年別アーカイブ 2019

『 RPA 』の適正活用に『 基幹システム 刷新』を

 働き方改革の代名詞になりつつあるRPA(Robotic Process Automation)ですが、適正に活用するためには業務改革が不可欠です。今回は、弊社も提供している業務改革に有効な基幹システムとRPAの関係と、中小企業のRPA利用で陥りやすい問題についてご紹介します。

 

基幹システムの手が届かない範囲にRPA

 中小企業において基幹システムの刷新・導入となると、最近はパッケージと呼ばれる汎用的に利用できる機能が搭載されたシステムを利用することが非常に多くなっています。
 そういったパッケージシステムの導入では、極力パッケージの標準機能に既存の業務プロセスを合わせることが鉄則です。なぜなら、カスタマイズやアドオンを入れればそれだけシステムが複雑になったり、使わない機能が発生したり、保守やバージョンアップの際に掛かるコストが大きくなるからです。
 ただ、どうしても現状業務とパッケージ標準機能のギャップが埋められないケースがよくあります。その場合、一般的にはギャップが発生するそれぞれの業務量から費用対効果を鑑み、カスタマイズやアドオンを実施するか判断することになります。
 しかし、中小企業ではIT投資の予算が限られているため、 下図のように予算の兼ね合いでシステムの改修ができず目を瞑ってきた業務や、システム化検討対象にすら挙がらない小粒な業務がいまだ多くあります。

 
 そういったシステム化できなかった業務こそRPAの適用対象となりますが、RPAは基幹システムと比較すると安価に導入できるとはいえ、それでも中小企業にとっては少なくない投資となります。ですので、小粒な業務をいくつも効率化することで、はじめて投資対効果を発揮できるのです。 

中小企業で盛り上がるRPA~小粒な業務を現場主導で スモールスタート ~

 

業務改革とセットで考えなければブラックボックス化の危険性

 中小企業においては、特定のキーマンに属人化している業務が多数あります。
そういった業務は先述の費用対効果の観点からシステム化の対象外となっており、RPAを利用して改善したいと多くの人が考えるでしょう。ただ、その業務をそのままRPA化するべきか、業務を見直すことで効率化できないか、ということを考えなければなりません。
発注業務の効率化を例に考えてみましょう。

ある会社では外注先への発注の際、担当者が業務システムを立ち上げて発注情報を登録。その後、同仕様の過去の発注情報と比較し、金額に間違いがないか確認します。同仕様かどうかはその担当者しか分かりません。その上で注文書を印刷し承認者に回覧、捺印後に原本を外注先へ郵送しています。

 RPAを利用することで、業務システムを立ち上げ過去の発注情報と比較し、差異がある場合のみ担当者へ通知、差異がなければ印刷といったプロセスを自動化できます。
 しかし、仕様を明文化し、同仕様の発注単価をシステムでマスタ管理して、確認せずとも発注を可能にする運用を検討したり、印刷して承認するのではなく、承認プロセスの再検討やワークフローシステムの利用、EDIの導入によりペーパーレスを図ったりといった抜本的な業務の見直しも考えるべきです。短絡的にRPAだけで全てを解決しようとすると、業務改革の機を逃すと共に、属人化した業務がRPAでブラックボックス化してしまう危険性があるのです。

 

基幹システム刷新を通じてRPAの適正活用を

 業務そのものを見直すことを考えた場合、基幹システムの刷新を通じて業務全体の改善に取り組むのも一つの手です。例えば、部門間をまたぐ業務は非効率であったり属人化しがちで、RPAの適用対象になりやすいでしょう。基幹システムの刷新時には、現状業務を棚卸した上、非効率業務の見直し、分断されている業務の統合などBPR*へ取り組み、企業としての全体最適化を図ることになります。

*BPR(Business Process Re-engineering): 既存の業務内容や業務フロー、組織構造、ビジネスルールを抜本的に再設計(業務改革)すること

 そのため、部門間をまたぐ非効率・属人化した業務も、RPAを利用せずに解消できるかもしれません。基幹システムの刷新を通じて業務全体の改善、清流化・標準化の上、IT投資予算の兼ね合いで効率化できない単純作業をRPAが担うことで、ブラックボックス化を防止し、RPAを適正に有効活用できるのです。ですので、先述のシステムとのギャップを埋める業務の変革が何よりの生産性向上の近道かもしれません。

 RPAは生産性向上に非常に有効であるのは間違いありません。しかし、あくまでツールの一つであり、過信せずに自社が優先すべきことは何かをしっかり考えましょう。
 
 弊社では基幹システムやRPAをはじめ、中小企業の生産性向上に寄与するITツールを多数取り揃えていますので、お気軽にご相談ください。

RPA に備わる人間の能力

 定型的なパソコン業務を自動化してくれるRPA(Robotic Process Automation)は、日本の少子高齢化社会を支える新しい労働力といわれています。そのRPAの特長について、次のように紹介されていることがあります。

  • 365日24時間働き続けることができる
  • ケアレスミスがなく作業スピードが早い
  • 辞めない、休まない、文句を言わない

 人間と比較することで、RPAという新しい労働力の強み・弱みが分かりやすく見えてきます。定型的なパソコン作業を自動化するRPAの主な機能は、大きく分けて以下のような部位の能力に例えることができます。

  1. キーボードやマウスを操作する「手」
  2. 画面から操作対象を見つける「目」
  3. 状態や条件を理解して判断する「脳」

 

RPAの『手』

 作業をするパソコンの性能にも影響されますが、キーボードのタイピングやショートカットキー操作、マウスカーソルの移動、クリックなど、RPAの「手」は既に人間の操作スピードを大幅に上回っています。さらに、ケアレスミスもなく、決められた操作を的確に処理してくれます。

 現在、日本で使われているRPA製品の操作スピードを比較しても、そこまで大きな差は見られないと思います。それは、RPAの性能より、操作するアプリケーションやWebサイト、ネット環境において、処理や読み込みを待っている時間の方が長いということが、一つの要因といえます。RPAの自動化業務スピードを上げるには、レスポンスの早いアプリケーションと5Gのような高速通信環境を準備することが近道かもしれません。

 

RPAの『目』

 ウインドウやボタン、入力フォームなど、操作対象となるUIオブジェクトを見つける「目」は、RPAの基盤となる重要な機能です。現在、ほとんどのRPAでは、表示されている画像を見つける画像認識、アプリケーションやWebページの構造を解析する構造認識の技術が使われています。

 しかし、画像認識では、操作対象となる背景やアイコン、ボタンのデザインが変更されたり、デスクトップの解像度やWebページの拡大率といった環境が異ったりすると、別の画像として認識されてしまいます。
 構造認識でも、アプリケーションのアップデートやWebページの更新により、プログラム構造が変わることで、RPAに再び操作対象を記録させる必要があるなど、人間の「目」に比べて弱いところがあります。

 また、人間の「目」は紙の書類やPDFデータのテキスト内容を読み取ることができますが、それができるRPAは少なく、別のOCR(Optical Character Reader)ソフトと連携することで自動化を実現しています。
 これからは、このようなOCR機能を標準搭載するRPAも増えてくると思います。そして、AIの進化と共に、より人間の「目」に近い認識技術を備えたRPAに発展していくと考えられています。

 OCRが最近脚光を浴びている背景について詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。

再び脚光を浴びるOCRとその背景

 

RPAの『脳』

 定型的なパソコン業務の自動化とはいえ、ある程度はRPAが状況を判断して処理を実行してくれます。その為には、人間が「○○の場合は○○の処理をする」ということを、一つ一つ教えていく必要があります。ルールが複雑になればなるほどRPAの自動化は開発も管理も難しくなるため、人間の「脳」と比べると、状況判断や応用力が足りない弱点といえます。
 
 最近ではそのRPAの弱点を補うために、ビジネスルールを切り離して管理・実行するBRMS(Business Rules Management System)との連携が注目されています。また、理解や分析、分類、予測、推論などは、機械学習・ディープラーニングによってAI技術が急速に進化しています。

 RPAの「脳」にAIが搭載されれば、一部の非定型業務の自動化、さらに意思決定や改善といったホワイトカラーでも高いレベルの業務が自動化できる未来は近いかもしれません。

 

人間のように成長するRPA

 このように、現在のRPAは人間の能力に比べると、できないことや弱いところがたくさんあります。しかし、既にあるOCRやBRMSソフトとの連携、これからのAI技術の進化によって、自動化できる業務の範囲は広くなっていきます。

 
 まだまだRPAに任せることができる業務は限られていますが、新入社員のようにこれから多くのスキルを身に付けて成長し、多くの業務がこなせるようになるのは間違いありません。その新しい労働力を早期に採用し、社員と同様に育てていくことが、企業を成長させる大きな力になるのではないでしょうか。

 

2019年 IT導入補助金の最新情報第3弾!二次公募の最新動向!

 2019年7月17日より「平成30年度補正 サービス等生産性向上IT導入支援事業(IT導入補助金2019)」の二次公募が始まりました。昨年、一昨年と比較しながら、今年度の採択傾向と二次公募の動向を考察します。

 

2019年 IT導入補助金一次公募の採択結果

 今年度の一次公募の結果を分析し、今年の傾向を確認しましょう。今年の補助金申請では補助上限額150万円未満のA類型と補助上限額450万円のB類型に分かれています。詳細はコラム『2019年 IT導入補助金の最新情報 第2弾!新たな仕組みが導入されます』をご覧ください。

 各類型の交付決定事業者数は下記の通りです。
A類型:3756者 B類型:442者
一次公募の累計では4198者が採択されていることが分かります。
出典:サービス等生産性向上IT導入支援事業事務局ポータルサイト
   <一次公募 A類型 交付決定事業者一覧> <一次公募 B類型 交付決定事業者一覧

 A類型とB類型の比率は、約9:1の割合で採択されているのが分かります。ベンダーのITツール登録段階で、1つのITツールでB類型への申請は難易度が高く、補助申請者は複数のシステムを組み合わせて申請する必要があるため、B類型申請のハードルも少し高いことがこの割合の要因ではないかと考えられます。

 

二次公募の動向は?採択数や採択率を考察

 先程、一次公募では累計4198者が採択されているとお伝えしました。事務局公募要領では当初、6000件を予定補助件数として掲げていました。(※1件当たりの補助申請額によっては増減)当初通りの予定であれば、残り採択件数は2000件に及ばず、全体の3分の1の補助枠が残っているという計算になります。
出典:経済産業省ホームページ 平成30年度補正予算「サービス等生産性向上 IT 導入支援事業」事務局公募要領

 二次公募の予算額について

 しかしながら、IT導入補助金の今年度の予算は100億円で、1件当たりの補助申請額によって補助件数は変動するとのことなので、一次公募で使用した補助金額から、二次公募の予算額を考えてみましょう。
 
 一次公募の採択者全者が補助上限額を使用した場合、約76億円の予算を消費したことになります。
・A分類:56億円(3756者×150万円)
・B分類:20億円(442者×450万円)
すべての事業者が上限まで使用したとは考えにくいので、一昨年までの実績から、補助上限に対し、平均7割程度の補助として計算すると、約53億円が一次公募で予算消化されていると考えられます。
※2017年IT導入補助金では100億円の予算に対し補助上限100万円(補助率2/3)、
 採択件数14000件なので補助上限に対し約70%が補助されていました。
 2018年IT導入補助金では500億円の予算に対し、補助上限50万円(補助率1/2)、
 採択予定件数13万件だったので、75%近い補助率で計算されていました。

 上記の計算では事務局運営費等を考慮していませんが、二次公募では40億前後の予算が残っていると考えられます。

 二次公募の採択数や採択率は?

 2019年のIT導入補助金の予算の約4割が二次公募分として残っていると仮定すると、A類型約2500者、B類型約300者が採択される計算になります。※A、B類型の採択比率が同一の前提
 IT導入補助金の申請件数は公表されていませんが、採択予定数が一次公募に比べて7割程度に減るということと、一次公募申請に間に合わなかった事業者が二次公募へ申請し、申請数の母数が増えることから、一次公募に比べて二次公募は採択率が低くなることが予想されます。
 昨年、一昨年の二次公募はそれぞれ状況が違いましたが、今年は一昨年に近い状況になるのではないでしょうか。
コラム『平成29年度補正予算IT導入補助金二次公募開始!採択率はどのくらいか?

 

まとめ

 
 IT導入補助金2019の一次公募の結果から、二次公募の動向について考察してきました。一次公募に比べ、採択率が下がることは予想されますが、A類型であれば2500件程度の採択が予想されます(※当社予想)。申請を検討されている方は、お付き合いのあるITベンダーに相談し、早めに対応しましょう。

 今すぐ準備できることとして、以下について取り組まれてはいかがでしょうか。

経営診断ツール(サービス等生産性向上IT導入支援事業事務局ポータルサイト)
おもてなし規格認証の取得 
SECURITY ACTIONの自己宣言
 

中小企業のセキュリティ対策!

ものづくり白書2019 を読み解く。ITを利活用した中小製造業の進むべき道。

 2019年6月11日に「ものづくり白書2019(製造基盤白書)」が公開されました。前回のものづくり白書2018では、第4次産業革命が到来する中、我が国のものづくり企業が直面する課題は深刻であり、危機感を持った現場力の再構築やConnected Industries の推進こそが進むべき道であるという方向性を打ち出しました。今回の ものづくり白書2019 では、足元の環境変化を踏まえ、具体的にどういった方策をとるべきか提起しています。
 今回のコラムでは、ものづくり白書2019の概要と、ITの利活用の観点で中小製造業が始めるべき取り組みを紹介します。

 

ものづくり産業が直面する課題と取り巻く環境

 白書によれば、2012年12月以降緩やかな回復が続いているものの、足元の売上高や営業利益水準や今後の見通しには弱さがみられるとしています。この辺りは、製造業の大多数を占める中小製造業が今後に備えて慎重な判断をしていると考えられます。


出典:経済産業省「2019年度ものづくり白書」概要
 
 一方、人材不足はますます深刻化しています。下図の通り、特に技能人材が不足してビジネスに影響が出るレベルで人手不足が拡大しているようです。

出典:経済産業省「2019年度ものづくり白書」概要
 
 国外に目を向けると、グローバル化が進む一方、米中対立、英国のEU離脱など保護主義の高まりにより、より一層リスク管理が求められています。そして、ドイツのIndustory4.0を契機とした第4次産業革命が進展し、AI・IoT等の技術革新によるスマートファクトリー化や、シェアリングエコノミーをはじめとする従来のものづくりの範囲を超える産業構造の抜本的変化が起こりつつあります。さらに、SDGsをはじめとした世界の社会的課題解決のテーマに対するニーズの高まり、そういった企業を評価するESG投資の拡大なども見逃せません。こういった環境変化の中、人材不足が顕著な中小製造業にとっては非常に舵取りが難しい時代になっているといえます。
 昨今の世界的な潮流が中小製造業にどう影響するか、もっと詳しく知りたい方はこちらのコラムもご覧ください。

製造業にも押し寄せるシェアリングエコノミーの波

2025年大阪万博の開催目的でも言及された「SDGs」とは?

ESG投資時代、サプライチェーンの一翼を担う中小製造業はチャンス!

 

ものづくり白書2019が提言する4つの方策

 上述の状況から、ものづくり白書では競争力強化に向けて次の4つの方策を提言しています。

  1. 世界シェアや現場データを活かした新しいビジネスモデルの展開
  2. デジタル化による現場におけるコスト圧縮だけでなく、バリューチェーン全体を見据えたデータ活用が必要不可欠。日本特有の精微なものづくりと、製品にまつわる良質なデータを融合させ、他国に先んじて新たなニーズに対応したビジネスモデルを確立するべき。

  3. 重要素材の強みを活かした世界市場の開拓・拡大
  4. 我が国には、高度な部素材について世界で60%以上のシェアを持つ企業が複数あり、技術力、現場力に裏付けされた品質が評価されている。現状に慢心することなく更なるシェア拡大の取り組みが求められる。

  5. スキル人材が活躍できる場・組織の構築
  6. 第4次産業革命において必要となる製造×AI・IoTのスキル人材の育成・確保は引き続き重要。単に育てるだけでなく、受け入れる企業側が彼らの活躍できる場や組織づくりを実現できるかどうかが成否を分ける鍵。

  7. 技能のデジタル化・徹底的な省力化の実施
  8. AI・IoTをはじめとした技術革新により、従来は人でしかできなかった作業が効率的に実施できる事例が拡大している。品質管理の不適切事案(偽装問題)への対応策などにもデジタル化は有効。また、今後は人手確保がより困難になる見込みであり、これを追い風に変えて、現場の徹底的な省力化を推進し、生産性の向上を図ることが必要。

 いずれも中小製造業にとって非常に高度な取り組みが求められているように思われます。
中小製造業ができることは何でしょうか。
 

中小製造業は生産性向上と全体最適を図れるIT活用が近道

 人員が限られる中小製造業ではできることも限られています。人材育成、人材確保の取り組みはもちろんのこと、限られた人員の中で「生産性の向上」や「ビジネスモデルの変革」に取り組まなければなりません。その中でITの活用は有効な手段です。白書の調査でも下図の通り、営業利益が増加した理由として設備投資やIT活用による生産性の向上を挙げる企業が3割近くに上るとしており、省人化・自動化による人手不足に対応するためにも、更なる設備投資やIT活用が不可欠としています。


出典:経済産業省「2019年度ものづくり白書」第2章 第3節 世界で勝ち切るための戦略
 

 具体的なIT活用として、先述の人材不足の実状や強みとしている現場力を鑑みると、製造・生産現場の技能のデジタル化が望ましいですが、現場の強みが弱みとならないように留意が必要です。というのも、従来、製造現場のノウハウ(技能)は暗黙知であり属人化していたことから、現在のスキル人材不足や技能承継問題が発生しました。これは、組織という観点で見た場合、現場任せの部分最適を追認したがゆえに放置されてきた問題です。このほか、我が国の強みである「高品質」についても、現場任せの組織体制が品質偽装問題を起こしたといえるでしょう。
 こういった部分最適を追認する組織では、あらゆるものがつながることによって価値が生まれる時代に、かえって弱みになりかねません。したがって、現場のカイゼン活動をスピーディーに反映・実装し、タイムリーに社内横断的に情報共有され、全体最適が図れる仕組みの構築に取り組むことが重要です。その土台があってこそ、製造業のサービス化をはじめとするビジネスモデルの変革に取り組めるのです。
ですので、過去のコラム「変革の時代、今こそ求められるITモダナイゼーション」でも紹介したように、組織や業務の見直しと合わせて、基幹システムの刷新から始めてみてはどうでしょうか。
 遠回りにみえても、結果的に中小製造業がConnetcted Industriesを推進する一番の近道かもしれません。

 
 
 今回のものづくり白書が一貫して訴えているのは、人材不足の危機感と、Connected Industriesを推進するあらゆる業務のデジタル化と利活用、バリューチェーン全体を見据えたビジネスモデルの変革です。特に人材不足が喫緊の課題である中小製造業こそITとの協働は不可欠であり、これからの時代を見据えて、すぐにでも動き出しましょう。
 
 弊社では中小企業の生産性向上に寄与するITツールを多数取り揃えていますので、お気軽にご相談ください。

MR(複合現実)とは?製造業のMR活用例

 2019年5月29日、日本マイクロソフトは日本でMR(複合現実)が体験できるゴーグル型機器「ホロレンズ2」を国内初公開しました。ホロレンズ2をはじめとするMR技術は製造業をどう変えるのか、MRとVR/ARの違いを含めて紹介します。

 

MRとは?VRやARとの違いを解説

 MRという言葉を耳にする機会が増えてきましたが、VRやARとはどう異なるのでしょうか。それぞれの違いを紹介します。

 VR(仮想現実)

 VRとはVirtual Reality(バーチャルリアリティ)の略称で、「仮想現実」と訳され、現実世界とは異なる仮想世界に”没入”したように見せる技術のことです。
2016年はVR元年といわれ、Oculus RiftやPSVRといったヘッドマウントディスプレイの登場、そしてスマホをセットして手軽に使えるダンボール式のGoogle Cardboardの登場で話題になりました。

 AR(拡張現実)

 ARとはAugmented Realityの略で、日本語では「拡張現実」と訳されます。VRが現実とは別に「仮想空間」を作り出すのに対し、ARではCG等のデジタル情報を加え、現実世界を拡張させるという特徴があります。2016年にリリースされた「ポケモンGO」はARが広く浸透した事例として挙げられ、現実世界にポケモンが出現したように感じることができます。

 MR(複合現実)

 MRとはMixed Realityの略で、日本語では「複合現実」と訳されます。MRはVRとARの上位版のようなもので、仮想現実と現実世界を融合させる技術のことです。ARでは現実空間を主体としてデジタルデータを重ね合わせるのに対し、MRでは仮想世界を現実世界に重ね合わせることが可能です。
AR上では現実世界に重ね合わせたCG等のデータを操作することはできませんが、MRではVR同様にCG等のの映像を動かしたり拡大したり操作できるのが特徴です。

 

製造業でのMR活用例

MRを活用することで製造業の在り方がどのように変わるか、様々な角度から紹介します。

 製造工程の作業スピードと質の向上

 MR技術で作業現場に製品のサンプルを投影することで次の作業や細部の作業の確認等を行うことが可能になります。また、建設のように複数人で作業を行う場合、仮想現実を共有することができるので、認識の祖語をなくし円滑に作業を進めることができます。それにより、経験の浅い作業者がベテランの手順を真似ながら作業の質とスピードを上げることが可能になります。

 保守・点検を正確かつ簡単に

 VRの事例同様、製造業の保守・点検が可能です。オペレーターが現地に向かい、MR上のマニュアルで設備の点検マニュアルを呼び出し、確認することができます。動画中の1分30秒近くにあるように、作業内容が不明なときにオペレーターを呼び出して、現実空間にマークをしながら具体的な指示を出すことが可能です。

 設計・試作・シミュレーション

 MRを活用することで、現実空間上に設計シミュレーションや設置シミュレーションをすることができます。動画では製造現場のレイアウトシミュレーションを行っています。

 

国内からも様々なソリューションが提供!

 SB C&Sとホロラボが製造業・建設業向けに共同開発したAR/MR可視化ソリューション「mixpace」は設計、製造、建設、配置シミュレーション、施工、保守などの場面で、AR/MR技術で原寸大の3Dモデルによる可視化を行うことができます。

 

 いかがでしたでしょうか。SFの世界で見ていたような光景が現実になりつつあります。MRのような最新技術は中小企業ではまだ活用できないと思い込まず、活用例を考えてみると自社の課題を解決するきっかけになるかもしれません。

RPA は昔からあった?昨今のIT バズワード の変遷

 昨今、RPAをはじめとする、IoTや、ブロックチェーン、AIなど、さまざまなITワード(いわゆる バズワード )が世の中を賑わしています。そういったIT技術やコンセプトは突然出てきたわけではなく、昔から言葉やカタチを変えて存在しているということを知っているでしょうか。今回は、最近話題になっているITワードの歴史や変遷をご紹介したいと思います。

 

古い技術をあらたなコンセプトで刷新した「RPA」

 バックオフィス業務の自動化を実現する概念として注目が集まるRPA。RPAという言葉自体は2013年頃から徐々に登場しはじめましたので比較的最近ですが、その技術や考え方は昔からあります。たとえば、Excel操作を自動化する「マクロ」は最たるものですね。また、Windowsのタスクスケジューラー機能も自動化という観点で多くの人に利用されています。このほか、ブラウザ操作自動化のWebスクレイピング技術は1993年頃からあり、Windows操作の自動化ソフトでは、古くは1999年にリリースされた「UWSC」というフリーソフトがあります。しかし、それらの多くはコーディングなどが必要で技術者しか充分に扱えず、それぞれのソフトウェアや技術では自動化できる業務が限定的でした。そこで、RPAがそれらの技術をすべてノンプログラミングで使えるようにパッケージングし、デジタルレイバー(仮想労働者)など、あらたなコンセプトを生み出したことで、いま現在の爆発的なブームにつながっているといえるでしょう。

RPAについてもっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

最近話題のRPAとは何か?何ができるのか?

 

IoTの原点 ユビキタスコンピューティング

 1991年にマーク・ワイザー博士が提唱したユビキタスコンピューティングという概念をご存知ですか?ユビキタスとは「あらゆるところにある」を意味します。当時とても高額だったコンピュータがこれからより小さく、安くなっていき、いずれは世界中の隅々まで無数のコンピュータが行き渡って、高度な通信技術により、人々はいつでもどこでも世界中の情報にアクセスできるという考えです。
 このユビキタスコンピューティングは、2000年頃に日本でもブームとなり、ユビキタス社会の実現を目指してさまざまなITソリューションが提供されました。当時はコンピュータの小型化や通信速度などの技術が追いつかず、浸透には至りませんでしたが、この考え方はいま流行りの「IoT」ととてもよく似ています。
 IoTは「様々な物がインターネットにつながること」。「インターネットにつながる様々な物」を指しています。ユビキタスコンピューティングと比較して、「モノ」を起点とした考え方ですが、広義の意味では、あらゆるモノがインターネットにつながることで、人々の生活や産業を発展させる概念と考えられますので、ユビキタスコンピューティングとほぼ同じといえますね。

IoTについてもっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

中小企業だからこそできる! IoT で始めるコネクテッドインダストリーズの第一歩

 

ブロックチェーンの根幹技術で開発された「Winny」

 様々な用途に役立てられる新技術として注目が集まっているブロックチェーン。このブロックチェーンを支える技術は、実は以前から存在しています。ブロックチェーンでは、P2P(Peer to Peer)と呼ばれるサーバ(管理者)を介さずにコンピュータ同士が直接繋がる仕組みを利用しています。このP2Pで有名なのは、開発者が逮捕され廃れていったファイル共有ソフトの「Winny」でしょうか。利便性や匿名性の高さから瞬く間に広がりましたが、違法なファイルやウィルスの流通などで犯罪の温床になってしまい、その技術に注目されることはありませんでした。その後、世界的にはP2P技術を応用した様々なソフトウェアが提供されています。たとえば、多くの人が利用している「スカイプ」や「LINE」もP2Pネットワークにより実現しています。このP2Pネットワークと既知の暗号化技術などを組み合わせて発展させたのがブロックチェーンです。悪い印象しかないWinnyですが、その技術は現在のブロックチェーンに脈々と受け継がれているのです。

ブロックチェーンの利用事例についてはこちらの記事をご覧ください。

ブロックチェーン×製造業 サプライチェーン改革!

 

死語となった「ファジー」もAI

 今ではどこもかしこも「AI(人工知能)」という言葉が独り歩きしています。AIという言葉は1956年のダートマス会議で初めて登場しましたが、その頃からAIの定義は明確になっていません。要はコンピュータに人間と同じような知的行動や判断をしてもらうためのシステムですが、登場以降、言葉を変えて世の中にブームを起こしてきました。1980年代では、国家プロジェクトである「第5世代コンピュータ」や、「エキスパートシステム」が有名です。1990年代では「ファジー」という言葉でAIに注目が集まります。いわゆるお任せ機能を搭載したファジー洗濯機やファジー掃除機などが登場し、「ファジー」が流行語大賞を取るまでの盛り上がりをみせました。同時期に「ニューロ」という言葉もあります。いま話題の機械学習や深層学習(ディープラーニング)の基本的な仕組みは、ニューラルネットワークと呼ばれる人間の脳の仕組みを模倣したネットワーク構造を用いていますが、そのニューラルネットワークの別名が「ニューロ」です。ニューロ炊飯器、あるいはファジーと組み合わせて、ニューロ・ファジー機能搭載といった商品が売れ、AIブームの立役者となりました。いまやAIお洗濯といった言い方がスタンダードとなり、ファジーやニューロは死語となりましたが、上述のようにAIは昔から存在していたのです。

 
 言葉が変わっただけで、技術や本質的に提供しようとする価値・考え方は昔からあるということがお分かりいただけたでしょうか。情報が溢れる現代、バズワードに踊らされることなく、何を解決・実現するものなのかをしっかり理解することが重要です。

 
 弊社では中小企業の生産性向上に寄与するITツールを多数取り揃えていますので、お気軽にご相談ください。

高まるデータの価値『インフォノミクス』とデータ利活用の実態

 米ガートナーのダグラス・レイニー氏は近年、「インフォノミクス(Infonomics、Information Economicsの略で『情報の経済性』を意味する)」を提唱しています。データの資産価値に注目が集まる中、現時点で日本企業がデータ利活用からどれほどの成果を得られているか紹介します。

 

インフォノミクスとは

 インフォノミクスとは、「企業はデータをほかの資産と同様に管理すべき」という考え方です。データの利活用が重要となるデータエコノミー社会では、企業が保持するデータを活用して収益に反映させたり、データを販売したりすることで価値を生み出すことが可能になります。

到来したデータエコノミー社会。今、中小製造業がすべきことは?


そのような社会ではデータの資産価値が高くなり、扱い方を熟慮する必要が出てきます。

インフォノミクスの海外の事例は「IT Search+」で紹介されています。

 

データを有効に利活用できている企業はわずか

 データエコノミー社会が到来し、インフォノミクスという概念でデータの資産価値が重視される今日ですが、現時点でどれほどの企業がデータの利活用の成果を実感しているのでしょうか。

 ガートナーが2018年11月に行った、ITデマンド・リサーチ調査では、データの利活用からビジネス成果を十分に得ている企業は全体の3%という結果が報告されています。一部門または全社でデータを利活用している企業は全体の過半数近くになるものの、ある程度以上成果が得られている企業を含めても3分の1にとどまることが報告されています。

 中小製造業においても、データの利活用、およびデータの利活用から何らかの成果を得ている企業は増加していますが、まだ多数というわけではありません。しかしながら、データの利活用は今後更なる重要性を持ち、データ自体が資産価値として高く評価されるといわれています。DX(デジタルトランスフォーメーション)の実現には、デジタル社会に淘汰されないためにも、あらゆるデータを取得し、利活用することが必要不可欠です。

 

いまからでも遅くない!
DX社会の壁を乗り越えよう

 現在データを利活用できていない企業は、まずは業務システムを導入するなど自社の業務を電子化したり、IoTツールで今まで取ったことがなかった情報を取ってみたり、データを持つということから段階的に始めることが重要です。

 また、データを利活用しているがあまり成果が得られていない企業は、まずは定量的な指標を定めてデータを利活用することが重要になります。また、データをDIKWモデルに沿って解釈することも重要です。

 データの利活用方法を各企業が模索している今、自社に必要なデータや活用方法を模索し始めることがデジタル社会を生き残る選択だといえます。

 弊社でも中小企業が始められるIoTサービス、企業間商取引のEDIサービスなど、データ化を推進するサービスをご用意しています。

令和元年 2019年版「中小企業白書」のテーマは?製造業の観点で解説

 2018年版「中小企業白書」は、人手不足に焦点を当て中小企業・小規模事業者へ生産性向上に向けたヒントを提供することをテーマとした内容となっていました。
令和時代を迎えた2019年の中小企業白書では、人口減少や少子高齢化という問題を乗り越えるため「事業承継」と、構造変化に対応する中小企業の「自己変革」をテーマとしています。
前回のコラム(2018年版「中小企業白書」からみる製造業の生産性革命)同様、今回も製造業の観点から2019年版 中小企業白書のポイントを解説します。前回のコラムはこちらからどうぞ。

2018年版「中小企業白書」からみる製造業の生産性革命

 

過去最高水準の景況である一方、製造業の労働生産性は変わらず

 まず全体の概況について、昨年に引き続き過去水準を維持しており、下図の通り回復基調であることが分かります。
 
(出典:経済産業省 中小企業庁 2019年版「中小企業白書」 第1部 平成30年度の中小企業の動向 第1章 中小企業の動向)
 
 そんな中、中小企業数の減少傾向は進んでおり、2014年から2016年の2年の間に中小企業数は約3万社減となっています。それでも過去最高水準の景況を維持している背景として、白書では、存続している企業が付加価値を伸ばすことで、廃業した企業による減少分を上回っていることを挙げています。下図を見ますと、廃業企業によって失われた付加価値額にさほど差は生じていない一方、存続企業が付加価値額を伸ばしていることが分かります。
 
(出典:経済産業省 中小企業庁 2019年版「中小企業白書」 第1部 平成30年度の中小企業の動向 第2章 中小企業の構造分析)
 
 こういった「稼ぐ力」を持った中小企業が増えているのは喜ばしいことですが、他の業種はさておき、製造業という視点でみますと、残念ながら昨年と大きく変わっていません。
下図の通り、一人当たりの労働生産性を見ても、大きな落ち込みはないものの、大企業との差は開く一方なのが実状のようです。
 
(出典:経済産業省 中小企業庁 2019年版「中小企業白書」 第1部 平成30年度の中小企業の動向 第1章 中小企業の動向)
 
 上述の通り、日本の中小製造業の長年の課題である労働生産性向上については、引き続き取り組みが必要といえるでしょう。
 

企業の成長にプラスとなる事業承継。製造業は特に早期の取り組みを

 次に少子高齢化に起因する事業承継問題に焦点を当てます。事業承継に様々な問題があるというのは周知の事実ですが、白書では特に下図の課題を取り上げています。
 
(出典:経済産業省 中小企業庁 2019年版「中小企業白書」「小規模企業白書」概要)
 
 事業承継の形態として、親族内承継が最も割合が多いのですが、親族内承継では無償で引き継ぐことが多く、生前贈与に当たって贈与税の負担が課題になっていると考えられています。白書では、法人向け・個人事業者向けに贈与税や相続税の負担をゼロにする事業承継税制を措置することによって、親族内承継の支援措置は大幅に前進したとしています。
 
 また、今回の白書では、通説とされているより若い世代への事業承継が、特に企業の業績にプラスの影響を与えることを詳しく分析しています。たとえば下図では、30~40代以下の新経営者の場合、事業承継の翌年から5年後までの間、事業承継していない企業と比較して売上成長率を押し上げる効果が顕著であることを示しています。
 
(出典:経済産業省 中小企業庁 2019年版「中小企業白書」 第2部 経営者の世代交代 第1章 経営資源の引き継ぎ)
 
 若い世代への事業承継が望ましい一方、事業承継には時間が掛かります。下図の通り、後継者側も経営者になるために必要な準備期間を5年以上と回答した者が約5割を占め、それなりの準備期間が必要であるといえます。
 
(出典:経済産業省 中小企業庁 2019年版「中小企業白書」 第2部 経営者の世代交代 第2章 次世代経営者の活躍)
 
 特に製造業では、サプライヤーも含めた取引先との関係構築や生産設備の引き継ぎなど、他業種と比較して後継者育成・事業承継に時間が掛かります。
上述の通り時間が掛かることを念頭に、早期に取り組むことが重要といえるでしょう。
 

デジタル化への取り組みが新たなチャンスを生み出す

 平成の30年間で経済・社会のありようが大きく変化し、その変化は令和時代により一層加速すると考えられます。
白書では、人口減少、デジタル化、グローバル化といった経済・社会構造の変化の中で、企業規模が小さいことによる有利も不利も解消されつつあり、「デジタル化」「グローバル化」が大きな機会になる可能性を示しています。製造業においては、先に触れた労働生産性の問題もさることながら、第4次産業革命の潮流の中、経営の在り方を大きく変える可能性があるAIやIoTの活用が期待されています。
しかし、中小企業では下図の通り、IoT、AIに対しては消極的なのが実状のようです。
 
(出典:経済産業省 中小企業庁 2019年版「中小企業白書」「小規模企業白書」概要)
 
 というのも、下図のIoTやAIを導入しない理由で、「導入後のビジネスモデルが不明確」が最も多くある通り、IoTやAIを使って何をしたらいいか分からないことが主な原因といえるでしょう。
 
(出典:経済産業省 中小企業庁 2019年版「中小企業白書」 第3部 中小企業・小規模企業経営者に期待される自己変革 第1章 構造変化への対応)
 
 白書の事例では、中小製造業の株式会社ヒバラコーポレーションが、サポイン補助金を利用してAIの活用に取り組んだことを紹介しています。
具体的には、塗装現場での熟練技術者の操作をデータベース化し、そのデータからAI 等を利用することでロボットアームによる操作の再現を実現しました。これにより、塗装現場における熟練者不足の課題解決につながることが期待されています。このような事例からヒントを得て、IoTやAIで何ができるかを知ることが大切といえるでしょう。
 
 このほか、白書ではフィンテックやシェアリングエコノミーの拡大が中小企業のチャンスになると提言しています。シェアリングエコノミーでは、今や設備などの固定資産だけでなく、人手やノウハウまでも対象としたシェアリングサービスが提供されており、人手不足、設備不足が顕著な中小企業でも、低コストでそれらを充足するチャンスが得られるようになってきているのです。
製造業のシェアリングエコノミーについては、こちらのコラムもご覧ください。

製造業にも押し寄せるシェアリングエコノミーの波


 そういったインターネットサービスを上手く活用することも、これからの社会構造の変化の中で求められています。
 

自己変革を進めサプライチェーンにおける自社のポジション確立を

 最後にサプライチェーンにおける中小企業の役割の変化に触れます。
白書では、中小企業を取り巻くステークホルダー(消費者、従業員、社会)の価値観が変化しており、中小企業もこれらの流れにいち早く対応することが重要としています。代表的なものでは、グローバル化の現在、企業の社会的責任に関する取り組みであるCSRの世界的な取り組みとして、「SDGs」や「ESG」に注目が集まっています。

2025年大阪万博の開催目的でも言及された「SDGs」とは?

ESG投資時代、サプライチェーンの一翼を担う中小製造業はチャンス!


 
 海外も含めた大企業がSDGsやESGの取り組みを進める中、そのサプライチェーンの一翼を担う中小企業にも、単に利益を追求するだけではなく、自主的に社会的責任を果たす存在としての役割が求められているのです。しかし、中小企業ではSDGs等はほとんど認知されていないのが実状のようです。
 
(出典:経済産業省 中小企業庁 2019年版「中小企業白書」 第3部 中小企業・小規模企業経営者に期待される自己変革 第1章 構造変化への対応)
 
 また、自然災害が多く発生している昨今、防災・減災対策を進める大企業が増えています。BCPの取り組みは大企業を中心に進められていますが、中小企業ではまだまだ十分ではありません。
 
(出典:経済産業省 中小企業庁 2019年版「中小企業白書」 第3部 中小企業・小規模企業経営者に期待される自己変革 第2章 防災・減災対策)
 
 サプライチェーンの川上の大企業にとっては、重要部品を製造している川下の中小企業が被災すると、サプライチェーンが断絶するリスクがあります。そのため、BCPへの取り組みを進める中小企業の価値が高まっているのです。
このように、サプライチェーンの構造変化は既に始まっており、製造業によくある「ケイレツ」などの安定的取引に甘んじていた中小企業は注意が必要です。
いち早く変化に対応するための「自己変革」を進め、自社のポジションを確保していくことが重要といえるでしょう。それが新たな取引先の開拓にもつながることは間違いありません。

 
 令和時代を迎えましたが、いまだ様々な課題が山積しています。しかし、自己変革による新たな取り組みや工夫次第で、中小企業も大きく飛躍できる時代ともいえます。
社会構造の変化にアンテナを張り、いち早く対応を進めることで競争に打ち克ちましょう。

 
 弊社でも中小企業の生産性向上に寄与するITツールを多数取り揃えていますので、お気軽にご相談ください。

数字で見る国内のRPA事情

 ここ数年、メディアで目にする機会が多くなってきた「RPA(Robotic Process Automation)」。欧米を中心に浸透が始まり、国内では2016年あたりから注目されているツールです。当初は、金融業やサービス業の大企業が導入のメインでしたが、最近は業種を問わず中小企業への展開も増えてきました。こういった国内のRPA事情について様々な数字から見ていきたいと思います。

 

国内のRPA導入社数は5000社を超える

 2016年の7月に一般社団法人日本RPA協会が設立されました。2018年1月の日経xTECHの記事では、導入支援サービスで先行するアビームコンサルティングが2018年末の導入累計1000社という見通しから、国内のRPA導入数は5000社を超えるといわれていました。国内大手であるNTTアドバンステクノロジの「WinActor」は導入企業3000社RPAテクノロジーズの「BizRobo!」は利用企業者数1000社を突破したとの発表を見ると、2019年5月の現時点では5000社という数字は大きく超えていると思われます。
 特に国内RPA製品の登場が多くなった2018年以降から、中小企業での盛り上がりが見えてきました。

中小企業で盛り上がるRPA~小粒な業務を現場主導で スモールスタート ~

アビームコンサルティングの調査結果では、従業員1000人未満の企業からの問い合わせが増加しており、大企業だけでなく中堅以下の企業でもRPAへの関心が高まっていると推察されています。

 

国内のRPA市場規模は2022年に800億円

 矢野研究所の調査では、製品やサービスを含むRPA市場が2022年には800億に達すると予測しています。注目すべきは毎年成長し続けている伸び率と関連サービスの拡大です。RPAは導入までがゴールのシステムではなく、導入後に社員一人一人が自分の仕事を効率化するOA(office automation)ツールです。それをサポートするために、教育やコンサルティング、シナリオ代行開発、スキルを身に着けた専門の人材派遣といったRPAを取り巻くビジネスの広がりが、市場が急成長する大きな推進力になっているのです。
 世界3大コンサルティング企業の一つであるマッキンゼー・アンド・カンパニーは、2025年までに全世界で1億人以上の知的労働者、もしくは1/3の仕事がRPAによって置き換わると推測しています。また、米国の調査機関TMRの調査によると、2024年には約1.9兆円の市場規模まで拡大するといわれており、今まさに全世界の働き方がRPAによって変わろうとしています。

 

574万人の雇用と222兆円の国内総生産

 経済産業省が2017年5月30日に発表した「新産業構造ビジョン」では、AIやRPAを活用した付加価値・生産性向上策を実施しない場合、実施した場合と比較して、2030年度には国内の労働人口の減少分よりはるかに多い、574万人の雇用と222兆円の国内総生産(GDP)が減少すると試算されています。活用した方が雇用は増加するという数字です。
 例えば 教育ビジネスを主とするMAIAは、女性の働き方を変える「RPA女子プロジェクト」をスタートしました。(THE SANKEI NEWS記事)
 家事や育児、介護など、望む形で働くことが難しかった人たちが、多様な環境で活躍できる新しい働き方になります。このように、RPAは既存の定型業務を自動化することで労働力不足を解決するとともに、それ以上にホワイトカラーの新しい仕事を創造していくのです。

 

RPAはClass1からClass2へ

 RPAによる適用範囲や自動化レベルをClass1~Class3といった数値で表すことがあります。国内のRPAはClass1であるルーチンワークの自動化から、Class2となるAIを搭載した一部非定型業務へと発展していこうとしています。つまり、既存の定型業務を自動化する目的で導入が広まっているRPAは、その先にAIの技術が加わることによって、より人間に近い例外業務や意思決定までも代行するような自律アシスタントへと進化していきます。

 

 AIが全人類の知性を超えるといわれるシンギュラリティが2045年。未来になればロボットが勝手に働いてくれるという事はありません。人間が予測できない未来に向けて、AIやRPAと向き合い、仕事のパートナーとして働く新しい時代の企業へと変化していくということを、本気で考えるタイミングになりました。25年先の私たちの働き方はどのように変化しているでしょうか。

「2025年の崖」中小企業への影響と対策

 経済産業省が2018年9月に発表した「DXレポート〜ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開〜」では、2025年に諸問題が起き、悪影響を及ぼす「2025年の崖」について警鐘を鳴らしています。2025年の崖とは何か、2025年の崖による中小企業への影響、今から可能な対策について紹介します。

 

「2025年の崖」とは

 2025年の崖は、DX(デジタルトランスフォーメーション)の重要性を認知しつつも、既存システムの老朽化やブラックボックス化の問題を解消できず、2025年以降、最大1年あたり12兆円の経済損失が生じる可能性があるとするものです。

 2025年の崖では、下記のような諸問題が発生するとしています。
・先端技術を持った人材の不足
・レガシーシステムに関する技術を持った人材の枯渇
・上記に伴う既存システムの保守運用のコスト増大
・増大するデータを活用できなくなり、DXが実現できずデジタル競争の敗者に
・セキュリティ面のリスクの増大
・従来のITサービス市場とデジタル市場の割合が9:1から6:4になる
・SAP ERPの標準サポート終了
・ISDN回線廃止に伴い、固定回線を利用したEDI利用不可に
これらの問題が2025年まで集中的に生じるため、大規模なシステム刷新が必要になります。

 

中小企業への影響・・・

 2025年の崖でさまざまな問題が生じることが理解できますが、実際に中小企業への影響はあるのでしょうか。コラム「変革の時代、今こそ求められるITモダナイゼーション」にて紹介したように、レガシーシステムはまだまだ多く存在しています。DXレポートでも8割の企業がレガシーシステムを抱えていることが分かります。(出典:中小企業庁「DXレポート」p7

 2025年の崖は自社には無関係なものと考えていて、不具合が生じてベンダーに問い合わせたところレガシーシステムだったと発覚するケースも考えられます。

 一般的に2020年のオリンピックを機に景気が衰退していくといわれています。2025年といえば大阪での万博開催が予定されていますが、その恩恵を全ての企業が受けられるとは限りません。

 また、2025年までに約127万の中小企業が後継者不足によって廃業する可能性があるという別の問題も指摘されています。景気の衰退と後継者不足、IT投資の必要性が重なり、中小企業はかつてない危機を迎える可能性が極めて高いと言えるでしょう。(出典:中小企業庁「事業承継・創業政策について」p2

 

2025年の崖への対策!

 中小企業が2025年の崖による最悪の事態を回避するためには、今から段階的にDXへの取り組みを進めることが重要です。

 DXの対応には次のような段階があります。
・第1フェーズ:基幹システムを活用して標準化された業務プロセスを徹底する段階
・第2フェーズ:第1フェーズのプロセスを踏襲しながら、RPAをはじめとするITで業務を代替させ、自動化する段階
・第3フェーズ:人間が働くことを前提に最適化された業務プロセスを、機械が働くことを前提に最適化された業務プロセスへと組み替え、さらなる効率と品質の向上を実現しようとする段階

 第1フェーズでの基幹システムの活用は、上述の通り、レガシーシステムからの脱却が急務です。例えば、レガシーシステムからクラウドを活用したシステムへの移行では、いきなりは難しいという場合はオープン化したシステムへの移行から始めると良いでしょう。
しかし、単にIT投資をするだけではDXは実現できません。戦略的なIT投資と合わせて、変革を受け入れる企業風土も必要です。DXへの取り組みついて、詳しくはコラム「DX(デジタルトランスフォーメーション)の第一歩」をご覧ください。

 

補助金活用が鍵!

 DXは長期的に取り組む必要があり、中小企業にとって継続的なIT投資は負担が大きいのも事実です。いきなりITに大きな投資をすることが難しい場合は、最大半額の補助を受けられる「IT導入補助金」といった国の制度を活用することで、DXに向けたIT投資をすることが可能です。資金繰りに余裕がない中小企業は積極的に活用しましょう。

2019年 IT導入補助金 の最新情報 第2弾!新たな仕組みが導入されます

 弊社も昨年度は「IT導入支援事業者」に認定されており(今年度、現在申請中)、2018年の申請実績は100パーセントの交付決定率でした。2019年も中小製造業向けにさまざまなITツールを登録申請中ですので、お気軽にご相談ください。
弊社が取り扱っているITツールはこちらをご覧ください。