入れ・検品を行って仕入計上し、その仕入(検収)情報を仕入先に送付して、仕入先で請求予定と突合する場合もあります。そのほか、仕入先から請求書を受け取る代わりに、発注元が月末などのタイミングで締め処理を行い、買掛明細(支払明細)情報として仕入先に送るケースもあります。
以上のように製造業でやり取りされる情報種を例示しましたが、企業によっては他にも様々な情報がやり取りされている場合があります。それらの情報を別々の仕組みでデジタル化してしまうと多画面問題が発生し、効率化につながらないのは容易に想像できます。したがって、製造業では一連の取引を一気通貫してデジタル化することが推奨されます。
製造業での企業間取引では多くの情報種がやり取りされていますが、それらの情報に紐づけてドキュメントの受け渡しも行われるので、電子取引を導入する上では各種ドキュメントの取り扱いも考慮する必要があります。例えば、外注加工先との見積のやり取りでは、見積依頼と合わせて図面や仕様書などの設計に関わるドキュメントを外注先に展開する場合が多くあり、納品時にはモノに添付する納品書や現品票などの出荷伝票が必要となります。また、モノの品質を証明するドキュメントをやり取りする場合もあり、鋼材メーカーなどが発行するミルシートがその代表例です。
これらのドキュメントを取引情報とは別の方法(郵送やFAX、メールなど)でやり取りするとなると、当然送付の手間を削減できません。また、伝票番号や品番などで取引情報と紐づけるにしても、その管理が煩雑であることは間違いありません。製造業の企業間取引をデジタル化するためには、取引情報と合わせてドキュメントをどのように展開するかという点も考慮すべきでしょう。
製造業では、発注から納品まで長期にわたる長納期品が存在します。個別生産品(船舶や大型工作機械など)は、製造リードタイムが年単位になることも多く、納期が長く不確定になります。製造進捗によって納期変動が生じやすいので、都度納期のやり取りを行う必要があります。また、外的要因でサプライチェーンが影響を受け、結果的に長納期になってしまうケースもあります。最近では、新型コロナウイルスのパンデミック、ウクライナ紛争による物流停滞などによって半導体不足が加速し、半導体を利用している電子部品などの長納期化が問題になっています。サプライチェーンリスクとその対応策については、過去のコラムもご参照ください。
納期の遵守は自社の信頼性にも直結する重要な要素で、納期の遅れは関連する会社全体のスケジュールに影響を及ぼします。また、適切な納期管理がされていないと、自社の生産余力を大幅に超えた無理な生産を強いられることにもなり、品質悪化などのトラブルにもつながります。納期調整は従来、電話やメールでのやり取りが一般的ですが、管理やコミュニケーションの手間が問題になりがちです。精度の高い納期管理を行うためにも、取引のデジタル化と合わせて納期調整の効率化も検討すべきです。
自社で工場を持たず、製造や加工を外注するファブレス生産の企業をはじめ、外注が多い企業では「渡り外注」を行っているケースが少なくありません。渡り外注の定義や呼び方は企業によって多少違いがありますが、主には外注先で工程が完了した後、発注元に納品するのではなく、次の工程を請け負う別の外注先に直送支給することを指します。渡り外注では、モノが直接外注先を渡っていくため、発注元ではモノがどこの外注先にあるのか、予定通り入出荷されているのかなどを管理することが難しくなります。渡り外注において、出荷や納品に関する情報を電子的にやり取りできれば、リアルタイムにモノの動きが管理できるようになります。電子取引を活用した外注渡りに進捗管理については、過去のコラムでご紹介しているのでご参考ください。
出荷の際は、納品書や現品票などの出荷伝票を納品物につけて出荷しますが、業界によっては伝票様式が標準化されている場合もあります。業界標準伝票の代表例としては、電子機器・電子部品業界の「EIAJ標準伝票」が有名です。納品書や現物に貼り付けるラベル(Dラベル)のフォーマットがJEITA(電子情報技術産業協会)によって標準化されています。そのほか、各⾃動⾞メーカーの部品調達においては「JAMA・JAPIA EDI 標準帳票」といわれる納品書・現品票が運用されています。また、スーパーマーケットやホームセンターなどの流通業界では「チェーンストア統一伝票」、物流業界では物流センターで用いられる標準ラベルとして「PDラベル・SCMラベル」が運用されています。
デジタル取引を導入したとしても、実際にモノが動く製造業では、現物に付ける出荷伝票は引き続き必要になるので、出荷伝票の運用についての検討は欠かせません。
製造業では、ロット番号やシリアルナンバーと呼ばれる番号を管理・運用している企業が多く存在します。ロット番号とは、同じ部品や材料で、同じ場所、同じタイミングで作られた製品群に付けられる番号です。シリアルナンバーとは、製品や部品の一つ一つに割り当てられる番号のことです。これらの番号は製品のトレーサビリティや在庫管理に利用されています。製品の不良が発覚した場合、ロット番号やシリアルナンバーを追跡することで、不良品の特定や不良原因の調査を迅速に行うことができ、市場に出回ってしまった不良品の回収もスムーズに行えます。時間の経過で劣化するモノであれば、ロット番号毎の有効期限を設定することで、不良在庫が発生しないように管理することができます。ロット番号は、発注元、仕入先のいずれかが発番することになりますが、仕入先が発番している場合、仕入先が管理しているロット番号を発注元も利用すれば、トレーサビリティが容易になります。
納品情報と合わせて、仕入先とロット番号やシリアルナンバーの情報をやり取りできれば、サプライチェーン全体のトレーサビリティ向上につながるでしょう。
同じ製品でも、自社が管理している品番と取引先が管理している品番が異なるケースがあります。その場合、受発注のやり取りを例に考えると、バイヤーがサプライヤー品番に変換してから発注する、あるいはサプライヤーが受注後に自社品番に変換してから自社システムに取り込むなど、品番を変換する必要が出てきます。この品番の変換がバイヤー/サプライヤー間で認識が異なると、納品間違い、請求時の違算などにつながってしまいます。
デジタル取引ツールによっては、品番変換のマスター機能を装備して、取引先へデータを送信する際に自動で品番変換できるようなものもあります。デジタル取引を導入する際は、自社品番と取引先品番が異なる場合、どのタイミングでどのように品番を変換するか検討することが重要です。
今回は、製造業でデジタル取引を導入する上で、考慮すべき商習慣について考えました。デジタル取引導入の目的は単なるペーパーレス化ではなく、業務効率化や生産性向上であるべきです。今回ご紹介した7つ以外にも、取引先との在庫状況や製造進捗の共有、BCP対策などデジタル化によって効率化が見込めるポイントはあります。今一度、自社の商習慣ややり取りすべき情報を見直し、自社に適合して生産性向上に繋がるようなデジタル取引の実現を目指しましょう。
弊社では、製造業に最適なクラウド型EDIサービス『EXtelligence EDIFAS』をご提供しています。受発注はもちろんのこと、生産計画や見積、出荷、支給、検収など、製造業が必要とする一連の取引情報をデータでやり取りすることが可能です。電子帳簿保存法にも対応し、経済産業省、中小企業庁が推進するEDI規格「中小企業共通EDI」に準拠したサービスです。企業間取引を一気通貫で電子化したいお客様は、是非EDIFASをご検討ください。
EDIFASの詳細はこちらお問い合わせこちら 2022年も残すところ、あとわずかとなりました。皆様にとって2022年はどのような年でしたか?2020年初頭に始まった新型コロナウイルスの流行は早3年が経過しようとしており、単なる「新型コロナウイルスへの畏怖」から「新型コロナウイルスとどう付き合っていくか」という世相に変わってきたように思います。まさに、「ウィズコロナ時代」に突入したのがこの2022年だったのではないでしょうか?世界情勢をみると、半導体をはじめとした部素材不足、そしてロシアのウクライナ侵攻によって物流が滞り、物価が高騰するなど、私たちの生活にも大きな影響を及ぼしました。一方、カタールではサッカーワールドカップが開催され、国を背負った代表同士の熱戦に世界中が感動したことでしょう。
振り返ると様々なビッグイベントがあった2022年でしたが、もちろんIT業界も例外ではありません。今年も恒例の「ITトレンド 振り返り」を行い、昨今のIT潮流に置いて行かれないように、話題となったITトレンドを整理していきましょう。
インボイス制度の施行がいよいよ来年10月に迫っています。最近の動向をみると、11月30日に政府・与党が小規模事業者向けの大幅な緩和処置を設ける方針を固めました。このように、企業の対応状況によっては施行までに何らかの制度見直しが行われる可能性がありますが、インボイス制度自体は今のところ予定通り施行されるようです。インボイス制度の詳細は過去のコラムもご参照ください。
2022年はこのインボイス制度対応に向け、社内システムの見直しや、電子契約、電子取引の導入が一層加速した年でした。まず、インボイス制度では事業者登録番号の記載や税率ごとの税計算が必要になるので、社内の販売管理・会計管理システムの見直し・改修が各企業で行われています。加えて、紙のインボイス管理で発生する手間を削減するために、クラウド請求などの電子契約サービスを活用した「電子インボイス」を導入する企業も少なくありません。
さらに、インボイス情報はその上流の取引で発生する受発注や出荷、検収の情報にも密接に関連していることから、「電子取引」サービスによって一連の取引を電子化し、請求業務に限らず、取引業務全体の効率化を目指す企業が増えています。
このように、インボイス制度を契機として、請求業務の電子化、ひいては取引業務全体の電子化が急速に進みました。
電子帳簿保存法も、電子取引の普及を加速させた要因といえます。電子帳簿保存法とは、国税関係帳簿書類や証憑書類を電子データで保存することを認めた法律のことです。電子取引(EDIやEC、メールを利用した取引など)についても、取引データの保存義務が定められており、今年初めに施行された改正電子帳簿保存法では、電子取引で発生した取引データの紙保存を認める代替措置が撤廃され、データでの保存が完全義務化されました。特にメール添付で注文書や請求書をやり取りしている企業は、メールサービスだけでは保存要件を満たせないため、取引業務の大幅な見直しが必要となります。詳しくは過去のコラムをご覧ください。
対応までの宥恕期間が設けられているものの、2023年末が期限なので早めに対応を進める必要があります。このような背景から、電子帳簿保存法に対応して取引データを保存できる「電子取引」サービスの利用が加速しているのです。
冒頭でも述べた通り、今年はロシアのウクライナ侵攻を契機に物流が停滞し、世界規模でサプライチェーンに甚大な被害を与えました。ウクライナ侵攻によるサプライチェーンリスクについては、過去のコラムもご参照ください。
部素材については、特に半導体が深刻な供給不足に陥っています。半導体は、PCやスマートフォン、デジタル家電、データの通信技術など、私たちの生活に欠かせない電子機器に広く使われています。多様な分野でデジタル化が推進されていることも相まって、需要がますます増加していますが、韓国やアメリカなどに生産拠点が偏っており、グローバルサプライチェーンに頼っている素材でもあります(日本でも自給率は3割程度)。
2022年以前から新型コロナウイルス感染拡大や米中貿易摩擦の影響などによって、グローバルサプライチェーンが寸断され、半導体の供給不足が顕在化していました。特に製造業への影響は大きく、半導体を使った製品を製造する様々なメーカーが、生産計画通りに製品を製造できない事態に陥りました。『2022年版 ものづくり白書 概要』での調査結果でも、調査対象である製造業の約半数(49.3%)が、事業に影響を及ぼす社会情勢変化として「半導体不足」を挙げており、実際に多くの企業が影響を受けていることが見て取れます(下図参照)。
出展:経済産業省 厚生労働省 文部科学省『2022年版 ものづくり白書 概要』
このように、グローバルサプライチェーンに頼りすぎると世界情勢などの様々な要因に影響を受けやすいため、自社のサプライチェーンを見直す企業が増えています。グローバルサプライチェーンから完全脱却を目指す風潮も生まれており、それに伴って国内サプライチェーンの強靭化も求められています。
サプライチェーンの強靭化には、サプライチェーン間でのデータ連携を促進し、迅速な状況把握や柔軟な情報伝達が必要になることから、電子取引などのデータ連携が進む一方、サプライチェーン全体のサイバーセキュリティの課題が浮き彫りになっています。サプライチェーン内で、取引情報や在庫情報の共有などを電子的にやりとりするので、業種や規模を問わず不審な通信等の脅威にさらされます。特に中小企業では、PPAP問題など課題が多く、まだまだセキュリティ対策が不十分なのが実情です。
あらためて自社のサプライチェーンリスクの把握と対策(BCP対策)に取り組み、セキュリティソフトの導入も加速しています。実際、『2022年版 ものづくり白書 概要』のIT動向調査でも、IT投資で解決したい課題として、「セキュリティの強化」や「サプライチェーン見直し・強化」が挙がっており、企業のサプライチェーンやセキュリティへの意識向上が伺えます。
2022年はテレワークのため、多くの企業でWEB会議サービスが利用されました。テレワークが当たり前になりつつある一方で、テレワークによる弊害も顕在化しました。代表的な弊害としては、コミュニケーション不足が挙げられます。やはり社内外問わず、コミュニケーション不足によって業務に支障をきたしていると感じている企業も多いようです。最近では比較的テレワークがしやすいIT企業においても、NTTグループがグループ全体の従業員の約半分を原則テレワークとする一方、Twitter社においては、新社長に就任したマスク氏が週40時間は出社勤務するよう通達するなど、テレワークが加速する企業と出社推奨の企業で二極化の様相を呈しています。
テレワークの良し悪しは議論が分かれるところではありますが、生産性と働きやすさの両立(ハイブリッドワーク)を目指した動きが今後も続くとみられます。ただ、テレワークするにせよ出社するにせよ、もはやデジタルコミュニケーションは不可欠であり、2023年以降もWEB会議サービスやグループウェア、チャットサービスなどのデジタルコミュニケーションのためのサービス利用は増えると思われます。さらには、テレワークに不可欠な紙業務脱却のために、紙伝票の電子化もさらに拡大していくでしょう。
各企業の課題として、「2025年の崖」が迫っていることも忘れてはいけません。2025年の崖とは、各企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)の重要性を認知しつつも、既存システムの老朽化やブラックボックス化の問題などを解消できず、2025年以降、1年あたり最大12兆円の経済損失が生じる可能性があると警鐘を鳴らしているものです。レガシーシステム(老朽化したシステム)だけではなく、IT人材の不足やセキュリティリスクの増大、ISDN回線を用いたレガシーEDIが利用できなくなる(EDIの2024年問題)など、様々な問題が集中的に生じるため、かつてない危機が予想されています。この危機を回避するためには、今から段階的にDXへの取り組みを進める必要があり、その一歩目としてレガシーシステムからの脱却が重要となるのです。
そんな中、2021年の「Windows11」リリースを契機に、今年はWindows11に対応出来ないレガシーシステムから脱却して、基幹システムの入れ替えに取り組む企業が増えました。また、レガシーEDIを利用している企業もISDN回線廃止を見据えて、インターネット回線を利用したクラウドEDIなどへ急速に移行しています。
このように、目先の法対応のためだけではなく、2025年の崖と呼ばれる大きな課題の解決に向けて、2022年は各企業で着々とDXへの取り組みが進められました。
本格的に「ウィズコロナ時代」に突入した2022年は、ウクライナ侵攻によるサプライチェーン危機も相まって、「いかにビジネスを継続していくのか」、「いかに厳しい競争で生き残っていくか」を考えさせられる年でした。そして同時に、これらの課題を解決する鍵はITやDXであることも実感できる年でした。直近の法対応から始まり、サプライチェーンマネジメントや2025年の崖、社員の就業形態に至るまで、各種課題を解決できる大きなファクターはやはりDXです。2023年以降、企業がますますITを活用し、競争力を高めていくことでしょう。そんな弱肉強食の世界で生き残るには、当然自社の企業価値を高めることが重要になります。常にIT潮流にアンテナを張り、DXを推進して一歩先に進む経営を実現していきたいところです。
弊社では、2300社を超える企業が利用し、受発注や見積、検収、支払通知など一連の取引を電子化できるクラウド型EDIサービス「EXtelligence EDIFAS」や、1,700本を超える導入実績がある中堅・中小製造業向けの生産管理システム「Factory-ONE 電脳工場MF」を提供し、企業のDX推進をご支援しています。
ロシアによるウクライナ侵攻が大きなニュースとなっています。ウクライナという遠い国の話とはいえ、日本にとっても対岸の火事ではありません。既にサプライチェーンの寸断によって、日本経済に少しずつ影響が出ています。今回のコラムでは、そのようなサプライチェーンリスクとその対応策について考えます。
ロシアがウクライナに侵攻し、日々その戦況は激しさを増しています。ロシアとウクライナの和解は進まず、第三次世界大戦のはじまりともいわれています。ウクライナと聞いてもあまり実感が湧かず、「日本には影響がない」と思われる方もいるかもしれません。しかし、今回のロシアのウクライナ侵攻は、日本にも大きな影響を及ぼしています。
それが、サプライチェーンの寸断です。過去のコラムでも、地震や台風といった自然災害、新型コロナウイルス等の感染症の拡大によるサプライチェーンの寸断を取り上げてきました。自然災害で取引先が被災し、生産に不可欠な部品等が供給されず生産ラインが止まってしまうケースや、感染症の拡大で海外の工場が停止する、海外からモノが届かないなど、サプライチェーンの寸断は事業の継続に大きなダメージを与えます。
実際、今回のウクライナ侵攻による海外サプライチェーンの寸断を鑑みて、トヨタ自動車や三菱自動車、コマツ、日立製作所、日立建機が輸出や現地生産を停止することを発表しています。また、国内においても、ロシアからの輸入に頼っていたパラジウム、半導体の製造に不可欠なネオンの供給が止まることで、日本の工場での生産にも影響が出る可能性があります。
このように他国間の戦争によっても、グローバル時代の現代ではサプライチェーンの寸断によって大きな影響を受けることになります。新型コロナウイルスの影響が緩和されつつあった中で、またも経済に大きな打撃となりました。これから先、何が起こるかは全く予想ができません。サプライチェーンリスクは、常に念頭に置く必要があります。
では、サプライチェーンリスクにどのように対応をしていけば良いのでしょうか。まずは、取引先の分散化が挙げられます。取引先を分散させることで、仮に有事で取引先の1社が操業停止になったとしても、他の取引先でその分を補うことができます。結果、多少の影響は出たとしても、生産ラインを止めるなどといった大きなダメージは回避することができます。
ただし、取引先が分散することで1社あたりの発注数量が減るため、ロットの大きい取引によるコストダウン効果は、1社集中に比べると下がることが予想されます。また、情報のやり取りという点においても、取引先が増えるほど手間が掛かるという難点はあります。
そういった問題を改善するためには、部品の共通化を図って、部品毎の発注数量をできるだけ増やしたり、取引先との情報のやり取りはデジタルを前提とした標準化を図るといった取り組みが必要となってきます。しかし、技術的に難度が高い加工品や、高い品質が求められる材料など、すぐに代替となる取引先を見つけることが困難な場合もあるでしょう。また、取引先との情報のやり取りを標準化するには取引先の協力が不可欠です。時間をかけて取引先との摺り合わせが必要となります。
取引先の分散化には時間が掛かるため、平時から準備を進めることが大切なのです。
自社におけるサプライチェーンリスクを正しく把握し、その対策を練るには、BCP(事業継続計画)の策定が重要になります。BCPについては、過去のコラムでも紹介していますが、災害や事故など、万が一の事態が発生した場合の備えのことを指しています。BCPでは継続すべき重要業務を抽出し、事業をどう継続するか、事業をどのように早期復旧するかという視点から、事前対策、早期復旧の意思決定手続きまで計画することが含まれます。詳しい策定手順などは下記のコラムにてご確認ください。
BCPの策定状況は進んでいないのが現状です。2019年時点で、BCPを策定している企業は、大企業で3割弱、中小企業で1割強と非常に少ない状況です。また、自然災害が毎年のように発生しているにもかかわらず、策定状況はここ数年横ばいです。
そういった中、先述のとおりサプライチェーンリスクが高まっている状況下では、自社のBCP策定のみならず、取引先のBCP策定も肝になってきます。「鎖(チェーン)の丈夫さは一番弱い輪で決まる」という言葉がありますが、サプライチェーンにも当てはまります。自社がBCPを策定して実行していても、サプライヤーがリスク対策を怠っていると、自社への影響は避けられません。取引先のBCP策定を加速させることが重要になるのです。
サプライチェーンの寸断は事業に大きな影響を与え、最悪の場合は自社の倒産につながるリスクがあります。自然災害のみならず、感染症の拡大や不安定な世界情勢など、毎年のように大きな問題が発生しています。企業間でつながることが不可欠な時代であるからこそ、従来のSCMへの取り組みはもちろんのこと、サプライヤーのリスク管理を含めたサプライチェーンリスクマネジメント(SCRM)まで考えることが経営の安定につながります。取引先の分散が難しいならば、まずはBCPの策定からでも大丈夫です。今できることから始めてみるのが大事です。
BCPの策定には、弊社の『EXtelligence SCB』がおすすめです。『EXtelligence SCB』は、弊社が提供する知的プラットフォーム『EXtelligence』のサービスのひとつで、クラウド型企業間グループウェアサービスです。アンケートや掲示板機能によって企業間の情報共有基盤を構築することができると同時に、取引先のBCP策定状況を確認し、サプライチェーン・マネジメントを実現することが可能です。よろしければ、ご確認ください。
2021年も残すところあと半月となりました。皆様にとって2021年はどのような年でしたでしょうか?今年は、昨年以上に新型コロナウイルスが猛威を振るい、8月には21都道府県で緊急事態宣言が発令されました。一方で、ワクチン接種も着々と進められ、12月現在では感染収束の希望が見えてきました。しかし、大きく変貌した私たちのライフスタイルは”ニューノーマル”として定着し、新型コロナウイルスが収まろうとも、パンデミック前の状況に戻ることは決してないでしょう。
パラダイムシフトとも呼べるこの変動の中で、IT業界においても様々な変化やトレンドが生まれました。ウィズコロナ・アフターコロナと呼ばれる時代を生き抜くために、2021年のITトレンドを振り返り、これからのIT潮流を把握しましょう。
2023年10月から始まるインボイス制度に対して不安を抱えている企業も多いのではないでしょうか。インボイス制度が始まれば、インボイスの保存が発行者、受領者双方に義務付けられ、免税事業者と課税事業者の仕分け作業も発生し、手間が増えることが懸念されています。これを受けて、インボイスを電子データでやり取りする電子インボイスが注目を集めていますが、今年はこれに関連して「Peppol(ペポル)」が大きな話題となりました。
Peppolとは、電子インボイスなどの電子文書をネットワーク上で授受するための国際的な標準規格です。欧州各国をはじめ、シンガポール、オーストラリアなどで採用されており、Peppolに基づく電子インボイスの国際的な利用が推進されています。日本では、EIPA(電子インボイス推進協議会)が、日本国内の事業者が幅広く共通的に使える電子インボイスシステムの構築を目指し、Peppolに日本の法令や商慣習などで必要な追加要件を加えた国内標準仕様を策定すべく取り組んでいます。また今年9月には、デジタル庁がPeppolの国際的な運営団体である「OPEN Peppol」のメンバーとなるなど、官民一体となってPeppolの国内適用と電子インボイスシステムの実現を目指していることがうかがえます。
今後は、電子インボイスの普及によって請求業務が電子化され、それに伴い、前工程である見積や受発注といった業務も電子化の必要性が高まっていくと考えられます。
レガシーシステムの問題やIT人材不足の問題などによって企業のDX推進が阻まれ、このままだと2025年以降、大きな経済損失が生じる可能性があると懸念されています。いわゆる”2025年の崖”です。これを阻止すべく、DXの強力な推進力になると期待されているのが、「ノーコード・ローコード」です。
ノーコード・ローコードとは、アプリケーションやシステムの開発を行う際に、コードを書かない、もしくは少ないコードで開発ができるというものです。ノーコードは、基本的に用意されている機能を使って開発を行うので、一からのプログラミングに比べると柔軟性は劣ります。しかし、一般的なシステム開発で必要なコードの記述が全く必要ないので、プログラミング言語などの専門スキルがない人でも開発が可能です。ローコードは、ノーコードのようにコードの記述が全く不要というわけではありませんが、少ないコードでの開発が可能で、自らコードを記述できるので、高い汎用性や拡張性があります。
ノーコード・ローコードの技術を用いることで誰もが開発者となり得るので、IT人材不足の時代でも限られたエンジニアだけに依存することなく、様々なシステム・アプリケーションを開発することが可能です。また、ノーコード・ローコード開発では、直感的な画面操作や、あらかじめ用意された機能を組み合わせるだけでプログラミングができるので、よりスピーディーな開発が可能となります。企業間の競争が激化している現代において、企業の競争力向上にも役立つでしょう。ノーコード・ローコードの最たるものとして、「RPA(Robotic Process Automation)」があります。RPAについて詳しくは以下のコラムもご覧ください。
DXの潮流は、民間企業にとどまらず行政へも変革をもたらしています。政府は行政手続きにおけるデジタル化の遅れを懸念し、デジタル庁を中心に「デジタルガバメント」の実現を目指しています。
政府によると、デジタルガバメントとは「デジタル技術の徹底活用と、官民協働を軸として、全体最適を妨げる行政機関の縦割りや、国と地方、官と民という枠を超えて行政サービスを見直すことにより、行政の在り方そのものを変革していくこと」と述べられています(政府CIOポータル参照)。端的に表現すれば、行政のDXです。政府が提唱するSociety5.0時代にふさわしい行政サービスを国民一人一人に提供することが目的です。
デジタルガバメントが実現すれば、すべての行政手続きがインターネットを経由して24時間いつでもどこでも申請できるようになり、国民や企業の利便性が飛躍的に向上するでしょう。利益を追求する民間企業だけではなく、公益を目的とする政府までもがデジタル化に力を注いでいることを考えると、我々のライフスタイルや企業活動が大きく変化して、国全体でDX化を加速せざるを得ない時代になったということがうかがい知れます。
近年、情報システムを構築する際に、そのインフラとしてクラウドの採用を第一に考える「クラウドファースト」という考え方が一般的になりました。クラウド利用はイニシャル費用が抑えられるほか、BCP対策も可能なため、中小企業から大企業に至るまで広く普及しています。
しかし昨今、すべてクラウドだけでシステム構築することが最善なのか、という問題提起がなされるようになりました。コストの観点では、クラウドサービスは従量課金制が多く、イニシャル費用は抑えられるものの、長期使用となると物理サーバーよりもコストがかかるという指摘があります。また、自社に合ったシステムを構築するという観点では、エンジニアが自由にカスタマイズできる物理サーバーの方が柔軟性が高いという指摘もあります。
そこで、クラウドファーストから「クラウドセントリック」という考え方にシフトする流れが生まれています。クラウドセントリックとは、システム開発のインフラ選定において、「クラウド」だけではなく「クラウドを中心に、周囲にクラウド以外の必要なソリューションを配置する」という考え方です。来年以降は、クラウドとノンクラウドを組み合わせる流れが主流となり、クラウドサービスと連携できるソリューションの需要がますます増えると考えられます。
昨今、良いモノでニーズがあっても売れるとは限らない時代になりました。テクノロジーが発展して、様々な情報が簡単に手に入るため、モノの差別化が難しくなったからです。そのため、モノ自体ではなくモノを通して得られる「体験」が重視されるようになり、企業はUX(ユーザーエクスペリエンス)やCX(カスタマーエクスペリエンス)の向上に注力するようになりました。また、UXやCXを向上させるためには、自社の従業員に対するケアも必要であるとして、EX(エンプロイーエクスペリエンス)を重視する流れも生まれました。さらには、現実では経験できないような体験を指すMX(マルチ・エクスペリエンス)も登場しました。デジタルやモバイル、VR(仮想現実)などのIT技術を使って、より快適な生活体験を得るという考えです。
そして、今年注目を集めたのが「TX(トータル・エクスペリエンス)」という概念です。TXとは、前述のUX、CX、EXをMXとリンクさせ、関わる人にとって総合的により良い体験を創出しようとする戦略のことです。今や新型コロナウイルスの影響で、人と人の接触が避けられようになり、実際のモノを通した体験を得にくくなっています。したがって、IT技術を用いるMXを通して新たに価値のある体験を提供し、CXやUXを向上させていくことが重要となるのです。「製造業のサービス化」に代表されるように、今後このTXをいかに提供できるかが、企業競争を勝ち残る鍵になりそうです。
2021年は、コロナ禍によって定着したニューノーマルへの対応に試行錯誤した一年となりました。コロナ不況により経営の舵取りが難しくなった企業や、コロナ禍だからこそビジネスチャンスを掴んだ企業など、企業価値が大きく変化した一年といえます。
2022年からはニューノーマルに対応することが大前提となり、その上で自社しか提供できない価値を創出していかなければなりません。そんな時代だからこそ、ITを利活用し、自社の企業価値を高めることが重要になります。常にITトレンドにアンテナを張り、一歩先に進む経営を実現しましょう。
弊社では、見積や受発注、出荷、仕入検収、請求など一連の企業間取引を電子化できるクラウド型EDIサービス「EXtelligence EDIFAS」など様々なIT関連サービスを取り揃えておりますので、お気軽にお問い合わせください。
電子取引サービスをご検討なら、弊社のクラウドEDIサービス『EXtelligence EDIFAS』がおすすめです。製造業を中心に国内外2700社の企業が利用しており、月額3,000円(税別)からの圧倒的な低価格、使いやすいインターフェースと豊富な設定機能で、誰でも簡単に操作することができます。電子帳簿保存法にも対応し、経済産業省、中小企業庁が推進するEDI規格「中小企業共通EDI」に準拠したサービスなので、安心感と将来性を兼ね備えています。最大2カ月の無料トライアル期間もございますので、ぜひこの機会にお試しください!
EDIFASの詳細はこちらお問い合わせこちら「令和2年度ものづくり基盤技術の振興施策」が公開されました。今年度のテーマは、「製造業のニューノーマル」です。新型コロナウイルスの感染拡大により、日本の製造業を取り巻く環境は大きく変化しました。そういった中、今回のものづくり白書では「レジリエンス」「グリーン」「デジタル」という、製造業のニューノーマルにおいて取り組むべき3本の軸が掲げられています。今回のコラムでは、それら3本の軸について解説し、製造業はどのように対応していくべきかを考えていきます。
1本目の軸は「レジリエンス」です。東日本大震災や熊本地震といった災害経験から、昨今は企業の危機意識が向上し、BCP(事業継続計画)を策定する企業は着実に増えていました。しかし、今回の新型コロナウイルス感染症の拡大は、自然災害のように局地的なものではなく世界全体で同時多発的に発生し得るものであり、従来のBCPでは到底対応できない状況に陥ってしまいました。
BCPを策定・運用してきたとはいえ、取引先全体を把握、管理するといったことはまだまだ未熟な状態です。そこで今回のものづくり白書では、今後の製造業はもっと強靭なサプライチェーンを構築することが必要と示しています。具体的には、サプライチェーン全体を可視化した上で、調達先の分散など危機に備えるといった方策を挙げています。
また、危機の内容にとらわれることなく、いかなる時でも事業を継続できるような「オールハザード型」のBCP策定も注目されています。仮に、人員や設備の一部が機能不全になったとしても、残りのリソースで事業を継続できるように準備する体制が必要となるのです。
2本目の軸は「グリーン」です。昨今、各国政府がカーボンニュートラルへの意識を高めています。カーボンニュートラルとは、二酸化炭素の排出量と吸収量を実質プラスマイナスゼロにするという意味です。企業活動や日常生活において二酸化炭素の排出量をゼロにすることは不可能なため、森林等が吸収する二酸化炭素量で埋め合わせて二酸化炭素の排出総量を変えないようにしようという考え方です。日本も2050年までのカーボンニュートラルを目標にしています。
このような政府の動きは、産業界にも影響を与えています。実際に、製造業でもサプライチェーン全体でのカーボンニュートラルを目指して取り組む企業が現れています。今回のものづくり白書では、Apple社が2030年までにサプライチェーン及び製品ライフサイクル全体で、カーボンニュートラルの達成を目指す発表が掲載されています。
日本のサプライチェーンにおいても例外ではありません。ある日、得意先からカーボンニュートラルへの取り組みを求められるかもしれません。
同時に、グリーンファイナンスの手法が普及していることも注目されています。グリーンファイナンスとは、国内外での投資家や金融機関において、企業の環境問題への取り組みを投資の判断材料にするという手法のことです。今後は、環境問題への意識を高めずには資金調達が難しい時代になるかもしれません。企業が一丸となって環境問題への意識を高めていく必要があります。グリーンファイナンスと関連するESG投資については、下記のコラムもご覧ください。
3本目の軸は「デジタル」です。新型コロナウイルスの感染拡大で、改めて先の読めない時代であることが分かりました。そのような先の読めない時代だからこそ、急激な環境変化に臨機応変に対応する能力「ダイナミック・ケイパビリティ」が必要になります。2020年版「ものづくり白書」によると、ダイナミック・ケイパビリティの獲得にはデジタル化が有効だといえます。詳細は、以前のコラム「コロナ禍で注目!ダイナミック・ケイパビリティとは?」をご覧ください。
デジタル化といえば、最近ではDX(デジタルトランスフォーメーション)を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか?経済産業省は2018年にDXレポートを作成して以降、DXの必要性と2025年の崖への危機意識を企業に訴えてきました。しかしながら、多くの企業ではなかなかDXは思うように進んでいないという現状があります。
そのような暗中模索する状況ですが、ニューノーマル時代では、よりDXへの取り組みを強化する必要があります。今回のものづくり白書では、人材の育成、リモート化への取り組み、バリューチェーンを意識したデータ連携、5Gの活用、サイバーセキュリティ対策などが提唱されています。
以上のように、これからの製造業には「レジリエンス」「グリーン」「デジタル」の3ワードが鍵となります。これらの重要性は理解できるものの、実際の行動レベルに落とし込む際に悩んでしまう企業も多いと思います。
このような場合、一気に変革するのではなく、少しずつ取り組みながらPDCAを回していくという姿勢が重要です。
例えば一歩目として、電子取引(EDI)の導入をするのはいかがでしょうか。サプライチェーン全体の可視化と管理、そしてデジタル化にはEDIが最適です。昨今は、在宅勤務の拡大で取引業務の電子化が喫緊の課題といえるでしょう。また、基幹システムの刷新等と比べると安価に導入ができるということも、一歩目にはもってこいです。
そしてEDIの導入が成功した後は、RPAの導入を検討するのが良いと考えます。RPAを導入すれば、システム間の連携を容易に実現できます。社内のあらゆるシステムが連携し、かつ、人手が介入せずに業務が進行する。まさにものづくり白書で提唱されているデジタルの要件を満たすことができます。
千里の道も一歩から。ニューノーマル時代での生き残りをかけた戦いは既にスタートしていますが、焦らずに着実に対応していきましょう。
電子取引サービスをご検討なら、弊社のクラウドEDIサービス『EXtelligence EDIFAS』がおすすめです。製造業を中心に国内外2700社の企業が利用しており、月額3,000円(税別)からの圧倒的な低価格、使いやすいインターフェースと豊富な設定機能で、誰でも簡単に操作することができます。電子帳簿保存法にも対応し、経済産業省、中小企業庁が推進するEDI規格「中小企業共通EDI」に準拠したサービスなので、安心感と将来性を兼ね備えています。最大2カ月の無料トライアル期間もございますので、ぜひこの機会にお試しください!
EDIFASの詳細はこちらお問い合わせこちら新型コロナウイルスが引き続き猛威を奮っています。冬に向けて寒くなるにつれ、感染者数が増加し、第3波に入ったとも言われています。そのようなコロナ禍において、従来の「サプライチェーン」に取って代わる新しい概念として、「サプライネット」という言葉が徐々に注目を集めています。今回のコラムでは、 サプライネット に焦点を当て、ニューノーマル時代の企業間取引について考えていきたいと思います。
新型コロナウイルスの感染拡大は、私たちの生活に大きな影響を及ぼしています。その中のひとつに、サプライチェーンの毀損という問題があります。実際に、中国から部品が輸入されず生産に支障をきたしたり、渡航制限によって海外拠点の運営が困難になったりするといったことが起こりました。生産活動に支障があったかどうかを尋ねるアンケート調査では、8割を超える企業が「あった」と回答しており(2020年8月4日 日経ビジネス「緊急企業アンケート 新型コロナ受け『サプライチェーン見直す』8割」より)、経済産業省「2020年版 ものづくり白書(以下、ものづくり白書)」においても、サプライチェーンの寸断リスクが大きく取り上げられています。
このような状況下で自社と取引先の安定を図るために、BCP(事業継続計画)に取り組む企業が増えています。これについては以前のコラム「新型コロナウイルスとBCP」において取り上げておりますので、ご覧ください。
そして、企業のBCPへの意識が高まる中で、注目されている言葉があります。それが今回ご紹介する「サプライネット」という概念です。ここからはサプライネットに関して、概要をご紹介していきます。
サプライネットとは、生産拠点や調達先を分散させるという考え方を指す言葉です。特定の国や地域に偏って構築されるサプライチェーンとは対照的な用語です。コストを可能な限り抑えるという観点では、サプライチェーンという考え方は効果的であると言われていましたが、今回の新型コロナウイルスのように、感染症が爆発的に拡大するといった不確実性に対しては脆弱であるということが明らかになりました。前述のように、中国からの部品が調達できず支障をきたした例は、サプライチェーンの弊害といえます。その点、サプライネットという考え方ならば、仮に中国の取引先から部品が調達出来ない場合でも、他国の取引先から調達できれば問題ないので、有事の際にも臨機応変に対応できます。
この一種の危機管理体制強化ともいえる「サプライネット」という考え方に、日本政府も前向きな姿勢を示しています。日本経済新聞によると、日本政府は東アジアに生産拠点を分散させる企業に対して、補助金を出す姿勢を打ち出している模様です(2020年10月15日 日本経済新聞「供給網分散、政府が補助金 東南アジア拠点設置の企業に」より)。サプライネットは供給網を幅広くしなくてはいけない点で、コスト面が課題となっていましたが、今回の政府からの補助金によって幾分かその課題は解消される見通しです。
実際に、「コロナによる生産活動への影響に対してどのような対策をとりますか?」というアンケート調査では、調達先の分散や生産拠点の増加など、仕入れや生産の複線化と回答する企業が多いという結果が出ており(2020年8月4日 日経ビジネス「緊急企業アンケート 新型コロナ受け『サプライチェーン見直す』8割」より)、「サプライネット」という考え方を受け入れようとしていると伺えるでしょう。
ほんの1年前までは、新型コロナウイルスによって私たちの生活がこれほどまで変化するとは誰も予想していなかったでしょう。このように、現代は一瞬にして状況が変わってしまうほど不安定な時代です。常に有事に備える姿勢は、安定的な企業活動において不可欠なものになりました。BCPに取り組む中で、サプライネットを構築することで、今後のニューノーマル時代において価値を出し続けられる企業になるでしょう。
政府の補助金など追い風が吹いている今のタイミングで、一度サプライチェーンの見直しを検討されてみてはいかがでしょうか。
電子取引サービスをご検討なら、弊社のクラウドEDIサービス『EXtelligence EDIFAS』がおすすめです。製造業を中心に国内外2700社の企業が利用しており、月額3,000円(税別)からの圧倒的な低価格、使いやすいインターフェースと豊富な設定機能で、誰でも簡単に操作することができます。電子帳簿保存法にも対応し、経済産業省、中小企業庁が推進するEDI規格「中小企業共通EDI」に準拠したサービスなので、安心感と将来性を兼ね備えています。最大2カ月の無料トライアル期間もございますので、ぜひこの機会にお試しください!
EDIFASの詳細はこちらお問い合わせこちら日本に甚大な影響を及ぼしている新型コロナウイルス。厚生労働省によると、6月15日現在の国内における新型コロナウイルスの感染者は17,502例、死亡者は925名となりました。緊急事態宣言の発令、外出自粛、在宅勤務の推奨など、日常の生活や経済活動に大きな変化が生じた数ヶ月となりました。ようやく先月、緊急事態宣言が解除されましたが、第2波といった再流行を考えると予断を許さない状況にあることは間違いないでしょう。このような状況を考えると、今後の企業活動はコロナとの共存を前提とした戦略が求められます。今回のコラムでは、withコロナ時代の企業経営に焦点を当て、ますます厳しくなる市場競争の中で、中小企業が生き残るためには何が求められているのかを考えていきたいと思います。
新型コロナウイルスは人体のみならず、経済にも大きな打撃を与えています。以前のコラム「新型コロナウイルスとBCP」で記載しましたが、イベントの中止、航空便の欠航、ホテルのキャンセル増加、飲食店の営業自粛など、サービス業を中心に業績が大幅に悪化する企業や、関連倒産する企業が相次いでいます。2020年版「中小企業白書」によると、新型コロナウイルスの影響は大企業、中小企業を問わず9割を超える企業に出ていることが明らかになっています。
また新型コロナウイルスによって現在出ている影響は、「売上が減少」が約5割を占めるなど、企業経営への影響が大きいことが見受けられます。
再流行を考慮に入れると、今後新型コロナウイルスによる不況と企業活動への影響は、当面の間継続すると考えられるでしょう。そういった不況を乗り切るためにも、これからの企業経営には付加価値を高める、新たな付加価値を生み出すことが求められます。
しかしながら、現在の日本の中小企業の付加価値額は低い傾向にあります。2020年版「中小企業白書」によると、従業員一人当たりの付加価値額(労働生産性)は、中小企業の場合、長らく横ばいの状態であり、徐々に付加価値額を上昇させている大企業と比べると、その差は拡大していると示されています。
また、企業規模別、業種別の労働生産性のグラフを見ても、どの業種においても大企業より中小企業、小規模企業の労働生産性は低いことがわかります。
以上のように、現状では中小企業はあまり付加価値を創出できていません。withコロナ時代を生き残るには、現状の業務において労働生産性を高め、付加価値を高める必要があります。加えて、新たな事業への取り組みによって、新しい付加価値を生み出す必要もあるでしょう。2020年版「中小企業白書」によると、新事業領域への進出、新事業分野への進出、差別化への取り組みを行った企業は、販売数量と販売単価の増加を同時に達成していることが示されています。すなわち、売上を伸ばすには、新たな付加価値を創出することが一つの重要な要素であることがわかります。
今ある業務の労働生産性を高めながら、新規事業への進出等で新たな付加価値を生み出していく。そのためには、業務の効率化が重要になります。現在の業務から無駄を省き、従業員が創造的な仕事ができる環境を整えることが肝心です。
業務効率化、生産性向上の実現の仕方は様々存在しますが、今回は最近話題のRPAに焦点を当てたいと思います。RPAを導入すれば、定型作業や単純作業、大量作業の自動化を実現することができます。日常の業務の中で、注文内容の基幹システムへの転記作業など、簡単な作業だが多くの時間を割いている業務があるのではないかと思います。そのような業務を全てRPAに任すことができれば、新規事業を考えることや、他社との差別化戦略を立てることなど、空いた時間を創造的な仕事に充てることが可能です。付加価値が求められる時代だからこそ、自動化できる業務は自動化し、人は人にしかできない業務に従事する必要があります。こういった取り組みを進める企業こそが、厳しいコロナ不況の中でも売上を伸ばし続け、生き残ることができるのではないでしょうか。