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メールで受け取った注文書の紙出力保存がNGに!2022年1月の電子帳簿保存法改正

 2022年1月に「電子帳簿保存法」が改正されることはご存じでしょうか?以前のコラムでその改正内容をご紹介しました。

DXを推進!2022年1月の電子帳簿保存法改正

 この内容に加えて、もうひとつ留意すべき改正点があります。それが「電子取引データの紙出力保存の廃止」です。この改正で、電子取引データは原則通り電子データでの保存が義務付けられることとなります。今回は「電子取引データの紙出力保存の廃止」についてその内容を解説し、どのように対応していくべきかを考えます。

注:2021年12月、令和4年度税制改正大綱に電子データ保存義務の2年猶予(2022年1月1日~2023年12月31日)が盛り込まれました。


電子取引は電子データの保存が必須

 電子取引データの紙出力保存の廃止について、「令和3年度税制改正の大綱」では以下のように記述されています。

申告所得税及び法人税における電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存義務者が行う当該電磁的記録の出力書面等の保存をもって当該電磁的記録に代えることができる措置は、廃止する。

 そもそも電子取引とは、発注書や領収書などに記載される取引情報を電磁的方式により授受する取引のことです。たとえば、EDIシステムを使った取引や、インターネット等による取引、電子メールによって取引情報を受け渡しする取引、Webサイトを通じた取引などが該当します。電子帳簿保存法では、これらの電子取引に係る取引情報の保存義務を定めています。
 現在、それらの取引情報は、原則の電子データとして保存する方法に加えて、その電子データを出力して紙で保存する方法も認められていました。しかし、改正後は「令和3年度税制改正の大綱」の記述にある通り書面での保存措置が廃止され、電子データによる保存が義務付けられます。
 つまり、これまでは書面に出力して保存することで電子帳簿保存法の保存要件を気にする必要がなかった企業も、要件にしたがって電子データを保存することが必須となるため、これまでの運用や取引方法を見直す必要があります。

  

運用の見直しが必要なケースは?

 では、2022年1月以降、具体的にどのような場合に運用の見直しが必要なのでしょうか?電子取引データの保存義務は、発行側・受領側双方に発生しますが、今回は注文書を受領する側の観点から、いくつかのケーススタディを通して考えます。

 ①紙で受領している場合

 紙で受領している場合は、電子取引には該当しないため、紙の保存のままで問題ありません。もしくは、今回多くの要件緩和が予定されているスキャナ保存の制度に従って、電子化して保存する運用となります。

 ②電子メールで受領している場合

 電子メールにより注文情報を受領している場合は、電子取引に該当するため、その情報を電子データとして保存する必要があります。具体的には、電子メール本文に注文情報が記載されている場合はその電子メールを保存、電子メールの添付ファイルによって注文書を受領している場合はその添付ファイルを保存しなければなりません。なおかつ電子帳簿保存法に定める保存要件も満たさなければならないので、単に当該メールを保存するだけでは、「検索性」の要件を満たしていない等の理由で、罰則対象となる可能性もあります。この点は、国税庁が出した電子帳簿保存法一問一答(問4)もご参照下さい。また、電子帳簿保存法の電子取引データの保存要件については、下記のコラムをご覧ください。

電子帳簿保存法におけるEDIの保存要件

 したがってこの場合は、メール内のデータを取り出してタイムスタンプを押すか、事務処理規定を備え付けて、見読性、検索性等の保存要件を満たす外部記憶媒体に保存する対応が必要です。または、別途、紙で注文書を送付してもらい保管するという手段もあります。いずれも手間となるため堅実な方法とはいえないでしょう。

 ③EDIで受領している場合

  いわゆるEDI取引も電子取引に該当するため、電子帳簿保存法の対象となり、データの保存義務が発生します。EDIについては、以下のコラムをご覧ください。

今さら聞けない! EDI とは

 EDIシステム上でデータを保存するとなると、やはり電子帳簿保存法の保存要件を満たさなければなりません。保存期間や検索性、見読性などの保存要件を満たさないEDIシステムで注文データを受けている場合、これまでは紙で出力し書面で保存する代替方法が認められましたが、今回の改正でこの対応が不可となりました。
 そのため、電子メールの場合と同様に、データを取り出し保存要件を満たした上で外部の記憶媒体で保存する運用に変えるか、あるいは別途、紙で注文書を送付してもらうことが必要となります。しかし、取引のたびにそのような作業が発生しては、EDI導入のメリットである業務効率化から逆行してしまうため、やはり保存要件をすべて満たすEDIシステムに置換することが推奨されます。

  

電子帳簿保存法に対応するなら、クラウド型EDIがおすすめ

 今回は、2022年1月より施行される「電子帳簿保存法」の改正に関して、「電子取引の紙出力保存の廃止」について説明してきました。ケーススタディで述べたように、メールやEDIシステムからデータを取り出し、タイムスタンプや事務処理規定を備え付けて外部の記憶媒体で保存する運用は、コストや手間がかかりあまり、現実的とはいえません。かといって、紙での取引に完全移行するのも、ペーパーレス化の流れから逆行することとなり、さらに手間が増える結果となるでしょう。
 そうなるとやはり、電子帳簿保存法の保存要件を全て満たせるようなEDIシステムを導入することが、一番合理的な選択ではないでしょうか。また2020年10月改正で、ユーザーが自由にデータを改変できないシステム(クラウドサービス等)を利用していれば、他の措置を行わず保存できることになりました。そのため、クラウド型のEDIサービスを利用すれば、タイムスタンプや事務処理規定の備え付けは不要となります。電子帳簿保存法の2020年10月改正については下記のコラムをご覧ください。

ペーパーレス化を推進! 2020年の電子帳簿保存法改正

 今回の「電子取引の紙出力保存の廃止」は、これまでの運用を大きく見直さなければならない可能性をはらむものですが、より効率的な取引方法に乗り換える良いタイミングかもしれません。今一度、現在の運用を見直し、電子帳簿保存法の改正に対応していきましょう。

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※本コラムは、2021年8月11日執筆時点の情報をもとにしております。
※あくまで弊社の見解を示したものであり、
 実際の判断は税理士や所轄税務署へご確認ください。
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2022年1月改正の電子帳簿保存法について【オンデマンド配信】でさらに解説しています。
よろしければ、こちらもご覧ください。

DXを推進!2022年1月の電子帳簿保存法改正

 2020年末に閣議決定された「令和3年度税制改正の大綱」によって、2022年から施行される法律の方向性が示されました。その中に「電子帳簿保存法」も含まれていることをご存知でしょうか?
 これまでDX(デジタル・トランスフォーメーション)の潮流の中で、電子帳簿保存法は改正を繰り返してきました。以前のコラムでご紹介しましたが、最近では2020年10月に大きな改正がありました。

ペーパーレス化を推進! 2020年の電子帳簿保存法改正

 ニューノーマル時代の到来でテレワークや在宅勤務の機運が高まっていることを受けて、この度さらに内容が見直される模様です。本コラムでは、2022年1月時点での改正の全体像とポイント、注意点などをご紹介します。

 

改正の全体像とポイント

 今回の改正の全体像は下記の図のように表現されています。電子保存、スキャナ保存、電子取引という各カテゴリーにおいて、システムや手続きなどの要件が大幅に緩和されています。

※出典:経済産業省「令和3年度(2021年度)経済産業関係税制改正について」

①帳簿書類の電子保存

 国税関係帳簿書類の電磁的記録等による保存制度のシステム要件について、下記を満たせば良いことになりました。

イ 電子計算機処理システムの概要書その他一定の書類の備付けを行うこと。
ロ 電子計算機、プログラム、ディスプレイ及びプリンタ並びにこれらの操作説明書等を備え付け、ディスプレイの画面等に、整然とした形式及び明瞭な状態で、速やかに出力することができること。
ハ 国税庁等の当該職員の質問検査権に基づくその国税関係帳簿書類に係る電磁的記録のダウンロードの求めがある場合には、これに応じることとすること。
引用:財務省HP 令和3年度税制改正の大綱(7/9)

 要するに、閲覧用のモニターと説明書の備え付け、そしてデータのダウンロードが可能であれば、電子保存のシステム要件を満たすことができます。また、訂正等履歴要件及び相互関連性要件、並びに検索要件の全てを満たすと、過少申告があったとしても、通常課される過少申告加算税の額から当該申告漏れに係る所得税、法人税又は消費税の5%に相当する金額が減免されます。加えて、手続き面でも大きな要件緩和があります。それは税務署による事前承認が廃止されるということです。今まで電子データ保存が普及しない要因のひとつに、税務署による承認がありました。税務署の承認には3ヶ月かかるとされており、それだけ申請内容の項目が多く、膨大な手間と時間が掛かるからです。2020年3月時点で承認件数が約27万件に留まっていることからも、税務署の承認が大きなハードルである現状がわかります。今回の改正で事前承認が廃止されることは、電子保存が普及する追い風となります。

②スキャナ保存

 スキャナ保存は今回の改正の目玉でもあり、他のカテゴリーより多くの要件が緩和されます。
 まず、帳簿書類の電子保存と同様に税務署による承認制度が廃止されます。2020年3月時点の承認件数が約4000件なので、スキャナ保存の利用企業は帳簿書類の電子保存と比べてはるかに少ない状況です。したがって、今回の承認制度廃止がよりプラスに働くでしょう。
 次に、タイムスタンプ付与の要件も緩和されます。現行の電子帳簿保存法では、受領後3日以内という厳しい日数制限がありました。しかし今回の改正で、最長約2ヶ月以内にまで緩和されます。加えて、スキャナ読取の際の受領者の自署が不要になったり、クラウド保存も可能になったりと、かなり要件が緩和されます。
 そして、適正事務処理要件の廃止も注目されています。現行の電子帳簿保存法では、定期検査までの原本の保存や担当者2名以上での対応など、かなり厳しい内部統制が求められていました。今回の改正でその適正事務処理要件が廃止されたので、スキャナ後すぐに原本の廃棄が可能になり、担当者1名での対応が認められます。
 最後に、検索要件の緩和です。現行の電子帳簿保存法では、日付や金額の範囲指定や2つ以上の項目を組み合わせた検索条件の設定など、厳しい要件がありました。今回の改正により検索要件が年月日、金額、取引先という基本的な項目のみになったことで、非常に簡素になりました。
 このようにスキャナ保存は特に多くの要件が緩和されるため、今後の普及が期待できるのではないでしょうか。

③電子取引のデータ保存

 電子取引についても、改正の例外ではありません。電子取引は従来から税務署による事前承認は不要など、他のカテゴリーより要件が緩かったのですが、今回の改正でさらにタイムスタンプ要件と検索要件の緩和が実施されます。スキャナ保存と同様、タイムスタンプの付与期間が、3日から最長約2ヶ月以内に変更、検索要件についても、年月日、金額、取引先という基本的な項目を満たせば要件クリアとなります。加えて、判定期間における売上高が1,000万円以下である保存義務者にあっては、検索要件の全てを不要とするなど、かなり緩和されているといえます。
 2020年10月改正で、保存措置においてクラウドサービスの利用や送信者側のタイムスタンプが認められるなど、電子取引は大きな後押しを受けています。今回の改正でますます電子取引で電子帳簿保存法の要件を満たすことが容易になるといえるでしょう。

 

不正行為に対するペナルティには注意が必要

 上記で述べたように、今回の改正で従来と比べてはるかに電子保存がしやすくなりました。ただし、要件が大幅に緩和される代わりに、罰則規定が追加されたことも同時に理解する必要があります。「令和3年度税制改正の大綱」には下記の記載があります。

スキャナ保存が行われた国税関係書類の保存義務者又は申告所得税、法人税及び消費税における電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存義務者のその電磁的記録に記録された事項に関し、隠蔽し、又は仮装された事実に基づき期限後申告若しくは修正申告又は更正若しくは決定等があった場合には、その記録された事項に関し生じた申告漏れ等に課される重加算税の額については、通常課される重加算税の額に当該申告漏れ等に係る本税の10%に相当する金額を加算した金額とする。
引用:財務省HP 令和3年度税制改正の大綱(7/9)

 つまり、スキャナ保存や電子取引において改ざん等の不正があった場合は、重加算税が増額されます。現行の電子帳簿保存法では、上記のような罰則は明文化されていませんでした。今回の改正で電子帳簿保存法の要件を満たしやすくなった半面、違反には厳しい規定が設定されているので、くれぐれも注意が必要です。

 

電子化へさらなる追い風となるか

 本コラムでは、2022年1月の電子帳簿保存法の改正について解説しました。電子帳簿保存法は時代によって改正が繰り返されてきましたが、なかなか普及していない、認知されていないのが現実です。今回の改正で、帳簿書類の電子保存やスキャナ保存、電子取引で要件が大幅に緩和されるのは、今後の広がりの追い風になるでしょう。
 新型コロナウイルスの流行で私たちの生活は一変しています。テレワークや在宅勤務といった多様な働き方が求められる中で、会社に出社しなければ業務が回らない、日本特有の紙文化・判子文化が弊害となっています。それらの弊害を解消するためには、電子化、ペーパレス化は不可欠です。今、このタイミングで電子帳簿保存法を理解し、電子保存に取り組んでみてはいかがでしょうか。

※本コラムは、2021年5月12日執筆時点の情報をもとにしております。
※あくまで弊社の見解を示したものであり、実際の判断は税理士や所轄税務署へご確認ください。

2022年1月改正の電子帳簿保存法について【オンデマンド配信】でさらに解説しています。
よろしければ、こちらもご覧ください。

ペーパーレス化を推進! 2020年の電子帳簿保存法改正

 2019年末に発表された2020年の税制改正大綱によって、さまざまな法律が改正されますが、2020年10月に「電子帳簿保存法」も改正されることをご存知でしょうか?
withコロナ時代を迎え、テレワークや在宅勤務といった多様な働き方が求められる中で、会社に出社しなければ業務が回らない、日本特有の紙文化・判子文化が弊害となっています。それらの弊害を解消するためには電子化(ペーパーレス化)が不可欠ですが、注文書や請求書といった税務申告に必要な伝票類の電子化には、電子帳簿保存法が大きく関係します。今回は2020年10月から施行される電子帳簿保存法改正の内容と、改正によってどのように電子化が推進されるかご紹介します。

 

保存要件の大幅な緩和

 電子帳簿保存法がどういった法律か、電子帳簿保存における電子取引の位置づけや保存要件については、以下のコラムをご覧ください。

電子帳簿保存法におけるEDI(電子商取引)の位置付け

 改正前の電子帳簿保存法で認められている保存処置は、次のいずれかと定められています。

①電子保存する企業(受取側)がタイムスタンプを付与する方法
②改ざん防止等のための事務処理規定を作成して運用する方法

 
 この保存処置が今回の改正によって緩和されることになります。
改正内容は以下の通りです。

国税関係帳簿書類の保存義務者が電子取引(取引情報の授受を電磁的方式により行う取引をいう。)を行った場合の電磁的記録の保存方法の範囲に、次の方法を加える。
(1)発行者のタイムスタンプが付された電磁的記録を受領した場合において、その電磁的記録を保存する方法
(2)電磁的記録について訂正又は削除を行った事実及び内容を確認することができるシステム(訂正又は削除を行うことができないシステムを含む。)において、その電磁的記録の授受及び保存を行う方法
引用:財務省HP 令和2年度税制改正の大綱(6/9)

 
 要約すると、従来の保存処置に加えて次の対応のいずれかも認められることになります。

①発行者側でタイムスタンプを付与していれば、受取側はタイムスタンプを付与せず
保存できる

②ユーザが自由にデータを改変できないシステム(クラウドサービス等)を利用して
いれば、他の処置を行わず保存できる

 受領者側で自由にデータを改編ができないことを担保できれば、国税関係書類が適切に保存されているものとして取り扱うことが可能になるということです。

タイムスタンプによる保存処置の場合、コスト面の負担が低減

 改正前の電子帳簿保存法では、保存処置としてタイムスタンプを付与する方法を採る場合、認定タイムスタンプ提供事業者が提供するタイムスタンプを付与する必要があります。したがって、受取側はベンダーが提供する認定タイムスタンプサービスを利用しなければなりませんでした。多くの場合、同サービスは有償となりますので、電子化を推進するハードルの一つとなっています。しかし、今回の改正によって発行者側がタイムスタンプを付与していれば、受領側は不要となり、コスト面において負担が軽減されます。

企業間取引の電子化にはクラウドサービスの利用が最適

 改正前の電子帳簿保存法では、データの保存場所にクラウドサービスを利用することはすでに認められていましたが、保存処置としては、タイムスタンプの付与又は改ざん防止等のための事務処理規定の運用が求められていました。
『電子帳簿保存法Q&A(電子計算機を使用して作成する帳簿書類及び電子取引関係)問19』

 今回の改正によって、利用者がデータの直接的な書き換えができないクラウドサービスを利用する場合も、新たな保存処置が認められることになります。

 つまり、クラウドサービスが要件を満たしていれば、タイムスタンプや事務処理規程の備え付けすら不要で電子帳簿保存法に対応できることになります。

 さらに、電子取引にあたる受発注・出荷、請求などの取引データを企業間でやり取りするEDI(電子データ交換)サービスは、税務署への申請・承認も不要なため、企業間取引に関わる伝票の電子化がますます加速するものと考えられます。
また、在宅勤務やテレワークを阻む要因のひとつとして、取引伝票の捺印、郵送作業、FAXといった紙文化・判子文化が問題視されていますが、クラウドサービスによる電子化が進めば、働き方改革推進にもつながります。

紙を無くそう!コロナでの在宅勤務・テレワークはEDIで!


 

来るインボイス制度の対策にも電子化は重要

 2023年10月からインボイス制度が施行されると、請求書や納品書等の受領者だけでなく、発行者側も控えの保存が義務付けられます。また、適格請求書発行事業者登録制度にしたがって、課税事業者と免税事業者を仕分けして消費税処理を行うことになるため、企業の帳簿管理は複雑化し、負担が大きくなると予想されます。
インボイス制度の影響について、詳しくはこちらのコラムをご覧ください。

インボイス制度導入による影響

 そういった負担を軽減するためにも電子化が必要なのは間違いありません。インボイス制度の発表を契機に、電子化に取り組む企業は増えてきましたが、電子帳簿保存法に基づく保存をどのように行うかで壁にぶつかった企業が多くあるのではないでしょうか。
今回の改正によって電子保存のハードルが下がりますので、インボイス制度に向けた準備も進めやすくなったといえます。

 電子帳簿保存法は、2018年にはスマートフォンによる撮影データでの保存も認められるなど、IT技術の発展と共に時代に適した改正が実施されてきました。
今回の改正についても、国としては働き方が多様化する中で、ペーパーレス化の推進を図り、企業の納税手続きをさらに簡略化したい背景があります。
データドリブン社会を目指して国の法整備が進んでいますので、今回の改正を機にペーパーレス化に取り組んでみてはいかがでしょうか。

※本コラムは、2020年6月26日執筆時点の情報をもとにしております。
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電子帳簿保存法におけるEDIの保存要件

前回のコラム「電子帳簿保存法におけるEDIの位置付け」では 電子帳簿保存法 でEDIがどのように位置付けられているかをご紹介しました。今回は電子帳簿保存法におけるEDI取引情報の保存要件について解説します。

前回のコラムはこちら

電子帳簿保存法におけるEDI(電子商取引)の位置付け

保存すべきEDI取引情報

まず、電子帳簿保存法で保存すべきEDI取引情報とはどういったものでしょうか。取扱通達第4章で、具体的に規定されています。

取扱通達 第4章(電磁的記録等により保存すべき取引情報)
10-1 法第10条((電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存))の規定の適用に当たっては、次の点に留意する。
(1) 電子取引の取引情報に係る電磁的記録は、ディスプレイの画面及び書面に、整然とした形式及び明りょうな状態で出力されることを要するのであるから、暗号化されたものではなく、受信情報にあってはトランスレータによる変換後、送信情報にあっては変換前のもの等により保存することを要する。
(2) 取引情報の授受の過程で発生する訂正又は加除の情報を個々に保存することなく、確定情報のみを保存することとしている場合には、これを認める。
(3) 取引情報に係る電磁的記録は、あらかじめ授受されている単価等のマスター情報を含んで出力されることを要する。
(4) 見積りから決済までの取引情報を、取引先、商品単位で一連のものに組み替える、又はそれらの取引情報の重複を排除するなど、合理的な方法により編集(取引情報の内容を変更することを除く。)をしたものを保存することとしている場合には、これを認める。
(注) いわゆるEDI取引において、電磁的記録により保存すべき取引情報は、一般に「メッセージ」と称される見積書、注文書、納品書及び支払通知書等の書類に相当する単位ごとに、一般に「データ項目」と称される注文番号、注文年月日、注文総額、品名、数量、単価及び金額等の各書類の記載項目に相当する項目となることに留意する。

上記条文を噛み砕くと次のような要件を満たせば良いことになります。

  1. 暗号化された情報ではなく、人間が視認できる情報であること
  2. 注文変更などのやり取りがあっても、最終確定した情報のみ保存することが認められる
  3. 個々の注文情報などの送受信に単価を含めず、予め送受信したマスター情報利用している場合は、当該情報も含めて保存出力できること
  4. 見積りから決済までのデータを、取引先ごと、商品ごとなど合理的な方法により編集された情報でも良い
  5. 注文書や納品書などの書類に記載される情報(注文番号、注文年月日、品名、数量、単価など)が、データ項目として保存されること

施行規則第8条による保存要件の規定

EDI取引情報に求められる保存要件は、施行規則第8条 第1項で規定されています。

施行規則第8条 第1項
法第十条に規定する保存義務者は、電子取引を行った場合には、次項又は第三項に定めるところにより同条ただし書の書面又は電子計算機出力マイクロフィルムを保存する場合を除き、当該電子取引の取引情報(法第二条第六号に規定する取引情報をいう。)に係る電磁的記録を、当該取引情報の受領が書面により行われたとした場合又は当該取引情報の送付が書面により行われその写しが作成されたとした場合に、国税に関する法律の規定により、当該書面を保存すべきこととなる場所に、当該書面を保存すべきこととなる期間、次の各号に掲げるいずれかの措置を行い、第三条第一項第四号並びに同条第五項第七号において準用する同条第一項第三号(同号イに係る部分に限る。)及び第五号に掲げる要件に従って保存しなければならない。
一 当該取引情報の授受後遅滞なく、当該電磁的記録の記録事項にタイムスタンプを付すとともに、当該電磁的記録の保存を行う者又はその者を直接監督する者に関する情報を確認することができるようにしておくこと。
二 当該電磁的記録の記録事項について正当な理由がない訂正及び削除の防止に関する事務処理の規程を定め、当該規程に沿った運用を行い、当該電磁的記録の保存に併せて当該規程の備付けを行うこと。

上記施行規則からそれぞれ具体的な要件をみていきます。

 保存場所

「当該書面を保存すべきこととなる場所」とは、EDI取引データにあたる国税関係帳簿書類が書面でやり取りされた場合に保存する場所(事務所または納税地)となります。
なお、後述する検索性の確保・見読性の確保などの要件を満たしていれば、EDI取引データが保存されているサーバ等は保存すべきこととなる場所に設置しなくても、ディスプレイやプリンタで出力できれば良いとされています。また、EDI取引データが保存されているサーバ等は、たとえ海外に設置されていても問題ありません。『電子帳簿保存法Q&A(電子計算機を使用して作成する帳簿書類及び電子取引関係)問19』。これは近年、AWS(Amazon Web Service)やさくらのクラウドなどのクラウドサービスの普及によりデータ保管場所が国内事業所に限らないケースが増えているためと考えられます。

 保存期間

「当該書面を保存すべきこととなる期間」とは、国税に関する法律の規定に則り、法人事業者の場合は7年間となります。
※ 欠損金の生ずる事業年度においては10年間

 可視性の確保

1.見読性の確保

従うべき要件として挙げている「施行規則 第三条第一項第四号」では、見読性の確保要件として、次のとおり規定しています。

施行規則 第3条第1項第4号
当該国税関係帳簿に係る電磁的記録の備付け及び保存をする場所に当該電磁的記録の電子計算機処理の用に供することができる電子計算機、プログラム、ディスプレイ及びプリンタ並びにこれらの操作説明書を備え付け、当該電磁的記録をディスプレイの画面及び書面に、整然とした形式及び明瞭な状態で、速やかに出力することができるようにしておくこと。

要は、ディスプレイからすぐに取引データが参照出来る状態になっていること、それらの操作方法が分かる操作説明書を備え付けることで良いということです。なお、操作説明書についてはクラウドサービスなどを利用している場合、オンラインマニュアルやオンラインヘルプでも良いとされています。『電子帳簿保存法Q&A(電子計算機を使用して作成する帳簿書類及び電子取引関係)問16』

2.検索性の確保

従うべき要件として挙げている「施行規則 第三条第一項第五号」では、検索性の確保要件として、次のとおり規定しています。

施行規則第3条第1項第5号
当該国税関係帳簿に係る電磁的記録の記録事項の検索をすることができる機能(次に掲げる要件を満たすものに限る。)を確保しておくこと。
イ 取引年月日、勘定科目、取引金額その他の国税関係帳簿の種類に応じた主要な記録項目(以下この号において「記録項目」という。)を検索の条件として設定することができること。
ロ 日付又は金額に係る記録項目については、その範囲を指定して条件を設定することができること。
ハ 二以上の任意の記録項目を組み合わせて条件を設定することができること。

つまり、取引に関わる主要項目が検索できること、取引日付、金額の項目は範囲を指定して検索できること、2つ以上の項目を組み合わせて検索できることが満たせれば良いということになります。

 真実性の確保

1.関係書類の備え付け

従うべき要件として挙げている「第三条第一項第三号(同号イに係る部分に限る。)」では、次のとおり規定しています。

施行規則第3条第1項第3号 イ
当該国税関係帳簿に係る電子計算機処理システムの概要を記載した書類

要は、利用するEDIシステムの概要が分かる資料があれば良いということになります。

2.保存処置

行なうべき保存処置として、EDI取引情報にタイムスタンプを付与する、もしくは、正当な理由がない訂正および削除の防止に関する事務処理規定の整備及び運用のいずれかの処置を取るように規定しています。
タイムスタンプについては、電子帳簿保存法のスキャナ保存に関わる要件と同様、認定事業者(※1)が発行するタイムスタンプでなければなりません。
※1.タイムビジネス認定センター:認定事業者一覧(時刻認証業務認定事業者)

訂正・削除に関する事務処理規程の整備については、取扱通達10-2(参考6)に詳細が記載されています。

取扱通達10-2(訂正及び削除の防止に関する事務処理の規程)
10-2 規則第8条第1項第2号((電子取引の取引情報に係る電磁的記録の訂正削除の防止))に規定する「正当な理由がない訂正及び削除の防止に関する事務処理の規程」とは、例えば、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に定める内容を含む規程がこれに該当する。
(1)自らの規程のみによって防止する場合
1 データの訂正削除を原則禁止
2 業務処理上の都合により、データを訂正又は削除する場合(例えば、取引相手方からの依頼により、入力漏れとなった取引年月日を追記する等)の事務処理手続(訂正削除日、訂正削除理由、訂正削除内容、処理担当者の氏名の記録及び保存)
3 データ管理責任者及び処理責任者の明確化
(2)取引相手との契約によって防止する場合
1 取引相手とデータ訂正等の防止に関する条項を含む契約を行うこと。
2 事前に上記契約を行うこと。
3 電子取引の種類を問わないこと。

上記のことから、EDI取引情報を自社の社員が勝手に訂正・削除しないように社内規程を定めるか、取引先が勝手に訂正・削除しないように取引先間で契約を締結するかの、何れかの方法を採ることになります。

2020年10月より電子帳簿保存法が改正され電子取引の保存処置が緩和されます。
改正内容について、詳しくはこちらのコラムをご参照ください。

ペーパーレス化を推進! 2020年の電子帳簿保存法改正

電子帳簿保存法におけるEDIの考え方はまだまだ認知されていないと思われます。電子帳簿保存法の適用は今回ご紹介したとおりハードルが高いものではありませんので、EDIを利用するならペーパーレスの実現を推進すべきでしょう。
2019年10月から消費税増税と合わせて、軽減税率制度、インボイス方式(経過処置として区分記載請求書等保存方式)が施行されますが、
インボイス方式で増加する事務作業増加への対応にもEDIは効果的です。

迫るインボイス制度!今こそペーパーレス取引(EDI)にチャレンジ

※本コラムは、2018年2月13日執筆時点の情報をもとにしております。
※本コラムはあくまで弊社の見解を示したものであり、実際の判断は税理士や所轄税務署へご確認ください。

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電子帳簿保存法におけるEDI(電子商取引)の位置付け

EDIを利用する企業の目的の一つにペーパーレスの実現を掲げている会社も多いのではないかと思います。ペーパーレス化を実現すればBCP対策にも繋がります。

何かあってからでは遅い!製造業におけるBCPの重要性とIT活用


しかし、注文書や請求書といった国税関係帳簿書類の電子化にあたっては、電子帳簿保存法に対応する必要があります。
今回のコラムではその電子帳簿保存法がEDIをどのように位置付けているか解説します。

 

電子帳簿保存法とは?

 電子帳簿保存法とは、従来、紙での保存を義務付けられていた国税関係帳簿書類を一定の要件のもとで電子データでの保存を認める法律です。
国税関係帳簿書類は大きく次の3つに分類されます。

①国税関係帳簿
 ・・・総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳、売上・仕入帳 など
②国税関係書類(決算関係書類)
 ・・・貸借対照表、損益計算書、棚卸表 など
③国税関係書類(取引関係書類)
 ・・・契約書、請求書、注文書、納品書 など

 電子帳簿保存法は、会計システムやオフィスコンピュータの普及に伴い1998年に施行され、一定の要件を満たし所轄税務署長等の承認を得ることを前提に、システム上で作成された国税関係帳簿書類を電子データで保存することが可能となりました。その後、2005年のe-文書法の施行に伴い電子帳簿保存法が改正され、それまで認められなかった紙文書のスキャナ保存も認められています。IT技術の進歩により、電子的な保存が当たり前になりつつある中、適正公平な課税を確保しつつ、納税者の帳簿書類の保存に係る負担軽減を図りたいわけですね。

 

EDIは電子帳簿保存法の対象になる?

 では、そんな電子帳簿保存法ではEDIをどのように位置付けているのでしょうか。
あまり知られていませんが、e-文書法の制定の際に、追加で下記の電子帳簿保存法第10条が制定されています。

(電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存)
第10条  所得税(源泉徴収に係る所得税を除く。)及び法人税に係る保存義務者は、電子取引を行った場合には、財務省令で定めるところにより、当該電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存しなければならない。ただし、財務省令で定めるところにより、当該電磁的記録を出力することにより作成した書面又は電子計算機出力マイクロフィルムを保存する場合は、この限りでない。

 本条文は、国税関係帳簿書類の電子化において、今まで規定がなかった電子取引によるデータの保存も義務付けるということを意味します。
ここでいう「電子取引」とは、もともと同法第2条6号で「取引情報(取引に関して受領し、又は交付される注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類に通常記載される事項をいう。)の授受を電磁的方式により行う取引をいう。」と規定されていましたが、e-文書法の制定の際に、同条の解釈に関する下記の取扱通達がされました。

(電子取引の範囲)
2-3 法第2条第6号((電子取引の意義))に規定する「電子取引」には、取引情報が電磁的記録の授受によって行われる取引は通信手段を問わずすべて該当するのであるから、例えば、次のような取引も、これに含まれることに留意する。(平17年課総4-5により改正)
(1) いわゆるEDI取引
(2) インターネット等による取引
(3) 電子メールにより取引情報を授受する取引(添付ファイルによる場合を含む。)
(4) インターネット上にサイトを設け、当該サイトを通じて取引情報を授受する取引

 本通達で、より明確にEDIが電子帳簿保存法の対象になることが定義されています。
なお、EDIに限った話ではなく、紙で国税関係帳簿書類を保存しない場合は、メールの添付ファイルや取引先のWebサイトから取引データをダウンロードする場合なども含まれるようです。

 

所轄税務署の承認は必要か?

 よく勘違いされるのが、EDIによりペーパーレス化(電子保存)を行う場合、所轄税務署長の承認が必要かどうかという点です。
 所轄税務署への承認申請はいろいろ手間が掛かるため、ペーパーレス化まで踏み切れない企業が多くありますが、このあたりの見解について、国税庁Q&Aでは次の図で定義されています。
出典:国税庁ホームページ 平成29年7月4日 電子帳簿保存法Q&A(電子計算機を使用して作成する帳簿書類及び電子取引関係)

 上図のとおり、電子取引(EDI)の取引情報は税務署長の承認が不要とされています。
 これは先述の法第10条により、EDIの場合はそもそも取引データの電子保存が義務付けられているため、承認は不要と解釈されるのです。

 

 これらのことから、EDIは電子帳簿保存法において明確に定義されています。また、EDIによるペーパーレス化は所轄税務署の承認を得ずとも取り組めますので、スキャン文書や会計システムなどから作成されたデータの電子保存によるペーパーレス化と比較して始めやすいといえます。
 ただし、電子帳簿保存法を適用するためには一定の保存要件を満たす必要があります。
 各要件の詳細については、下記のコラム(電子帳簿保存法におけるEDIの保存要件)をご覧ください。

電子帳簿保存法におけるEDIの保存要件

※本コラムはあくまで弊社の見解を示したものであり、実際の判断は税理士や所轄税務署へご確認ください。
※本コラムは、2018年1月31日執筆時点の情報をもとにしております。

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製造業が注目すべき2023年ITトレンド 5選!

 2023年も早1カ月が過ぎようとしています。昨年は、インボイス制度や電子帳簿保存法への対応、ウクライナ侵攻によるサプライチェーン危機もあり、DXやITの重要性が再確認された年でした。果たして2023年はどのような年になるのでしょうか。製造業においては、継続してDXやIT活用が拡大していくことは間違いないでしょう。今回は、勢いを増すIT潮流を生き抜くために、今年注目すべき ITトレンド を先取りして予想していきたいと思います。

 

セキュリティサービスの導入促進

 直近の法対応やテレワークの推進によって、社内業務や企業間取引のデジタル化が進められています。そのため、様々な情報が電子的に授受され、保存されるようになりましたが、同時に脅威やリスクにさらされる機会も増えました。ハッキングやウイルスによる情報の盗難や改ざんといった被害が数多く発生しており、セキュリティの重要性が社会全体で認知されるようになっています。最近でも、メールで機密情報をやり取りする際のPPAP問題と呼ばれるようなリスクが指摘されており、企業における情報の取り扱いやセキュリティへの配慮が一層求められる時代となりました。企業としては、脅威やリスクによる被害を防ぐために、社内のITツールやネットワークのセキュリティを向上していかなければなりません。

PPAP問題が電帳法改正で悪化!?解決策はEDIにあり


 こういった状況を受けて、情報資産を守るためにセキュリティサービスを導入する企業が急速に増加しています。情報セキュリティにおいて重要となるのは、情報の3要素「機密性」「完全性」「可用性」を維持することで、これらを維持するためのサービスが数々生まれています。安全に機密情報を共有できるファイル共有サービスや、パスワードを安全に保管するパスワード管理ツールなどがその例です。
 また、特に脅威から情報資産を守る対策として、サイバーセキュリティサービスの導入も進んでいます。サイバーセキュリティ対策と一口にいってもその方法は様々です。対策箇所としては、入口・エンドポイント・内部・出口の4種類に分けられます。入口対策とは、攻撃の初期段階で内部への侵入を防ぐ対策で、従来のファイアウォールがその代表例です。今までのサイバー攻撃対策は、ほとんどが入口対策でしたが、近年の脅威の多様化によって他の対策も必要になっています。サーバーやパソコンなどの機器に対して行うエンドポイント対策や、入口対策をすり抜けた攻撃に侵入の拡大防止や監視強化などを行う内部対策、攻撃の外部への通信を遮断し監視を強化する出口対策が必要であり、各範囲によって様々な対策ツールやサービスが提供されています。
 
 サイバーセキュリティ対策は、脅威による被害の最小化や取引先からの信頼性担保に繋がるため、大手企業と取引する中小企業も無関係でいられません。今年は今一度、自社のセキュリティを見直し、適切なセキュリティツールを導入していくことが求められます。

 

HRTech

 これまで、企業間取引や社内の基幹業務はシステム化や電子化が着々と進められてきましたが、人事業務においてはアナログな方法が主流でした。社員情報が一人ひとり紙でファイリング管理されて、採用において紙の履歴書等を担当者が目で確認するのが普通で、面接も対面が基本でした。その他、求人や勤怠管理、人事評価など、幅が広い業務にも関わらず、アナログ中心で取り扱う情報量も多いため、業務効率の観点から課題を抱えていました。
 
 このような人事領域の電子化・効率化を実現するため、最近ではHRTechを導入する企業が増えています。HRTechとは、人事・人材(Human Resources)とテクノロジー(Technology)を合わせた造語で、人材採用や人材育成などの人事業務をデジタル化するツールです。採用時の情報を一元管理する採用管理システムや、社内の人材を一元管理する人材管理システム、社員の労働状況を管理する労務管理システムなど、広範囲でシステム化が進んでいます。これらのHRtechを導入することで、適正な人事評価が可能になったり、自社に足りない人材が明確にできたり、あるいはプロジェクトを進めていく中で自社内の適格な人材は誰かがすぐ分かるようになるなど、人事・人材管理の大きな効率化が見込めるでしょう。
 人材は、人”財”として企業が抱える立派な財産です。人材を効率的かつ適正に管理していくことも企業競争を生き抜くには必要な要素になるので、HRTechの導入を検討してみてはいかがでしょうか?

 

凄まじい勢いで発展するAI技術

 自然言語の自動翻訳や、自動車の自動運転、スマートフォンに搭載されているバーチャルアシスタントなど、AIも今や当たり前の技術として我々の生活を支えています。現在もAI技術は急速に進歩を続けており、近い将来AIが人間を超える、いわゆるシンギュラリティ(技術的特異点)も現実味を帯び、AIが人の仕事を奪うというようなこともよく言われています。最近では、文章で指示した通りの画像を生成できる画像生成AIを使って制作した絵画が、コンテストで優勝作品に選ばれたことが話題となりました。また、2022年11月にOpenAIが公開したChatGPTは、従来の対話型AIをさらに発展させ、人間を相手にやりとりしているような自然な会話が可能な自然言語処理モデルとして大いに注目を集めています。
 
 このようなAI技術の浸透は、すでにBtoBの世界でもマーケティングや製品の品質検査、製造過程の異常検知、予知保全など、一部の分野で進んでいますが、2023年はAI技術の発展により企業の利用に耐えうるAIサービスがさらに多く登場してくるでしょう。例えば、AIが人材採用を行ったり、契約書内容を確認して契約締結まで進めたり、自社にとって最適な取引先をマッチングしたりと、AI活用の可能性は無限大といえます。
 AIの発展に伴って、人が担うべき仕事はなにか、人にしかできないことはなにかということも今一度考え直すべきタイミングなのかもしれません。しかし、AI技術の発展で業務効率化がなされていくことは間違いないので、AI技術には常にアンテナを張って情報収集すべきです。

 

いよいよ始まるインボイス制度

 インボイス制度の施行がいよいよ今年10月に迫っています。インボイス制度対応に向けて、昨年から社内システムの見直しや、電子契約、電子取引の導入を進めている企業は多いと思いますが、今年に入ってもまだ未対応の企業も少なくないようです。最近の動向をみると、昨年11月に小規模事業者向けの大幅な緩和処置を設ける方針が固められるなど、企業の対応状況によっては、施行までに何らかの制度見直しが行われる可能性がありますが、インボイス制度自体は今のところ予定通り施行されるようなので、未対応の企業はそろそろ動き出すべきでしょう。

すぐにわかる!インボイス制度の最新動向!


 企業での具体的な対応としては、事業者登録番号の記載や税率ごとの税計算に対応するために、社内の販売管理・会計管理システムの見直し・改修が進められています。また、紙のインボイス管理で発生する手間を削減するために、クラウド請求などの電子契約サービスを活用した「電子インボイス」の導入が促進されており、これを機に紙での請求業務から卒業する企業も増えることでしょう。
 そして2023年以降は、この請求の電子化を種火として、企業間取引全体の電子化が進むと思われます。インボイスは、その上流の取引で発生する受発注や出荷、検収の情報にも密接に関連していることから、「電子取引」サービスによって一連の取引を電子化し、請求業務に限らず取引業務全体の効率化を目指す企業が増えると予想されます。取引の電子化は、現状の運用を大幅に見直す必要があるため短期間でできるものではありません。早めの検討、動き出しをオススメします。

 

電帳法の宥恕措置も今年まで!

 電子帳簿保存法も、電子取引の普及を加速させた要因といえます。電子帳簿保存法とは、国税関係帳簿書類や証憑書類を電子データで保存することを認めた法律のことです。また、電子取引(EDIやEC、メールを利用した取引など)については、取引データの保存義務が定められています。昨年1月1日に施行された改正電子帳簿保存法では、電子取引で発生した取引データの紙保存を認める代替措置が撤廃され、データでの保存が完全義務化されました。特にメール添付で注文書や請求書をやり取りしている企業は、メールサービスだけでは保存要件を満たせないため、取引業務の大幅な見直しが必要となります。詳しくは過去のコラムをご覧ください。

メールで受け取った注文書の紙出力保存がNGに!2022年1月の電子帳簿保存法改正


 企業の対応状況が芳しくなかったため、対応までの宥恕期間が設けられましたが、それも今年一杯が期限ですので、早めの対応が必要です。電子帳簿保存法に対応して取引データを保存できる「電子取引」サービスの利用が今年も加速していくことでしょう。

 

まとめ

 今回は、2023年の注目すべきITトレンドを先取り予想しました。企業が抱える課題を解決する鍵はやはりITやDXであることは、皆様もひしひしと実感しているのではないでしょうか。2023年以降、IT技術が益々進歩して企業でのIT活用やDXも促進されていくことでしょう。このような潮流に無頓着では競争力を高めていくことはできません。今年も常にIT潮流にアンテナを張り、DXを推進して、競争社会の中で他社との差別化を図っていきましょう。

 弊社では、2300社を超える企業が利用し、受発注や見積、検収、支払通知など一連の取引を電子化できるクラウド型EDIサービス「EXtelligence EDIFAS」や、1,700本を超える導入実績がある中堅・中小製造業向けの生産管理システム「Factory-ONE 電脳工場MF」を提供し、企業のDX推進をご支援しています。

2022年のITトレンド振り返り5選

 2022年も残すところ、あとわずかとなりました。皆様にとって2022年はどのような年でしたか?2020年初頭に始まった新型コロナウイルスの流行は早3年が経過しようとしており、単なる「新型コロナウイルスへの畏怖」から「新型コロナウイルスとどう付き合っていくか」という世相に変わってきたように思います。まさに、「ウィズコロナ時代」に突入したのがこの2022年だったのではないでしょうか?世界情勢をみると、半導体をはじめとした部素材不足、そしてロシアのウクライナ侵攻によって物流が滞り、物価が高騰するなど、私たちの生活にも大きな影響を及ぼしました。一方、カタールではサッカーワールドカップが開催され、国を背負った代表同士の熱戦に世界中が感動したことでしょう。
 振り返ると様々なビッグイベントがあった2022年でしたが、もちろんIT業界も例外ではありません。今年も恒例の「ITトレンド 振り返り」を行い、昨今のIT潮流に置いて行かれないように、話題となったITトレンドを整理していきましょう。

 

迫るインボイス制度施行に電子契約、電子取引が加速

 インボイス制度の施行がいよいよ来年10月に迫っています。最近の動向をみると、11月30日に政府・与党が小規模事業者向けの大幅な緩和処置を設ける方針を固めました。このように、企業の対応状況によっては施行までに何らかの制度見直しが行われる可能性がありますが、インボイス制度自体は今のところ予定通り施行されるようです。インボイス制度の詳細は過去のコラムもご参照ください。

すぐにわかる!インボイス制度の最新動向!


 2022年はこのインボイス制度対応に向け、社内システムの見直しや、電子契約、電子取引の導入が一層加速した年でした。まず、インボイス制度では事業者登録番号の記載や税率ごとの税計算が必要になるので、社内の販売管理・会計管理システムの見直し・改修が各企業で行われています。加えて、紙のインボイス管理で発生する手間を削減するために、クラウド請求などの電子契約サービスを活用した「電子インボイス」を導入する企業も少なくありません。
 さらに、インボイス情報はその上流の取引で発生する受発注や出荷、検収の情報にも密接に関連していることから、「電子取引」サービスによって一連の取引を電子化し、請求業務に限らず、取引業務全体の効率化を目指す企業が増えています。
 このように、インボイス制度を契機として、請求業務の電子化、ひいては取引業務全体の電子化が急速に進みました。

 

電帳法対応に向けた電子化ソリューションの浸透

 電子帳簿保存法も、電子取引の普及を加速させた要因といえます。電子帳簿保存法とは、国税関係帳簿書類や証憑書類を電子データで保存することを認めた法律のことです。電子取引(EDIやEC、メールを利用した取引など)についても、取引データの保存義務が定められており、今年初めに施行された改正電子帳簿保存法では、電子取引で発生した取引データの紙保存を認める代替措置が撤廃され、データでの保存が完全義務化されました。特にメール添付で注文書や請求書をやり取りしている企業は、メールサービスだけでは保存要件を満たせないため、取引業務の大幅な見直しが必要となります。詳しくは過去のコラムをご覧ください。

メールで受け取った注文書の紙出力保存がNGに!2022年1月の電子帳簿保存法改正


 対応までの宥恕期間が設けられているものの、2023年末が期限なので早めに対応を進める必要があります。このような背景から、電子帳簿保存法に対応して取引データを保存できる「電子取引」サービスの利用が加速しているのです。

 

サプライチェーンリスクに対するBCP対策、セキュリティ対策

 冒頭でも述べた通り、今年はロシアのウクライナ侵攻を契機に物流が停滞し、世界規模でサプライチェーンに甚大な被害を与えました。ウクライナ侵攻によるサプライチェーンリスクについては、過去のコラムもご参照ください。

高まるサプライチェーンリスク!その対応策は?


 部素材については、特に半導体が深刻な供給不足に陥っています。半導体は、PCやスマートフォン、デジタル家電、データの通信技術など、私たちの生活に欠かせない電子機器に広く使われています。多様な分野でデジタル化が推進されていることも相まって、需要がますます増加していますが、韓国やアメリカなどに生産拠点が偏っており、グローバルサプライチェーンに頼っている素材でもあります(日本でも自給率は3割程度)。
 2022年以前から新型コロナウイルス感染拡大や米中貿易摩擦の影響などによって、グローバルサプライチェーンが寸断され、半導体の供給不足が顕在化していました。特に製造業への影響は大きく、半導体を使った製品を製造する様々なメーカーが、生産計画通りに製品を製造できない事態に陥りました。『2022年版 ものづくり白書 概要』での調査結果でも、調査対象である製造業の約半数(49.3%)が、事業に影響を及ぼす社会情勢変化として「半導体不足」を挙げており、実際に多くの企業が影響を受けていることが見て取れます(下図参照)。

出展:経済産業省 厚生労働省 文部科学省『2022年版 ものづくり白書 概要

 このように、グローバルサプライチェーンに頼りすぎると世界情勢などの様々な要因に影響を受けやすいため、自社のサプライチェーンを見直す企業が増えています。グローバルサプライチェーンから完全脱却を目指す風潮も生まれており、それに伴って国内サプライチェーンの強靭化も求められています。
 サプライチェーンの強靭化には、サプライチェーン間でのデータ連携を促進し、迅速な状況把握や柔軟な情報伝達が必要になることから、電子取引などのデータ連携が進む一方、サプライチェーン全体のサイバーセキュリティの課題が浮き彫りになっています。サプライチェーン内で、取引情報や在庫情報の共有などを電子的にやりとりするので、業種や規模を問わず不審な通信等の脅威にさらされます。特に中小企業では、PPAP問題など課題が多く、まだまだセキュリティ対策が不十分なのが実情です。
 あらためて自社のサプライチェーンリスクの把握と対策(BCP対策)に取り組み、セキュリティソフトの導入も加速しています。実際、『2022年版 ものづくり白書 概要』のIT動向調査でも、IT投資で解決したい課題として、「セキュリティの強化」や「サプライチェーン見直し・強化」が挙がっており、企業のサプライチェーンやセキュリティへの意識向上が伺えます。

 

リモートワーク推奨?出社推奨?企業は二極化

 2022年はテレワークのため、多くの企業でWEB会議サービスが利用されました。テレワークが当たり前になりつつある一方で、テレワークによる弊害も顕在化しました。代表的な弊害としては、コミュニケーション不足が挙げられます。やはり社内外問わず、コミュニケーション不足によって業務に支障をきたしていると感じている企業も多いようです。最近では比較的テレワークがしやすいIT企業においても、NTTグループがグループ全体の従業員の約半分を原則テレワークとする一方、Twitter社においては、新社長に就任したマスク氏が週40時間は出社勤務するよう通達するなど、テレワークが加速する企業と出社推奨の企業で二極化の様相を呈しています。
 テレワークの良し悪しは議論が分かれるところではありますが、生産性と働きやすさの両立(ハイブリッドワーク)を目指した動きが今後も続くとみられます。ただ、テレワークするにせよ出社するにせよ、もはやデジタルコミュニケーションは不可欠であり、2023年以降もWEB会議サービスやグループウェア、チャットサービスなどのデジタルコミュニケーションのためのサービス利用は増えると思われます。さらには、テレワークに不可欠な紙業務脱却のために、紙伝票の電子化もさらに拡大していくでしょう。

 

着々と進むDXへの取り組み

 各企業の課題として、「2025年の崖」が迫っていることも忘れてはいけません。2025年の崖とは、各企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)の重要性を認知しつつも、既存システムの老朽化やブラックボックス化の問題などを解消できず、2025年以降、1年あたり最大12兆円の経済損失が生じる可能性があると警鐘を鳴らしているものです。レガシーシステム(老朽化したシステム)だけではなく、IT人材の不足やセキュリティリスクの増大、ISDN回線を用いたレガシーEDIが利用できなくなる(EDIの2024年問題)など、様々な問題が集中的に生じるため、かつてない危機が予想されています。この危機を回避するためには、今から段階的にDXへの取り組みを進める必要があり、その一歩目としてレガシーシステムからの脱却が重要となるのです。

「2025年の崖」中小企業への影響と対策


 そんな中、2021年の「Windows11」リリースを契機に、今年はWindows11に対応出来ないレガシーシステムから脱却して、基幹システムの入れ替えに取り組む企業が増えました。また、レガシーEDIを利用している企業もISDN回線廃止を見据えて、インターネット回線を利用したクラウドEDIなどへ急速に移行しています。
 このように、目先の法対応のためだけではなく、2025年の崖と呼ばれる大きな課題の解決に向けて、2022年は各企業で着々とDXへの取り組みが進められました。

 

まとめ

 本格的に「ウィズコロナ時代」に突入した2022年は、ウクライナ侵攻によるサプライチェーン危機も相まって、「いかにビジネスを継続していくのか」、「いかに厳しい競争で生き残っていくか」を考えさせられる年でした。そして同時に、これらの課題を解決する鍵はITやDXであることも実感できる年でした。直近の法対応から始まり、サプライチェーンマネジメントや2025年の崖、社員の就業形態に至るまで、各種課題を解決できる大きなファクターはやはりDXです。2023年以降、企業がますますITを活用し、競争力を高めていくことでしょう。そんな弱肉強食の世界で生き残るには、当然自社の企業価値を高めることが重要になります。常にIT潮流にアンテナを張り、DXを推進して一歩先に進む経営を実現していきたいところです。

 弊社では、2300社を超える企業が利用し、受発注や見積、検収、支払通知など一連の取引を電子化できるクラウド型EDIサービス「EXtelligence EDIFAS」や、1,700本を超える導入実績がある中堅・中小製造業向けの生産管理システム「Factory-ONE 電脳工場MF」を提供し、企業のDX推進をご支援しています。

モノを直送する「渡り外注」の進捗管理はEDIで!現場しか知らない「渡り外注」の問題点とは?

 製造業が自社製品を製造する際、すべてを内製するのではなく、生産ラインの一部を外部の企業へ依頼するケースがあります。専門性の高い外注先に委託すれば、生産性・品質向上を見込むことができ、自社のもつリソースをコア業務へと集中させることができます。また、人材コストや設備コストの削減も可能です。コスト削減と業務効率化によって収益力向上に繋がるため、一部工程を外注先に依頼する製造業は少なくありません。
 ただ、当然ながら、生産計画や得意先の納期に合わせて製品を完成させる必要があるので、外注先の進捗管理は欠かせません。外注先が1社だけであればそれほど手間はかからないかもしれませんが、外注先から次の工程を請け負う外注先へとモノを直送する、いわゆる「渡り外注」がある場合、進捗管理が煩雑になりがちです。今回は、渡り外注における進捗管理について、その課題とEDIを使った解決方法を考えます。

渡り外注とは?

 渡り外注の定義や呼び方は企業によって多少違いがありますが、主には外注先で工程が完了した後、依頼元に納品するのではなく、次の工程を請け負う別の外注先に直送支給することを指します。渡り、外注跨ぎ、連続外注などとも呼ばれています。
 渡り外注は、生産を行う施設を自社で持たない企業、いわゆる「ファブレス企業」に多くみられます。ファブレスは、製品の企画・開発は自社で行い、製造以降の工程を外注先に依頼する製造形態です。工程ごとに各外注先に依頼をかけるわけですが、工程ごとに都度納品してもらっていては、支給・納品を繰り返すことになり非常に手間が増えるため、外注先から次の外注先へ直送支給してもらう渡り外注の形態をとるファブレス企業が多いのです。

渡り外注の課題

 ファブレス企業など多くの工程を外注している企業にとって、渡り外注は効率的な支給形態といえますが、その一方で下記のような課題もあります。

  1. 進捗が分かりづらい
  2.  各外注先から依頼元に都度納品してもらうのであれば、一度モノが返ってくるわけなので進捗は把握しやすいでしょう。一方、渡り外注の場合は、前工程から次工程へ外注先間で直接モノが渡っていくので、依頼元からすると、モノはどこにあるのか、次工程にはどれぐらいで進むのか、次工程の外注先にモノがちゃんと届いたのかなど、都度外注先に確認しなければならないため、進捗が把握しづらいという問題が発生します。

  3. 納品書が届くまでタイムラグが発生
  4.  管理が困難とはいえ、得意先の納期や生産計画を守るうえで進捗管理は重要です。考えられる進捗管理の手段としてはまず電話確認がありますが、どこの外注先にモノがあって、次の外注先にはいつごろ納品できそうかなど、いちいち電話で確認していては効率が悪く、口頭なので情報の精度が低くなります。
     そこで、納品書での進捗管理が考えられます。通常は請け負った工程が完了して次の外注先へ出荷したタイミングで、依頼元に納品書を送付します。依頼元は納品書を受け取ることで、モノが次の外注先へ進んだという進捗が把握できます。ただし、紙の納品書だと郵送のタイムラグが発生するので、リアルタイムで進捗を把握することはできません。

  5. 納品書の納品数と実際の受領数(良品数)が合わない
  6.  また、納品書のみでの進捗管理では、納品書の納品数と実際に次の外注先が受領した受領数(良品数)が合わない場合の対応も難しくなります。前工程の外注先に足りない分の再出荷を迅速に依頼するなどの対応が必要ですが、そもそも受領数(良品数)はいくつで、いくつ足りないかを把握しなければ、再出荷指示なども出せません。
     したがって、前工程の出荷数だけではなく、次工程の受領数も外注先から確認する必要があります。受領数の確認も電話や受領書での確認だと手間やタイムラグが発生し、精度の高い管理ができません。さらに、各外注先と依頼元で受領数(良品数)について認識の差異があると、検収金額と請求金額の違算にもつながります。

渡り外注の進捗管理はEDIで効率化できる

 上記で挙げた通り、渡り外注の進捗管理は、出荷・受領の確認はもちろんのこと、出荷数・受領数の管理も必要なので、紙や電話での確認は非常に手間となります。そこで今回は、EDIを利用した渡り外注の進捗管理をご紹介します。EDI(Electronic Data Interchange)とは、受発注、出荷、請求など企業間取引における各種取引情報を電子データとしてやり取りする仕組みのことです。紙の印刷や封入作業など手間がかかる業務を一掃することができ、今や主要な取引手段の1つとなっています。EDIを活用すれば、出荷情報(出荷数、出荷日、納入日など)や支給実績情報(支給数、支給日、支給着日など)、そして支給受領情報(受領数、受領日、良品・不良品数など)をデータでリアルタイムにやり取りすることが可能です。
 EDIの出荷機能や支給機能を活用した進捗管理は、具体的には下記のような運用が考えられます。

①バイヤーからA社、および以降の加工先に対して注文データを送信する
②A社は受注回答を行う(以降の加工先もすぐに回答ができるなら行う)
③A社は納期に合わせて出荷し、バイヤーに出荷データを送信する
④バイヤーはA社からの出荷データを確認して、B社に対して支給実績データを送信する
⑤A社から物品が届いたらB社が検品して支給受領データをバイヤーに送信する
 バイヤーは支給受領データに基づき検収する
⑥B社は納期に合わせて出荷し、バイヤーに出荷データを送信する
⑦⑧は④⑤と同様の流れ
⑨バイヤーは出荷データに基づいて、または現物確認にて検収する

 上記のような運用によって、バイヤーはモノが「どこに」「いくつ」あるか、予定通り出荷されたのか、予定通り受領されたのかなどをデータとしてリアルタイムで把握していくことが可能です。外注先の観点でも、モノがいつ届くのかをバイヤーからの支給実績データをもって把握でき、モノが足りない場合も迅速にバイヤーへ報告できるなどのメリットがあるので、取引企業双方の効率化が見込めるでしょう。

モノづくり企業に最適なEDI「EXtelligence EDIFAS」

 今回は、渡り外注における進捗管理の課題とEDIを活用した進捗管理についてご説明しました。ただ、一口にEDIといっても受発注機能や出荷機能はあれど支給機能まではないなど、モノづくり企業が必要とする情報種を全てカバーしているEDIはそれほど多くありません。 
 そこで弊社では、モノづくり企業に最適なクラウド型EDIサービス『EXtelligence EDIFAS』をご提供しています。受発注はもちろんのこと、生産計画や見積、出荷、支給、検収など、モノづくり企業が必要とする一連の取引情報をデータでやり取りすることが可能です。また、月額2,000円(税別)から利用でき、使いやすいインターフェースと豊富な設定機能で、誰でも簡単に操作することができます。電子帳簿保存法にも対応し、経済産業省、中小企業庁が推進するEDI規格「中小企業共通EDI」に準拠したサービスです。受発注業務のみならず、外注先の進捗管理も効率化、電子化を図りたい場合は、是非EDIFASをご検討ください。

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EDIの費用対効果について考えよう!

 コロナの影響もありテレワークが当たり前となっている昨今、出社を余儀なくされる紙業務を減らすために EDI 導入を検討する企業も多いでしょう。EDI(Electronic Data Interchange)とは、受発注、出荷、請求など、企業間取引における各種取引情報を電子データとしてやり取りする仕組みのことです。紙の印刷や封入作業など、手間がかかる業務を一掃することができ、今や大手企業を中心に主要な取引手段の一つとなっています。
 しかし、EDIでペーパーレス化を実現できる、業務効率化に繋がると直感的にわかっていたとしても、経営層に対して費用対効果を十分に示すことができなければ、なかなか導入に至らないのも実情です。
 なので今回は、改めてEDIの費用対効果について、購買業務を例に数字で表れる効果と表れない効果の2軸で考えてみようと思います。

購買業務のプロセスを棚卸しよう

 EDIの費用対効果を考えるにあたって、まずはEDIを利用していない場合の一般的な購買業務のプロセスを考えていきます。購買業務のプロセスは、①購入先の選定、②発注、③納期回答の確認/調整、④納入処理に分けることができます。

  1. 購入先の選定
  2. 各取引先に見積作成の依頼、価格の交渉をし、発注先を選定します。依頼は電話、FAXで行われることが一般的ですが、担当者間での情報共有ができておらず、担当者不在の時に対応できない等のトラブルが生じる場合があります。

  3. 発注
  4. 基幹システムから注文書を印刷し、郵送やFAXで取引先に送ります。印刷や封入作業の手間、紙代や封筒代等のコストが発生します。

  5. 納期回答の確認/調整
  6. 取引先からの納期回答を確認し調整を行いますが、紙や電話が一般的なので、管理の手間がかかります。また、言った・言ってない等の認識齟齬も生まれやすくなります。

  7. 納入処理
  8. 取引先からモノが届くと、納品物と品質を確認し、受入と検収の処理を行います。発注内容との照合作業に手間と時間を要します。

購買業務はEDI導入でどのように改善される?

 それでは、EDIを導入すると購買業務をどのように改善できるのでしょうか?従来の紙を用いた発注業務の場合、基幹システムに入力された注文データを紙に印刷し、封入作業を経て郵送やFAXで送信するのが一般的な流れです。また上長の承認を得るために、紙をもって社内を移動する時間も発生するかもしれません。送信後は控えをファイリングして保管することになるので、そのような事務作業も数が増えれば結構な時間と手間がかかるでしょう。
 そこでEDIを利用すれば、基幹システムに入力したデータをそのまま取引先に送ることができます。もちろん紙への印刷や封入作業は不要になり、基幹システムとシームレスに連携すれば、基幹システムからワンクリックでデータを送信できるので、短時間での購買業務が可能となります。
 またコスト面でも、紙代、封筒代、印刷代、切手代、FAX代等の削減に繋がります。短時間で処理できるようになるので、従業員の残業時間が減り、人件費の軽減にも繋がるでしょう。

定量効果をシミュレーションしてみよう

 では実際にどれくらいの定量効果が見込めるか、具体的なケースをシミュレーションしてみます。
 ある会社では従来、郵送による発注業務を行っており、毎月取引先100社に対して1000枚の注文書を紙で発行していました。また、紙への印刷や封入作業で、発注業務に月当たり22時間がかかっていました。また人件費、切手代、封筒代、印刷代、用紙代を合わせると、月当たり約8万円のコストがかかっている状況でした。
 そこでEDIを導入し、ペーパーレス化で紙作業を全て削減したところ、発注業務にかかる時間を月当たり1.3時間に削減することができました。また、切手代や封筒代など、約4万円のコストカットに成功しました。
 このように発注のEDI化だけで、業務時間を93.8%削減、EDIサービスの利用料を含めてもコストを60%削減することができます。発注以外の見積依頼、出荷、仕入検収等の機能も含めてEDI化できれば、さらに業務時間とコストカットを実現できるでしょう。

数字に表れない効果も!

 また、EDI導入による効果は上記のような数字に表れるものだけではありません。下記のような定性的な効果もあります。

  1. 取引先の業務改善
  2. EDIを導入することで、取引先のペーパーレス化、取引情報の管理の省力化など、取引先の業務改善に繋げることができます。結果、取引先との関係を良好にすることができます。

  3. 取引履歴の管理がカンタン
  4. 今まで紙をファイリングして管理をしていたものが、EDIの中で全て管理できます。必要な時に必要な情報をすぐに呼び出すことができるので、今まで掛かっていた管理工数を大幅に削減することが可能です。
    ※ただし、EDI取引における取引データは、電子帳簿保存法が定める要件を満たして保存しなければなりません。電子帳簿保存法が定めるEDI取引のデータ保存要件は過去コラムをご覧ください。

  5. 社内での情報共有
  6. 取引先とのやりとりの履歴は、EDI内に保存されます。従来電話やメールでやりとりしていた場合、そのような履歴は担当者しか認識しておらず、担当者不在の場合に対応することが困難でしたが、EDIでは誰でも履歴を閲覧することができるので、社内の情報の可視化に繋がります。

  7. 人的ミスの軽減
  8. 注文書の宛先間違い、確認漏れ、業務システムへの転記ミスなど、従来の紙業務ではどうしても人手を介するため、人的ミスを避けることができないですが、EDIを利用すれば人手を介さずに業務システムとEDIを連携できるので、人的ミスが発生しにくいメリットがあります。

  9. 取引管理の効率化
  10. サプライヤーとの取引リードタイムが短縮されるので、在庫数が少なくなるのを見極めてから発注でき、過剰な在庫を抱えるリスクを軽減できます。また取引データに製品のロットNo.の情報を付帯することで、トレーサビリティの強化も可能です。

まとめ~費用対効果を出すには導入コストの低減も重要~

 今回はEDI導入による費用対効果を考えました。EDIを導入すれば、コスト削減や工数削減などの定量的な効果だけではなく、取引先の業務改善やデータ活用の効率化など定性的な効果も期待できるでしょう。しかし、いくら導入効果が大きくとも、初期費用やランニングコストが膨らんでしまうと、費用対効果が低減してしまいます。したがって、EDIを導入する場合、導入コストやランニングコストも重要なポイントになります。EDIの導入効果を正しく理解し、機能だけではなくコストパフォーマンスも優れたEDIを選びましょう。
 また、EDIを検討する上では電子帳簿保存法への対応も必ず考慮しなければなりません。電子帳簿保存法では電子取引(EDIや電子契約、メール取引など)における取引データの保存義務が定められており、今年の改正では紙保存での代替措置も廃止になりました(改正についての詳細は過去コラムをご覧ください)。保存要件を満たしながら必ずデータとして保存しなければならないため、電子帳簿保存法に対応してデータが保存できるEDIを選択すべきでしょう。
 
 弊社では、月額2,000円からご利用いただけるクラウド型EDIサービス『EXtelligence EDIFAS』をご提供しています。受発注はもちろんのこと、見積や納期回答、出荷、検収など一連の取引情報をデータでやり取りすることが可能です。また、電子帳簿保存法対応オプションを月額2,000円でご提供しているので、コストをかけず電子帳簿保存法への対応が可能です。EDI導入を考えているお客様は、是非『EXtelligence EDIFAS』を選択肢の一つとしてご検討ください。

EDIFASの詳細はこちらお問い合わせこちら

3分でわかる!EDI選びの5つのポイント!

 コロナ禍によるペーパーレスへの意識向上、電子帳簿保存法の改正による規制緩和によって、従来の紙による取引業務から電子取引(EDI)へ移行する企業が増えています。しかし、EDIを導入するにあたり様々なサービスが乱立し、自社に適したEDIが分からないと頭を抱える方も多いのではないでしょうか。
 EDIと一口にいっても、従来の公衆回線を使用するレガシーEDIやクラウド型のEDIサービス、業界規格に準じたEDI、個別で開発したEDIなど、様々な形態のEDIが存在しています。機能や料金といった誰にでも分かる判断軸だけで評価をすると、導入した後に後悔することにもなり兼ねません。そこで今回は、EDIを比較検討する上で考えてほしいポイントをお伝えします。

 

取引データの種類

 まず注目すべきは、取引できる情報種です。EDIによって、見積、発注、納期回答、出荷など、取引できる情報種が異なる場合があります。自社の取引で必要な情報種を満たしているかどうかの検討はもちろん、情報種ごとにサービス利用料が変わるなど、課金体系にも注目することが必要です。

 

電子帳簿保存法への対応

 電子帳簿保存法に対応しているかどうかも重要な観点です。電子帳簿保存法に対応しないEDIの場合、取引データを別途保存する必要があるので、大変な手間が掛かります。EDI導入で業務効率化をしたと思ったら、従来よりも時間が掛かるというケースもあり得るので、慎重に判断する必要があります。

国税庁「電子帳簿保存法が改正されました」
国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」をもとに株式会社エクス作成

 

セキュリティの担保

 次に、セキュリティ体制の充実も検討するべき内容です。企業間取引のデータには、社外に公開できない機密情報が多く含まれています。そうした機密情報を守るためにも、セキュリティが担保されているかどうかは大切です。

 

スモールスタートの可能性

 スモールスタートができるかどうかも検討しましょう。初めてのEDI導入では、現場の業務運用が大きく変わり、少なからず混乱が発生します。また、思っていた通りの運用ができない、効果が出ないという可能性もあります。そうした可能性を考慮し、最初は小規模な導入をしていくという考えが重要になります。また、小規模導入の場合、導入までのリードタイムが短縮されるというのも良い点でしょう。

 

特定の規格への準拠

 最後は、特定の規格に準拠したEDIかどうかです。現在、日本では業界ごとに規格の標準化が進んでおり、「標準EDI」と呼ばれています。標準EDIを利用すれば、発注側は同一の規格で複数の企業と取引が可能となりますが、「多画面問題」が発生するなど課題も多くあります。そこで、最近では「中小企業共通EDI」という新たな標準規格が注目されています。中小企業共通EDIは国が推奨する規格なので、今後EDIを導入する場合は一度確認すべきでしょう。

 

まとめ

 以上のように、EDI選択のポイントを5つに分けてご紹介しました。機能や価格といった、明確でわかりやすい点を比較するのはもちろんのこと、今回ご紹介した観点まで検討することで、自社に適したEDIを見つけることができるでしょう。
 ITツールの導入は喫緊の課題である一方で、製品/サービスが乱立し、正しい判断がしにくい時代になっています。上記のポイントをご参考に、EDIの導入をご検討ください。

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 今回のコラムでご紹介したEDI選択のポイントを、より詳細にホワイトペーパーで整理いたしました。コラムではご紹介できなかったポイントを含めて、7つの観点でEDI選択のヒントを提示しています。EDIの選択でお悩みの方、今使っているEDIに不満がある方など、今後の参考にぜひご覧ください。